2022年10月04日(火) |
日の出は実に穏やかで。細い雲が少しだけつつつっと引かれ、その雲が明るい黄金色に輝き始めると、じきに太陽がぽてっと昇ってきた。しんと静まり返った時間。この、しんと静まり返った瞬間が私は好きだ。何もかもが澄んで凛と張り詰めている。
身体があまりに痛くてせっせとテニスボールでケアしている。とある箇所を押した途端すべて痛みが繋がった。ここかぁ!みたいな。ここも腰と繋がっているのだなと改めて納得。身体って不思議すぎる。こんな不可思議な代物よく作ったなと思う。誰が作ったんだ、ほんとに。
昨日から展示が始まった。昨日は終日在廊したが、濃ゆいひとばかりが訪れるので濃密な時間になった。閉店時間になる頃にはもう、正直くたくただった。 どうしてこんな、普通っぽいひとを被写体にしたのですか、と訊いてくるAさんに、思わず笑ってしまった。いや、普通って、普通でいるって、実はとても大変なことなんじゃないかと私は思っています、と返事をしたけれど、ちゃんと伝わっただろうか。 何でも突出しているのがいい、と言われる時代。そんな中で普通であろうとするには、とてつもない労力を要するんじゃないかと。私はそう思っている。普通っぽい、という言葉はだから、誉め言葉として使われるべきだ。
一度始まってしまうと、あっという間に過ぎてしまうのが展示。きっと今回もそうに違いない。だから、在廊できる日はもうそのこと以外考えるのはやめよう。そのことだけ考えて過ごそう。空間を深呼吸しよう、と決めている。
義父が、危篤状態を脱して、リハビリ専門の病院へと転院になった。義母は大喜びらしいが、家人は複雑そうな顔をしていた。延命治療はとりあえず必要なくなったけれど、いつまたそうなるか分からない状況ではある。そもそもコロナになって肺炎になって、そうして危篤になるまでの間に義父はもうくたくたになってしまっていた。自力では水さえ飲めない状況になっていたのだからそりゃそうだ。全身管だらけ、と家人は言い表していたが、本当に、そういう状況だった。 私は、彼の家の人間ではないから。いや、結婚したのだからといわれるかもしれないが、私はあの家から除外された人間なのだ。あの時一筆書かされた過去をありありと思い出す。そういう状況だから、私は絶対にこれについて何も触れない何も云わないと決めている。彼の家のひとたちが決めればいい。私は沈黙を守るのみ。 そして、自分がそういう状況になった時、延命治療は決して為さぬよう遺言しておくこと。それはきっちり書いて残しておくことを心に決めている。
ぬめっとした空気が横たわる夜。じっとりと汗をかいてしまう。昼間びゅうびゅうと吹いていた豪風が嘘のようにぴたっと止まった。そのせいだ。この汗は。 そして明日から、天気が崩れると天気予報が繰り返す。一気に気温が下がるそうで、雨もまた、降るそうで。季節が飛んで行く。秋は何処に行った?
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