ささやかな日々

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2020年09月21日(月) 
娘と孫娘が泊まりに来た。孫娘はだいぶ喋るようになっており、でもまだ半分以上はこちらは聞き取れない。ん?もしやこうかな?と想像しながら相槌を打つ。彼女は自分の言ってることはもちろん、こちらの話していることも十分理解しているよう。時々不意に、こちらがびっくりするようなことを言う。侮れない。
その娘と孫娘と、そして息子と、クレヨンしんちゃんの映画を観に。娘は最初「えー、クレヨンしんちゃんよりドラえもんがいい!」なんて言っていたくせに、観始めたら誰より先にぼろぼろ涙を零していた。映画が終わりを告げる頃孫娘がスクリーンに向かって拍手をし始め、息子が「しーっ!静かにしなきゃダメなんだよ!」なんて言い聞かす場面も。娘が「マスクが濡れた、どうしてくれんの」なんて文句を言ってくるので「しんちゃん映画、侮れないっしょ?」と言うと、確かにと笑っていた。
夕方、もう娘も孫娘も帰った後、息子が「カマキリさん、元気なくなってる」と言う。そりゃあそうだよと応えると、「どうしよう」と言うので「もう逃がしてあげたら?」と声をかける。「うん、今から逃がしてきていい?」と言うのでいいよと応える。カマキリって秋に死んじゃうんだよね、と言いながら逃がしに出かけた息子。しばらくして帰ってくると「他の人にまた捕まったら可哀想だから、見つからないようなところに逃がしてきた!」とちょっと嬉しそうな表情をしていた。

誰が悪いわけではなくても、物事がこじれることがある。誰が誰を傷つけようなんて意志がなくても、誰かが誰かを傷つけ、誰かが誰かに傷つけられるという具合に陥ることがある。そして様々な状況に雁字搦めになって、身動きならなくなって、という、悪循環。誰が悪いわけでもないのかもしれないけれど、それでも誰かが傷つき傷つけられ、救いようのない泥沼に陥ったり。
それが人間の業なのかもしれないけれども。それでも。
やっぱり、そのたびに、悲しくなる。

夜、ベランダに出てみると、のっぺりと、闇。何となくシャッターを切る。息子がそれを見て「僕も!」と、家人の古い携帯を使って夜を撮る。珍しく何処からもサイレンの音が響いてこない。そんな、夜。


浅岡忍 HOMEMAIL

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