ささやかな日々

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2020年11月03日(火) 
霧のような雨が止んだ。それと共に娘と孫娘がやってきた。孫娘はずいぶん口が回るようになってきて、何やかやと喋りかけてくる。もうたどたどしい口調ではなくなって、私には聞き取れない言葉が多いけれど、彼女自身は確信をもって喋っているのが伝わってくる。
娘はずいぶんお疲れの様子で。昼食後すぐ布団に包まったかと思ったら寝息を立て始めていた。娘を起こさぬよう、孫娘をベランダに誘う。
さて。
以前から気になっていた、ラベンダーの鉢をひっくり返す。出てくるわ出てくるわ、コガネムシの幼虫。孫娘に、この虫が根っこを食べてお花を枯らしちゃうんだよ、と指さす。すると孫娘は至極真面目な顔で「うん分かった!」と返事をしてくる。私が土を掘り返すたび出てくる虫。それをつまんでぽいぽい放り出す。と、孫娘が「えいっ!」と言いながら踏みつけにする。あらまぁ、と一瞬呆然となったが、何だかその様子がとても誇らしげなので、そのまま彼女に任すことにした。私が虫を放る。孫娘が虫を潰す。延々その繰り返し。
ラベンダーの根はすっかりぼろぼろになっており。一本はもうこれはだめだろう。でもそのまま捨てるなんてできない。枝を切り、空いたスペースに挿すことにする。孫娘を手招きし、ここにこれを挿してくれる?と頼むと、これまた真剣な表情でゆっくり枝を挿してゆく。
一時間ほどそうやって土いじりを楽しんだ私たちは、洗面所で手を洗う。私が、爪洗いのブラシの使い方を教えてやると、早速嗜む孫娘。ふたりで互いに手を見せ合い、きれいになったねとにんまりする。
来週三歳になる孫娘の為に買っておいたケーキを、三時のおやつにみんなでいただく。紫いものモンブランを娘と孫娘が、南瓜のケーキを息子が、私はマロンタルトを選んで、ちまちま食べてゆく。気づけばもう、陽ざしはほんのり色づいてきている。
早めの夕飯を作り、みんなで囲む。その間に太陽はぽとりと地平線に沈み、瞬く間に辺りは暗くなる。

いってみれば、どうってことのない休日。でもその、どうってことのなさが、日常という贈り物。日常を失ってみればわかる。それがどれほど私たちを支えているものであるのかということ。


浅岡忍 HOMEMAIL

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