てくてくミーハー道場

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2017年05月05日(金) ドラマティカルシリーズ リーディングvol.1『Punk Chanson〜エディット・ピアフの生涯〜』(よみうり大手町ホール)

エディット・ピアフは魅惑的な存在であるから、彼女を“演じたい”と望む女優は多いであろう。

彼女が残した歌を歌いたがる歌手も多いであろう。

だがしかし、その熱意が必ずしもすべての観客に好意的に受け止められるとは限らないのも、エディット・ピアフならではである。



なーんて気取った書き出しをしてしまったが、ぼく自身はさほどピアフへの過大なシンパシーは抱いていない優しい(?)客なのでご安心ください。

お目当ては水夏希です。

ますますご安心ください。←

ただ正直に言いますと、ぼくは普段ちかちゃんに“歌”の部分では期待していない(失礼なやつだわね)

が、本日、(リーディングプレイということで)ほとんど動きのない中ピアフという一人の女性の生涯を演じたちかちゃんを観て、そしてそのセリフ術と歌声を聴いて、「過小評価していて、ごめん」と謝りたくなった。

すばらしかった。

セリフ術はもちろんのこと、歌の説得力も。

「歌唱力」を、技術的部分と説得力の部分に分解するならば、ちかちゃんはやはり技術的部分では優等生とは言えない。

だが、ピアフを歌うのに必要なのは、むしろ説得力の部分ではないか。

もちろん、技術なくして説得力があるわけないので、その“必要な”部分の技術は、曲がりなりにも宝塚歌劇団出身者である以上、基本はできている。その上での説得力が、ちかちゃんの歌にはあった。

いわゆる“芝居歌”である。

これは、CMで「緑のはみがきディープクリーン♪」とたどたどしい歌声を披露して「この人、歌下手じゃね?」とうちのつれあいとかに言われている大竹しのぶが(←こらこらこら)、その当たり役『ピアフ』で脅威的な歌唱力を発揮し、観客の涙を絞っていることからも自明である。(←ディスるのか絶賛するのかどっちかにしろ)

ピアフ自身が、コロコロした美声で聴衆を“酔わせた”わけではなく、そのすさまじい説得力で人々に彼女の歌を“渇望”させたことからも分かる。

ピアフを演じるには、そういう歌唱力が必要なのであることが。

本日の舞台はいわゆる朗読劇だったのだが、実際には出演者たちはちゃんとセリフを全部覚えた上で演じていたことが分かったのも嬉しかった。こういうのって判るんですよ、客には。

各自台本をめくりながらセリフを言っていくんだけど、ピアフが激高したときにはその台本を乱暴にめくったり、悲しむ場面では力なくめくったりというその“動き”までちゃんとお芝居になっている。

小さいことだが、なんかそういうとこ素敵と思いました。



ちかちゃん以外の出演者は、アコーディオン演奏のアラン・パットンさん以外は日替わりで、本日のソワレはやまじー(山路和弘)と、辻本祐樹君。

やまじー目当てだったので今日を選んだわけですが、辻本君のことはまったく知りませんで。映像ものにはたくさん出てるみたいだけど、ぼく、テレビドラマ視ないからなー。普通のイケメンイケボ俳優さんでした。

「vol.1」つってるので、これから続けていくんだろう。主演・ちかちゃんで続けていくのか、それとも、似たようなテーマで続けていくのか分からないが、次回作(おそらく、構成・演出をスズカツ(鈴木勝秀)さんでやっていく、という点が一緒なんだろうな)も、興味がわいたら行ってみたいと思いました。

ぼくのことだから、多分出演者に左右されるだろうけど。

とりあえず、次回ちかちゃんには『キス・ミー・ケイト』でお会いしようと思っております。Show Must Go On!


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