ささやかな日々

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2020年12月19日(土) 
大気が凛と張り詰めて、朝焼けが美しい季節。だからつい見惚れてしまう。毎朝凍えるのが分かっていてもベランダに出てしばらく佇んでしまう。濃紺から橙色に燃える地平線までのグラデーションは、きっと人の手などでは生み出せはしまい。だからこそ惹かれる。その美しさ。世界はなんて、美しいのだろう。

クリサンセマムはひとつ萎むと新たにひとつまた咲くということを繰り返している。花が途切れることがない。こんな寒い季節になったというのにこの花はこんなに律義に咲いている。本当は春の花なのに。この子は自分の季節を忘れてしまったのだろうか。
挿し枝したアメリカンブルーに水を遣る。コンボルブルスと、先日いただいた黄色い薔薇の枝もそこに同じように挿してあり。みんな根付くといいなあ。
ベビーロマンティカは蕾をつけているのだけれど、こぼれ種で育っているクリサンセマムにすっかり追いやられ、覆いかぶさられている。ちょっと可哀想。
ワンコと散歩に行く道筋に、朝顔が美しく咲いている垣根があり。数日前までこれでもかというほどの夥しい青色の朝顔が開いていた。それが今日、夕刻に散歩にゆくと、一輪も開いている子はなく。ああ、眠ったのだなと思った。眠りについたのだ、と。そしてやがて種になる。今はその準備中。

髪が腰に届くくらいになった。この前衝動的に20センチ以上切ってしまって大きく後悔した。あれから数か月。あっという間に伸びた。きっとあまりに意気消沈した私に同情してくれたんだ、髪の毛が。
スカートはもう手元にない。大好きだったスカートはみな、貰われていった。残るはこの、髪の毛のみ。化粧も何もしない私にとって、私の女を証すものはもう、この長い髪だけ。
この髪をいつか短く切ることがあるだろうか。
あるかもしれない。その時は私は、きっと、すべてを捨てたんだろう。自分の裡の女性という性のすべてを手放したんだろう。
でもまだ、今はまだ、これだけは手放せない。私の唯一。


浅岡忍 HOMEMAIL

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