てくてくミーハー道場
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2019年03月02日(土) |
『唐版 風の又三郎』(Bunkamura シアターコクーン) |
ちえちゃん(柚希礼音)はもちろんなんですが、今回は特に窪田正孝君を目当てにやってまいりました。
当時すごく感動したくせにエントリしてないのですが、2013年に上演された『唐版 滝の白糸』を観たときに(お目当てはゆーひちゃん(大空祐飛)だったんですが)窪田君のアリダ少年にすっかり感心してしまいまして、以来、窪田君の舞台はマストだな、と心の準備をしていたにもかかわらず、テレビや映画にしか出てこないのを歯がゆく思っておりました。
そんなに見どころのある俳優さんなら、テレビドラマも視たらいいじゃん、とお思いでしょうが、そしてぼくもそう思うんですが、テレビドラマって、どうしても「日常」の中で「何かのついで」に見るという感覚が抜けなくて。
気が付くと見逃がしてしまう。
あ、でも『アルジャーノンに花束を』は視たっけ。原作が大好きなのと、主演のP(山下智久)目当てだったけど()
あのドラマも良かったな。窪田君はもちろん、Pもすごく良かった。意外と演技力あるんだなと思った(一言余計だ)
話がそれた。
んで、今回。窪田君への期待が全く裏切られなかったことに、嬉しさがこみ上げております。
役者の演技力を言葉で分析するのはすごい野暮なんだけど、特に窪田君の芝居力は、とても分析しようがないという感じがある。
「あれ?なんかここ、違うくね?」
みたいな違和感を一切抱かせない、りきみのない力。
よくわかんないけど、すごい子だ(語彙力なさすぎだろ)
関係ないけど、彼は何と来年のNHKの朝ドラで、わがふぐすまの偉人・古関裕而先生を主役として演じることになったそうで。
めっちゃうれしいっす。ふぐすまではここ数年間、古関先生ご夫妻を朝ドラの主人公に!とキャンペーン張ってきたんで、それが実現したのもうれしいけど、窪田君が演じてくれるってのも光栄であります。
ヒットしますように。
(閑話休題)だが、やっぱちえちゃん(が主役)だったな。ぼくには。
ステージに目をやりながら、何度心の中で「ちえちゃんカッコいい!」「ちえちゃん素敵!」とつぶやいたことであろう。
登場シーンの「ぼく、風の又三郎です」の瞬間から既に心わしづかみ。
そして、ズボンを脱いで真っ赤なシュミーズ(スリップドレスとかいう粋なものではないらしい)姿になった瞬間のフェロモンむんむんな美女っぷりに、ぼくの中のエロオヤジが大興奮(あぶねえなお前)
今回ちえちゃんは、男役(少年役と言え)、美女役、ダンス、歌とそれこそ八面六臂の大活躍で、初演の李麗仙(当時の芸名は李礼仙)はこんな高スキルの女優だったのか、と逆の変な感心をしてしまったぐらい(だからこそヅカOGが重宝されるんだろうなあ)
ぼくは李さんのナマ舞台は『近代能楽集』の「卒塔婆小町」しか観た記憶がなく、これもちょっとお年を召されてからだったので、この、エリカとか、『唐版 滝の白糸』のお甲さんとかがどんなだったかの想像がちょっと難しい(この日のエントリご参照)
李さんはヅカ出身ではないので、舞台で男装したとしても、いわゆる“男役のスキル”でやってたわけではないだろうから、ヅカオタから見ると、えもいわれぬ奇妙な(失礼)感じがしたんだと思う。
むしろその奇妙さが、このエリカという役の魅力だったんだろうと。
そう考えると、男装が板につきすぎてる“元男役”がこの役をやることは、果たして良いことなのだろうか・・・とも思ってしまうな。あまりにも違和感がなかったので。
関係ないけど(関係ない話ばっかやな)、途中、織部(窪田君の役)がエリカ(ちえちゃん)に、
「どうしてズボンを脱いでしまった(つまり、女であることを隠すのをやめた)んですか」
と嘆くシーンがあって、これってなんか、いつまでも“男役・柚希礼音”をちえちゃんに求めてるヅカオタの嘆きみたいに聞こえた。
それは違うぞ、見ろ、今のちえちゃんを。実に素晴らしい女優に変貌を遂げたじゃないか、と、ぼくは織部(の奥にいるわからずやのヅカオタ)に訴えたかった。勝手に。
ぼくの考えすぎだと思うけど。
いやでも、ガラスのマントを翻しながら「どっどどどどうど♪」と歌うちえちゃん、めっさカッコよかったけどね。
このナンバーの中で、帽子のつばをちょっとなでる振付があって、まぁそこが、「キャーッ!」となるぐらいカッコよくて(#∇#)
って、ぼく自身が、ちえちゃんに“男役”を求めてるやないかい!ってことですが。
実は今回この作品を観に行くにあたって、『下谷万年町物語』みたいに、
「わ、解らん・・・」
とならないかと心配ではあった。
でも、むしろこれまでに観た唐十郎作品の中で、一番解りやすかった。安心しました。
演出は、どうしようもないことだが蜷川さんが亡くなってしまったので、お弟子的立場の金守珍さんで、ご本人も「ハゲタカ三兄弟」の一人としてご出演。
この三兄弟(あとの二人は六平直政さんと石井愃一さんという“おなじみ”のお二人)や“風売り”の銀ちゃん(山崎銀之丞)、そして風間杜夫さんなど、唐やらニナガワやらつか(こうへい)やら、学生時代にぼくがビビりながらも憧れた“エンゲキ”界の雄たちがゾロゾロ顔をそろえた贅沢な舞台で、あー観に行って良かったと心から満足。
金さんの演出は、風間さんのセリフに、
「私?私は教授だが」「教官?・・・だから違うって」「“ちえみちゃん”じゃなくて、あそこにいるのは“ちえちゃん”」「だから、ドジでのろまな亀はここにいないの!」←
みたいなギャグもあって、こういうのニナガワさんだったらやらんだろうな、と。
その話題に上った(堀)ちえみちゃんですが、きっとご回復をお祈りいたします。わざわざ名前を出したのは、なんだか彼女へのエールのような気がしました。
おっと、最後までとっといて忘れるとこだった(おい)
“夜の男”=北村有起哉
例によってう ま す ぎ る(−− )
「こんばんは」の一言でぼくの耳(とハート)をわしづかみ。
彼は映画やテレビにもしこたま出てますが、舞台もたくさん出てるので、時々そのイケボを堪能させてもらってます。
もちろん声だけじゃなく、演技力は折り紙付き。
実は、事前に出てることを知らずに観に行った役者の一人だったんで(そもそも事前に知ってたのはちえちゃんと窪田君だけなんだが)、北村君だと分かった瞬間、すんごく得した気持ちになりました。
終演後渋谷の街を歩きながら、どっどどどどうど♪とつい口ずさんでしまう魅惑的な舞台でありました。
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