ささやかな日々

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2022年09月21日(水) 
ミントティーという名前の薔薇が大きな蕾をつけた。台風の強風ですでに片面傷だらけになってしまっているけれど、実に美しい色合いの花弁。開くのが楽しみでならない。息子が蒔いたビオラもようやっと芽を出してきた。息子が種を蒔いたら全滅だった去年が懐かしく思い出される。あれは一体何故だったんだろう。いまだに謎のまま。アメリカンブルーも徐々に徐々に花数が多くなっている。灰かび病にやられた今年の春先の有様を思い出しては、もう二度とあんな目に合わせないぞと思う。

昨日観た映画「百花」は、私がついていききれなかったのだろうか、阪神淡路大震災の場面以外、何処か他人事のように見続けてしまった。阪神淡路大震災なのだろうシーンだけ、生々しくあの当日のことがフラッシュバックし、少し心臓が波打った。私の周りに、認知症の存在は義父くらいしかいないせいかもしれない。いや、他にも、原作を読んだだけだったら見ていられたものが、映像になってしまうと何処か遠いというか。たとえば母百合子が子を置いて男と暮らし始める場面、母子家庭であるにも関わらず彼女が飛び出せた、飛び出さずにはいられなかった動機が描ききれていなくて、まったくしっくりこなかった。息子が母の日記を開いた途端嘔吐する場面も、わからなくはないが説得力に欠けた。期待してしまっていた分、残念な映画になってしまったのかもしれない。

真夜中、シャワーを浴びに浴室へ。何となく足元を見、タイルの目地の汚れが目立って見えてしまって、早速掃除を始める。使い終えて貯めておいた歯ブラシで細かく細かく磨いてゆく。それでも落ちないところはバスタブクレンジングを吹き付けて1分放置、その後もう一度磨く。あっという間に汗だくになってゆく。私は一体何をしにここに来たんだっけか、との思いが頭を一瞬過ぎったが、一度始めると或る程度やり終えるまで続けてしまうのが私の性分。せっせと磨く。
そういえば今日は電話が幾つもあった日だった。学校からと麦の会からとそれから父からも電話があった。娘からも。学校の副校長から電話があった時にはぎょっとしたが、話を聞いていてだんだん不愉快になってきたので早々に記憶から抹消することにしてしまった。そういう芸当ができるようになっただけ私も成長したかなあなんて思ってみたり。
風呂場のタイルの目地は、そうして何とか綺麗に磨き終えた。まだやろうと思ったらもっとやれそうな気がするのだが、これ以上やっているときっと朝までコースになりそうな気がするのでやめた。またの機会に。

小松原織香さんの著書「当事者は嘘をつく」で、自助グループについての記述がたくさんある。小松原氏には自助グループが性に合っていたのだろう。それを読んで、自助グループに興味を持った自分だったが、先月末実際に参加してみて、ああ私には無理だ、と悟った。性分ってあるのだな、と痛感した。私には、ああいう「場」は、無理だ、合わない。あれが回復の一助を為したという小松原氏が、少し羨ましくなるくらい、そのくらいに私には合わなかった。恐らくもう二度と参加することはないだろう。

カウンセリングを受け始める頃、私はずいぶん抵抗した。何が分かる、と、ほぼ拒絶、だった。おまえなんかに何が分かるんだ、と。今思い返すとずいぶん身勝手な患者だったと思う。でも。どうして私がこんなもの受けなくちゃならないんだ、という気持ちがあったのだ。
そう、私はこんなもの受けなくたっていい、受ける必要ない、放っておいてくれ!と思っていた。自分の領域に、赤の他人に入り込まれるなんて冗談じゃない、と思っていた。そして心の奥底で、恨んだ。加害者を。加害者たちを。私に一次加害した張本人の加害者だけでなく、セカンドレイプしてきた間接的加害者たちすべてを、恨んだ。あんたたちがいなければ私はこんな、カウンセリングなんて受けなくたって済んだかもしれないのに。どうして私がこんなもの受けなくちゃいけないの、どうして赤の他人に心の領域を明け渡さなきゃならないの、どうして私がこんな目に?!と。半ばそんな、恨みの気持ちがふつふつと湧いた。いまだから、そうだった、といえるけれど、当時はそうだと言う言葉さえ、見つけられなかった。
ようやっとカウンセリングを受け容れられるようになったのは、二人目のあの、O先生のお陰、だ。もしO先生がいなかったら、私はもしかしたら、カウンセリングをいずれ拒絶、拒否、していたかもしれない。
何を書いていたんだか分からなくなってしまった。そう、自助グループの話からカウンセリングの話に繋がったんだった。だから、つまり、私にとって自助グループは、縁がない代物だったということ。ようやっとカウンセリングを受けることを受け容れられるようになってきた私に、自助グループはちょっと、受け容れ難い代物だったということ。そういうこと、だ。


浅岡忍 HOMEMAIL

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