2023年06月02日(金) |
前から、クリニックで性加害の方たちに性教育をされている、ということは知っていた。そのことを最初にS先生から教えてもらったとき、彼らにとってそれはなんて貴重な体験になることだろう!と、我が事のように嬉しくなったことを今でも覚えている。しかも授業を為してくれる方が、ベテランの助産師さんで、小中学生はもちろん年頃の高校生や大学生、保護者に向けても随時性教育の講演を行なってらっしゃる方と知り、さらに嬉しさが倍増した。 これはあくまで私の感じたことに過ぎないが、プログラムで接する性加害を為した彼らは、性教育というものをきちんと受けるチャンスがなかったんじゃないか、と。そう私には感じられる。そんな彼らの学び直しのチャンス。こんな幸せなチャンスはないだろう、と私には思えた。いつか機会があったら、自分の息子をその授業に参加させたいと真剣に思った。 でも、そのプログラムの日と私が参加するプログラムの日が異なっていて、その方とすれ違うことさえもなく一年が過ぎていた。だめだ、これは自分から飛び込んでいかないと、と思った。そしていつもの如く、思い立ったが吉日とばかりに、YさんにFacebook上で勢いでメッセージを送り、友達申請をさせていただいた。 すぐ気づいてくださったYさんから返信があり、これからどうぞよろしく、なんて挨拶メッセージを交わした。お会いしたいですねー、なんて話もした。そうしたら。とんとん拍子にお茶しましょうという約束を交わすことになり、そして数日前、実際にお会いすることになった。
こんなこと言ってもあまり信じてもらえないのだが、私は基本、人見知りだ。人見知りである自分を重々承知している。だから、自分は酷い人見知りだからこそこれから会う相手についての前知識はあまり持たず、予めのイメージもあまり抱かず、その場でそのひとに会ってそのままをでき得る限り受け止める、と決めている。その日も、もうちょっとでYさんいらっしゃるかな、と思った程度で、それ以上もそれ以下も何も、想像をめぐらすことはやめた。 ようやくお会いできたYさんは、地に足を付けてらっしゃる方だ、というのがじんじんとその立ち姿から伝わって来た。グラウンディングがずっと苦手だった私とは全然違う、しっかりとした、でも決して威圧感などない、まっすぐな方だな、と。話せば話すほどその印象は濃くなり、私は嬉しくなった。
歳を重ねれば重なる程、新しい出会いというのは減るものだ、と、誰かが昔言っていた。でも本当にそうなんだろうか。いや、そうなのかもしれないが、二十代三十代と記憶がほとんど残っていず、もちろんその頃世界に対して閉じていた私だから、その頃と今の自分とを比べようがない、というのもあるんだろう。私はこの五年十年、本当に、出会う人出会う人、ありがたいなぁと思う相手ばかりと出会わせていただいている。今回も、ああこの方とは長いご縁を育みたいなぁと、そう思った。
11時から2時、時間にして3時間はあったはずなのに、瞬く間に過ぎてしまった。あたふたと私たちは店を出て小走りに次の約束の場へそれぞれ向かったのだが、その時点ですでに、もっとこういうことも話したい、ああいうことも話したい、というのが次々浮かんできて困ってしまった。 いつか、組んで何かをできたらいいなぁ、と、まだ何の構想も何もないのだけれど、でも、一緒に何かできたらいいなぁ、と、そんなことをぼんやり、思っていたりする。 |
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