ささやかな日々

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2021年06月13日(日) 
「被害に遭う前に戻りたいって思わないんですか」
「被害に遭って、離れていった友達とかいなかったんですか」

いや、思った。何度も何度も何度も、何度も思った。これでもかってほど、戻りたいと願った。しつこいくらいに。
でも。
戻れなかった。戻れないという現実に絶望するばかりだった。現実は、そんなもんさ。
戻れない、というところから、だから始めるしか、なかった。もう二度と戻ることなどできない、というところから、始めるほかに、術はなかった。

被害に遭ってどんどんネガティブになっていった私から離れていく友達たちは容赦なくいたよ。これでもかってほど。いや、ほとんどの人たちが離れていった。私が被害に遭い、PTSDと解離性障害を背負い込んで、リストカットやらODやら何やら繰り返すたび、ひとは離れて行った。被害前から繋がっていて今も連絡を取れる相手なんて、片手に収まるくらいしか、いない。
ああ孤独だ、って思った。何なんだろうって思った。被害に遭うことでこんなにも、何もかもを失うのか、って、絶望もした。もはや笑うしかない、という心地だった。
そういう、笑うしかもうできないようなどうしようもない絶望から始めるほかに、私には術がなかった。

何がきっかけ、とか、何が原因とか、よく聞かれるけれど、まだ私にはよく分からないし、そもそも覚えていない。ただ、がむしゃらに生き延びてきた結果が、ああ生きてるんだな、に変わる頃、ようやっと全身で笑えるようになった。ふと気づいたら、いつの間にかたくさんの友達に囲まれてた。たくさんの縁に囲まれてた。ああ、ありがたい、ってつくづく思った。
生きてる、って、そういうことなんだ、ってぼんやり思った。

今人生折り返し地点を過ぎて、私が被害に遭って間もない彼女/彼たちに伝えられることがあるとするなら。嘘や誤魔化しや適当な慰めなんかじゃなく、私に起きたもはや笑うしかなかった絶望の境地くらいかもしれない。
でもその先には。
笑ってる自分が必ずいるよ、と。

そう、伝えたい。


浅岡忍 HOMEMAIL

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