ささやかな日々

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2020年07月25日(土) 
濃紺の朝顔(宵の月)が一番好みだと思っていた。でも水色の朝顔(ヘブンリーブル―)が咲いて初めて、ああこちらの色合いの方が今の私にはしっくりくると気づいた。淡く澄んだ水色。昼過ぎには色が変わってしまいそれと共にあっという間にしぼんでゆく朝顔。たった一日きりの命。
友人からもらった花束に入っていた薔薇の枝を試しに挿してみたら、うまいこと繋がり新芽が出てきた。今日のこの陽光が、つい先ほどまで降っていた雨の粒をきらきら輝かせ、新芽を生き生きとさせている。アメリカンブルーはいつも通りに咲く。そのいつも通りにというところ、すごいなあと思う。当たり前のものなんて何もないことが分かっているからなおさらにそう思う。
遊びにやってきた女友達が珍しく酔っぱらい、結局我が家に泊まってゆくことになった。丑三つ時目を覚ました彼女が、饒舌にあれこれ、繰り返し繰り返し話をするのに、相槌をうちながらずっと耳を傾ける。きっと明日の朝に目を覚ましたら彼女は今夜のことなんてほとんど覚えていないに違いない。そう思いながらも。
それにしても今年は梅雨が長い。だからこんな、今日のような陽光が愛おしくなる。いくらでもぱくぱく食べれそうな気がしてきてしまうくらいに。

文通相手から「一通目」「二通目」とそれぞれ封筒の表に書かれたものが届く。つまり二通まとめて。一通に七枚分の手紙が入っており。最初流し読みし、その後でじっくり読む。小さめの字をぎっしり書いてくる彼の手紙は、持つだけで重い。何というか、彼がこれらを書くのにかけた時間や労力がそのまま手紙に宿っている気がする。
もう一人の文通相手さんからも先日手紙が届いた。怪我をして安静の日が続いていたと書いてあった。いつも端正な文字を書いてくる彼の手紙はだから、まだ怪我の箇所が痺れるという言葉通り、微妙に歪んでおり。珍しく短い手紙だった。
もう一通、南の方に住む友人から手紙が届く。彼女が描いたのだろう素描も二枚入っており。封筒裏面に走り書きで「何とか生きてる、描いてる」と書いてあった。あの本を読んできっと、彼女はすごく拓けたに違いない。いろんなものが拓けたに違いない。そう信じている。長い時間がかかったけれど、彼女はきっとひとつ、大きなトンネルを抜けたんじゃなかろうか、と。

空模様が刻一刻変化する。陽光が煌めいたと思っていた直後ざあっとスコールのような雨に見舞われ。雨がまた突然止んだと思えば青い空がぱあっと広がり。目まぐるしいことこの上ない。一日のうちに幾つもの天気の下を歩いている。

ねえ、あなたは今、何処にいますか。そこに、いますか。


浅岡忍 HOMEMAIL

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