てくてくミーハー道場

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2017年01月21日(土) 『お気に召すまま』(シアタークリエ)

日本のスケオタの間を駆け巡った「ネイサン大事件です!」のハッシュタグがついたツイッターの話題は、とりあえずぼくは月曜日(フリー終了)まで待つことにします(笑)





私生活の事情で、去年からどうも劇場に行く回数が減っているわけですが、とりあえず年明けからは時間があればまた通える気分が戻ってきました。

ぼくの年齢+嗜好だと、この『お気に召すまま』という沙翁芝居、かの『ポーの一族』シリーズ「小鳥の巣」を抜きには語れません。

エドガーとアランが、第二次世界大戦の爪あともまだ癒えぬ1959年の西ドイツのとある全寮制高校(ギムナジウム)に突如現れるところから本作は始まります。

一体何しに来たのかというミステリー要素と、そこの生徒たちの思春期ど真ん中の瑞々しい感性を描いて、シリーズの中でも一、二を争う人気作です。

この話では5月の創立祭が舞台になっていて、その中で『お気に召すまま』を上演するという設定になっていました。

田舎の中学生だったぼくは当時この芝居を知らなくて、異国の美少年たちが演じるシェークスピア劇の断片をモー様の流麗な絵で見ながら、「どんなお話なんだろう? 一度全編観てみたいわあ」とあこがれておりました。

その後幾星霜(大げさ)、結局今日までしっかりと観ずにきたようです。だって記憶がない(←)

蜷川さんのオールメールシリーズ(男優だけでやるやつ)のテレビ放送をちらっと視たぐらいだと思う。

録画したのかも記憶がない。

例によって本題に全然入らないな。ごめんなさい。



そんなわけで、今回どうやら初めての『お気に召すまま』だったんですが、舞台設定を1967年のアメリカ都市部にしているという大胆な作品であります。

ただし、台詞は今風にアレンジなどしておらず、例の“シェークスピア調”で全編通してきています。

役者の皆さんの苦労がしのばれます(←)

すごかった、みんな(^^;)

でも、これができなきゃプロの役者じゃない、とシアターゴアーとしては厳しく言わせていただきます。

一部を除いて(おい)若い俳優も多かったのですが、覚えるのに精一杯で「コトバ」になってない、というような人は一人もおらず、素直に舌を巻きました。

舞台設定については、当時のヒッピー文化の聖地・ヘイトアシュリーを、シェークスピアが描いた桃源郷であるアーデンの森という設定にしてあって、彼らが謳歌するLove & Peaceを、“今”(21世紀)のぼくたちから見るとちょっとだけ思うところが・・・みたいな仕掛けもしてある。

びっくりしたというか面白かったのが、シェークスピアの時代の“羊飼い”たちが“幼稚園の先生”という設定になってたところ。

羊たちがそのまま園児たちになって、大人の生々しい恋愛を無邪気に眺めてるというエヅラがちょっとぼくの感情にヒットした。

男装する美女・ロザリンドをちえちゃん(柚希礼音)が演じたので、多分にヅカ友観客の動員を狙っていたフシがありありだったのだが(なぜ皮肉る?)、普通に見ても面白い芝居でしたよ。

むしろ、かつての男役像を期待すると、逆に中途半端で良くなかったような。

ロザリンドみたいな役は、元男役がやるよりも、大和田美帆ちゃんみたいな(具体名を出してすみません。好きな女優さんなもんで)実力のある女優さんがやったほうが良いように思うのです。

逆に、というか、はっちゃけキャラのシーリアをやったマイコがすばらしくて大満足。

彼女はG2演出版『ガラスの仮面』シリーズで姫川亜弓を演じておりますが、実に見事なエリート女優(美貌・実力・血筋がパーフェクトという意味)っぷりで、これまたぼくが好きな舞台女優(映画とかで観ると、お顔がうす/略)さんの一人です。

オーランドーのジュリアン君は、ぼく、今回初めてかも知れない。『MITSUKO』に出ていたらしいんだけど、ダブルキャストだったからなあ。

見慣れない俳優さんだったので、モデルなのかと思いました。顔も肉体(劇中、上半身脱ぐので/笑)も、そして芝居の雰囲気も、何かモデルっぽかった(悪い意味じゃないよ)


役者さんたち一人ひとりに対して書いていくと長くなってしまうのでこの辺にしときますが、特筆したいのは、やはり音楽。

ぼくは決してこの時代のアメリカのポピュラーミュージックの洗礼を受けたわけではないのだが、なぜか耳にすると「懐かしさ」を感じてしまうのよね。

面白いなあと思いました。


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