てくてくミーハー道場

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2017年10月08日(日) ミュージカル・コメディ『パジャマゲーム』(日本青年館)

約2年間かけて完成した新・日本青年館に、やっと足を踏み入れてまいりました。

新しい大ホールについて、前身の二代目日本青年館大ホールとの違いを一言で申しますと、ロビーが細長くて客のハケ(終演後の流れ)があまり良くない。入口出口たぐ(おいこら無関係)・・・もとい、エントランスが若干狭目の階段しかなくて、そこで人の流れがつまっちゃう。前の青年館大ホールの大階段みたいな幅をもたせるのは無理だったのでしょうか。そこが少し残念でした(一階の入口自体は広々としてただけに)

あと、名物(と思ってたのはぼくだけ?)“微妙にパサパサ(おい)なサンドイッチ”を売っていた売店がなくなり、一階にはファミマが。まあ、これは安心できますね。でもちょっとだけあのパサ(略)サンドイッチが恋しかった。



さて、肝心の公演の感想を。

一筋縄ではいかない複雑なストーリー展開(平気でバッドエンドだったり)の作品が多い昨今のミュージカル界隈ですが、この作品は1950年代に生まれただけあって、まあこの(角栄さん?)、ベッタベタにベタなロマンチックラブコメディであります。

もちろんハッピーエンド。

すがすがしいくらいに古 い。 ( ̄□ ̄;)えっ・・・ちょ、ちょい待ち(汗)

いやー、古かった、ストーリー展開。

これに感情なじませるのがけっこう大変だった。ぼくには(この、ひねくれ者!/怒)

そうです、仕方ないんです、ぼくはそういう人なんで。

でも、だからと言ってこの作品に不満ぶーぶーとかそういうことはありません。

ミューオタですから、いわゆるオールドファッションな今作のノリ(主人公とヒロインが出会って、たちまち恋に落ちるとか、芝居がしばしあって、はい歌、はいそして人が集まってきてダンスナンバー!とか)も、「こういうものだ」と納得しながら観させていただきました(こうやって書き連ねているってこと自体、まあ・・・そうなんですね、ちょっと辛かったんですね・・・)

こういう、「こういうものだから、納得して観なさい」って言われるようなストーリーって、タカラヅカだと素直に従えるところがぼくの困ったところで(タカラヅカは、作品を鑑賞するのではなく、生徒のスキルを愛でるものというひねくれた考えがある)、みちこ(北翔海莉)の初ヒロイン作だから採点が甘いのかなと。

・・・困ったな、作品に対する不満しか書いてない気がする。

正直に言うと、みちこ以外のキャストの方々、ぼくでも存じ上げている方もたくさんいたし、歌唱力もダンス力も素晴らしかった。かなり。でも、それでもどことなく「足りない」感じがぬぐえなかったんだよな・・・。



たとえば、名指しでディスるのはすごく心が痛むのだが、役が大きいんだから耐えてもらいたい、ニーロ(新納慎也)君。

歌も以前から比べると大変お上手になっていたのだが、みちことデュエットになると、完全に力負けしてるのがバレる。別にみちこが力任せに歌っているのではなくて、むしろ逆で、彼女はもうほれぼれするほど変幻自在(みちこには大甘ですから覚悟しろ)の歌唱力でナンバーごとに声を使い分けていたのに、ニーロ君がついていけてない。

みちこの歌唱力をSSレベルとすると、彼はAからS'のレベルなのだ。普通なら十分なレベルだが、“主演男役”()にはそれでは足りぬ。

実力的には悪くはないはずなんだが、とにかく“主役らしさ”が足りないのだ。これはぼくがこれまで脇役Aレベルのニーロ君を観すぎてきたせいなのか、なんだかとにかく、華やかさが足りないと思えた。

歌唱力っていう部分で言えば、男役二番手(ヅカ病が出てきたぞ・・・)がやりそうな役チャーリーの広瀬友祐君の方が、ずっと点が高かった。Sレベル。いやあチャーリー、魅力的な男だったなあ。これは得な役ですよ。前途有望な若手男役がぜひやるべき役(タカラヅカから離れろ!)

待てよ、二番手がやる役はハインズ(栗原英雄さん)かなあ。奇妙なおっさん役ではあるが、ソロナンバーも多いしおいしい役。

栗原さんは、ぼくは『不信〜彼女が嘘をつく理由〜』でしか拝見したことがない俳優さんなのだが、今回はもう本領発揮で歌い踊りナイフも投げる(笑)大活躍でした。素晴らしかった。

そのハインズの彼女・グラディスは、こういうミュージカルコメディには必ず出てくる悩殺系美女。大塚千弘ちゃんが肉体美を駆使して()これまた大好演。本作の2大ビッグナンバーのひとつ「ヘルナンドス・ハイダウェイ」のセンターパーツとして大活躍でありました。

なんか、今回は、この作品全体のパッケージの良さというよりも、1曲1曲の完成度で観客を圧倒、みたいな感じだったんだよな。とにかく出演者の皆さま、技術力は素晴らしい。だが・・・いや、これ以上は言うまい(言ってるようなもんだが)



で、それを一番実感したのが、二幕冒頭の「スティーム・ヒート」

これがもう圧巻で、チケット代の9割・・・っていうと大げさすぎるけど、ぼくにしてみればまさしく8割以上はこのナンバーを観るために出したって実感がある。

「スティーム・ヒート」だけのために9,200円出したといっても過言ではない!
(いや、過言かな?←どっち?!

まあとにかく素晴らしかった。甘々みちこオタのぼくが言うことなので信用度は低いかもしれませんが、今回の作品、みちこの芝居、歌、どちらも「こないだまで男役だった人の若干不自然な部分」が一切なく、わざとらしい女っぽさや高いトーンのセリフ回しや弱々しいファルセットなどがなくて「さすがみちこだ」と大満足していたところへ、この半端ないクオリティの「スティーム・ヒート」。もう、トム(サザーランド)に足を向けて寝られません(ぼくんちから見てトムがどっち方角に住んでるか知らないけど)

しかしみちこ、本当にタカラヅカ時代とたいして変わらない声のトーンで普通にベイブを演じてたのには感服した。これはアレだろうか、タカラヅカ時代も、みちこはたいして声を作らずに男役を演じていたということではないだろうか。これはすごいことである。

あまりにも自然にヅカ時代のまんまなので、いっそ在団時代にシド役を演ってほしかったなと思ったりなんかして(←これだからヅカオタは!/叱)

でも、ベイブ役じゃないと、あの「スティーム・ヒート」は出来ないのか、それは困る。

まあ、ショーでやれば(えー加減にしろ)

・・・すみません。

とまあ、こんな感じの感想です。

あっそうだ、無敵(ぼくにとって)のみちこにも、スカート&ロングヘアという強敵をひれ伏せさせるには、まだ時間が足りないようであったと最後に申し上げておきます。

あと1〜2年ぐらいかかるかもな・・・いや、意外にこの強敵は・・・ま、まあ、いずれ。←


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