てくてくミーハー道場

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2017年10月28日(土) 『髑髏城の七人 season風』(IHI STAGE AROUND TOKYO)

正直に書きます。

一幕目途中まで、「今回は失敗だな」と思いました。

特に、捨之介と蘭兵衛が無界の里で再会した後に二人きりで会話するシーンは、舞台ヲタのぼくの完全な偏見であることは百も承知ですが、

「なにこの22時台のテレビドラマみたいなの」

と、正直鼻白んでしまいました。

演者お二人のファンの方にボコボコにされるのを覚悟で言いますが、二人して芝居が平板。

久しぶりだなあ、芝居見ながら「帰りたい・・・気がする」と思ったのは。

テレビでよく見る俳優に対して偏見持ちすぎでしょうか。

そんなこと言っても、ぼくは松山ケンイチに関しては前回の舞台『蒼の乱』は非常に面白く観ましたし、映画『デトロイト・メタル・シティ』大好きなんですよ(『デスノート』は未だ観てないという)・・・偏ってますかね、やっぱし。

向井理君に関しては、時々テレビドラマで視たことしかなく、映画も舞台も(その中継録画も)観たことがありません。そんなわけで、今回の蘭兵衛抜擢には期待より不安の方がまさっていたわけですが、それがそのまま現実化してしまいました。

ついでに回し蹴り()でもう一人批判しますが、極楽太夫・・・残念です。まったくもって無界の里で全盛を張る花魁になってない。

その周囲にいる女の子たちに完全に埋もれている。

年齢的にも極楽を演じるには早すぎたのじゃないかと思いますが。

むしろ沙霧の方が似合ってたんじゃないのか?

このお三方に対しては、ごめん、褒め言葉が出てこないです。とりあえず向井君もマツケンも肢体はすばらしく美しく(二人とも身長180センチ超)遠目で見てもなおさらカッコ良いという美点はあったのだけど、なぜだろう、“舞台俳優”としての存在感が希薄。顔が小さい、という映像俳優には最大のメリットも、舞台俳優にとってはデメリットでしかない、というのもあったのかもしれないが、それよりとにかくセリフ術が舞台人のそれじゃなかった。

さらに調子に乗ってマツケンに対しての批判となりますが、捨之介はまだ良かった。小栗旬ほど見た目がカッコ良くはなかったが、体がよく動いていたし殺陣が思いのほか素晴らしかった。

でも、どういうんだろうな・・・映像作品で評価されているような「変幻自在さ」はほとんど感じられず。天魔王の時の極悪人ぷりが、特段凄まじくもなく色っぽくもなく、森山未來のようなエキセントリックな面白さもなく、貫禄もない。

なんていうか、コクがない悪役だった。これは、メインを張る悪役としては致命傷に近い。

残念でならない。



だが今回、久しぶりに捨之介と天魔王の二役バージョンを観て実感したのは、やはりこの二人の顔がそっくりという設定の方が、話がずっと面白いということだった。天魔王を演ることにより、捨之介の方のキャラも立ちやすくなるという作用が生じるのが分かった。

あと、捨之介と天魔王が別人バージョンを何作か観てきてやっぱり思ったのは、このバージョンだと捨之介の“しどころ”があんまりなくて、よほど主役然とした俳優でないと、捨之介役の役者が主演に見えないのだ。

ワカドクロの小栗を観たときに、それを強く感じたからなあ・・・って、今回は関係ないよね、ごめんなさい!





さてさて、では他のメインキャストさんたちについて。

山内圭哉 as 兵庫

飄々とした自分の個性を残しつつ、きちんと新感線式芝居をモノにしていた。この人が兵庫みたいなバカ120%で暑苦しい役をやるのをぼくはあまり観てないので(どちらかというと何を考えてるかわからない不気味な役が多い)、新鮮な気持ちで観れた。ステキだったです。


生瀬勝久 as 狸穴二郎衛門

タヌキ親父味のない二郎衛門。二枚目味増し。イケボって得(笑)

なんでかな、『髑髏城〜』って上演されるたびに二郎衛門がカッコいいキャラになってきてない?


橋本じゅん as 贋鉄斎

今バージョン最大のウリ(爆)

まあ贋鉄斎は毎回コメディリリーフ的な役ではありますが、特に今回は一番濃かった。

安定のド 変 態 キ ャ ラ(≧∇≦)

変態大好き(おい)なので、大満足いたしました。


岸井ゆきの as 沙霧

ハイ、例によって知らない女優さんです。まあ、沙霧としては申し分なく元気があり、演技力も充分(熱がないなー、いつものことだけど)

今回の捨之介はぼくが望んでいた()ちょっとスケベキャラだったので、沙霧もいろんなとこ触られてましたが(でも元祖ほどではない)、沙霧の心の動きは一番出せてたかな。台本と彼女の演技力がうまく合ってたと思います。


ちなみに今回、風の力を利用して剣先が届かない相手を斬ることができる“かまいたちの術”を使うことができる(説明的!しかも実は・・・おっと、以下ネタばれにつき略)因達羅の蛇眼(吉田智則)というキャラが出てきて、このバージョンが「風」であることを示していたのですが、「花」「鳥」ではそういうのあったっけ?(注意不足)

あとでゆっくり思い出してみよう・・・たぶん忘れてるけど←



で、ミュージカル調(?)だった「鳥」に対して今回はテレビドラマ調(おいこら)だったんですが、今回も挿入歌(「風の曠野」)があって、なんと美しく艶のある歌声であろうか、と思っていたら歌い手は森奈みはるであった。美声健在。嬉しいことである。

さてと。次回「月」二作はいつ行こうかなあ。なんか、今までと違う客層になりそうで、正直そっちにびびってる。とりあえず観損じることだけは避けなければ。


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