ささやかな日々

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2023年03月26日(日) 
ムスカリが綺麗に色づいて、その隣でチューリップが伸びてきている。水仙の蕾も膨らんできた。ネモフィラが水足りないと云うのでたっぷり水を遣る夕暮れ。それだけで嬉しいはずなのに、どうしても憂鬱が拭えない。
その憂鬱が夜に向かって少しずつ少しずつ膨らんできて、いつの間にか重たく私の中に居座ってしまった。困った。どうしよう。

こういう時昔なら、とっとと自分を傷つけて、とことん自分を傷つけて、そうして何とか夜を越えようとしていた。でも今もう、それを為すことを躊躇う自分がいる。そんなことしても何も変わらないし、何の解決にもならないということを嫌と云うほど思い知っているし、それによって自分の近しい大切なひとたちを自分以上に傷つけ振り回してしまうことを痛感している。
もちろん分かってる。そうすることでしか越えられない夜があったこと。だからこそ自分の腕はこんなにも傷だらけ痕だらけなのだ。それでも。
痕が増えるだけで、解決は何一つしなかった、と、そのことがもう、これでもかってほど分かってしまっている今、周りを巻き込んでしまう自傷行為を、繰り返すことができない。
それが、つらい。
いっそ振り切ってしまえたら楽なのになぁと思う。
でも、振り切れない。もう、できない。大切なもの、大切なひとたちを守りたいという思いが私をこの場から離さない。

それはとても大切なブレーキだ。それがあるから何とか耐えようとする。でも。
矛盾しているけれども、そのせいで今こんなに心が悲鳴を上げているのにどうにもできないことが、猛烈につらい。

***

ここまで書いて、もうこれ以上はやめようと思った昨夜の自分。かといってなかったことにはできなくて、タイプしたものをそのまま残して床に横になった。

一晩を経て、つらいは少し丸くなった。落ち着いてきた。おかげで何食わぬ顔で家族と接し、何食わぬ顔でご飯を作り、掃除を為し。心はとんでもなくささくれているのに。このちぐはぐさ加減。自分でも呆けてしまう。
でも、そのくらいしか、今の自分にできることは、ない。

***

やはり、誰かと語り合うって大事だ。それによって凝り固まったものが解れることがある。もちろんその逆のことだって時としてあるのだけれど、でも、語り合う相手をちゃんと選んで、まっすぐに語れば、伝わることのなんと多いことか。
今夜も友に救われた。このまま憂鬱を抱えて夜を越えねばならぬのかと諦めかけていたのに。助かった。

StingのSongs From The Labyrinthというアルバムを聴く夜。こんな夜にはとてもお似合いの、淡々とした語りのようなアルバム。

***

加害者プログラムに出席し、盗撮と痴漢の被害体験について語る。「語りが生々しすぎて怖かった」と参加者から言われ、一瞬何のことかと唖然とする。だって君たちが為したことなんだよ? それが生々しすぎて怖い? どういうこと?
唖然としたその直後、私の中がしんと鎮まり返って、真空になった。不思議だ、ああいう瞬間。しんと鎮まり返る私の内側。
怒りに任せて言葉を吐いても、誰にも何も伝わらない。伝えたいなら、まっすぐに届けないと届けたいもの何一つ伝わらない。もう、経験からそのことを知っている。
もちろん、感情に絡めとられてしまって、どうにもならない時もある。だからこそ、何とかしたいと思う。だって。
伝え合うために対話に臨んでいるのだから。


浅岡忍 HOMEMAIL

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