ささやかな日々

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2022年08月19日(金) 
布団という代物はとても大切なものだと思い知った今夏の家族旅行。一日目は夕刻まで雨が断続的に降るという具合で。せっかく海が目の前のコテージ、天気が悪かろうと何だろうと海に行かずには済まないというわけで全員で海へ。
しかしワンコは例年の如く、波の手前で踏ん張って動かなくなった。波の音は彼にとって恐怖以外の何者でもないのは相変わらずらしい。私がワンコを引き取って、カメラ係に。他の家族が高い波にも負けずに果敢に海へ。息子はもう、波乗りもうまくなってきていて、家人とかなり沖の方まで。娘と孫娘はその手前でじゃぶじゃぶ。気持ちよさそうだよ? 君も行かない? 何度もワンコを誘ってみるも、彼は私の背後に隠れてもはや出てこない。写真を撮ってやろうにも私が身体を無理にひねらなければ彼の顔を捉えられない始末。
いい時間になってきたし海遊びを切り上げようかという頃になって雨が止んだ。苦笑いしながらみんなでコテージに戻る。

こんなふうにみんなでバーベキューする日が来るなんて、娘がお年頃のあの頃、誰が考え得ただろう。互いに反発しあうしかなかった日々。あれは一体、どういう時間だったんだろうって今ならぼおっと眺められるけれども、当時はもう、誰かが死ななくちゃもうどうにもならないんじゃないかというところまでみんながみんな追いつめられていた。誰かが死ぬか、殺すか、しなくちゃ、もう済まないんじゃないか、と。誰もがそう、思いつめていた。
あれからまだ五年とちょっとしか経っていないんだと思うと、心底驚いてしまう。まだそれだけ?と。もう十年、二十年経ってるんじゃないか、と思えてしまう。そのくらい、みんなが、当時の立ち位置からそれぞれに変化したんだろうなと思う。誰よりも娘。そして家人も私も。

夜はオトナの時間だ!なんて勇んでいた家人が一番最初にこてんと倒れ込むように寝てしまった。次に私も、娘曰く、眼鏡をかけたまま頬杖ついた形で眠ってしまったらしい。娘は孫娘を寝かしつけながら一人起きてたんだよと朝になって言われた。申し訳ない。そんなこんなでオトナ同士の時間なんて一分も持つことなく終わってしまった今年の旅行だった。

帰宅すると、為すべきことが山積みである現実を否応なく認めざるを得ない状況で。ああ個展まであと一か月半あるかないかなんだよなと改めて頭を抱える。なのに、そんな私の状況をまったく顧みてくれない家人が、構ってくれアピール。いや、個展前なのだからこっちの状況を考えてくれよと心の中叫んでみたが無駄で、結局彼が寝ると言い出すまでつきあわされた。つきあったのは自分だと分かってるから、どかんと自己嫌悪。おねがい、個展が始まるまで私を放置してほしい。私を個展に集中させてほしい。真剣に願う。

そして冒頭の、布団の話だけれど。泊まったコテージの布団が本当に酷くて。朝目が覚めて全身がぎしぎし軋むほどの布団ってどうなの、と思ってしまった。そのくらいぺしゃんこの、ちゃちな布団であった。そして思った。娘が再婚した折には、彼女らにいい布団をプレゼントしよう、と。いや実際そうするかどうかは別にして、そう思ってしまうくらいに、今回の布団が酷くて、布団の大事さを思い知った、という話。


浅岡忍 HOMEMAIL

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