2020年04月06日(月) |
息子とべったりの毎日。ちょっと息切れ。そういう時はふたりでちょっとだけ自転車に乗る。 まだ自転車を買って一か月しか経っていない息子の運転は、もちろん上手じゃない。でも奴は必ず私についてくる。少し距離ができても、必ず私めがけて走ってくる。 だから私は、安心して走っていられる。 もちろん、途中、交差点や信号のたび、後ろを振り返り前を見やり、息子に声掛けするのは当然だ。しかしたいてい彼は、私を見つめるその先に、それらをしっかり見てとり、私に「わかってる、母ちゃん!」と応えるのだ。 ああ、こやつ、自転車好きなんだな、とそのたび思う。
私も自転車が大好きだ。運転免許証を持っていない私にとって、自転車は唯一の足だといっていい。だからというわけではないが、私は自転車で、風や景色を切って走るのが大好きだ。 大学時代、夜のバイトをしていた頃、自転車で誰より早く店に入り、まかないを作ったり準備をして、そうしてバイトが終われば、三十分の道程を家まで自転車で走って帰った。バイト中どんなにいやなことがあっても、自転車で風を切って走ると、おのずと忘れられた。飛んで消えた。真夜中の街は余計なものがすべて闇の中に沈んで見えなくなっていて、だから余計に気持ちよかった。時には歌いながら走ったし、時には笑いながら走った。それが私には、自分を切り替えるのに大切な時間だった。
息子もいつか、いやなことばかりの日々を迎えるに違いない。年頃になって、ありとあらゆることが嫌悪され、どうしようもなく自分が鬱屈してしまう時期を迎えるに違いない。でも、気持ちを切り替える術をひとつでも持っていたら、きっと息抜きはできるに違いない。 自転車がその、切り替えの術のひとつになるといいなと思う。
ベランダのプランター、ラベンダーたちが蕾をくっきりと付け始めた。息子と一緒に、指でちょんちょんっと突いたりして昨夕遊んでいた。苺の花ももう十個目。「いつ苺できるの?」「これが大きくなって赤くならないと食べれないよー」。息子とのやりとりももう何回目。イフェイオンはもう盛りを終えた。アメリカンブルーがかわりに花を付け始めた。薔薇たちも新芽の奥に蕾を湛えている。 |
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