てくてくミーハー道場
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さてさて、うねった道をえっちらおっちら上り続けて、やがて花矢倉展望台へと着いた。
ここは、晴れならばお金払ってもいいくらい(実際はタダで入れる)絶景ポイントらしいのだが、なにしろ雨。下千本、中千本が雲の合間にかすかに見えるだけでいと寂し。
ここに来るまでに、カメラの三脚を担いだアマチュアカメラマンらしき人たちに何回も遭遇したのだが、こんな日でも撮るのかいな? まあ、雨景色は観光案内とかに載ってないから、レアかもな、と思っていたら、ここにいた撮影隊(車で来ていた)は、早々に店じまいしていた。
ちなみに、この展望台には売店があるのだが、閉まってた。いつもは早朝から営業してると観光協会のサイトにはあったのだが、本日は客が少なすぎるからか臨時休業のようだった。
休憩所に屋根があったので、初めての一休み(なにせ、雨でどこもかしこも濡れているので、道端に腰を下ろすことができないままここまで来ましたのです)
うぐいすさんたちの声もここでは聞こえなかったので、歌舞伎モバイルで清元「吉野山」でもダウンロードして聴くべか、と思ったら、「吉野山」は入ってないでやんの!
しかたないので、ちょっと場所がずれるが「京鹿子娘道成寺」より「鞠唄」をダウンロードしていたので、それを聴きながら一息入れる。
自販機があったのでふと見たら、「ジョージア カフェオレ“奈良限定味”」の文字が!
うおおおおお←出たなミーハー
だが、やんぬるかな、小銭がない!
仕方ない。下に戻ったら、買おう(この諦めが、後々禍根を残すことに←)
※結局、「奈良限定味」というのがどういうものなのか、確かめることができずじまいであった。
奈良の人って(後でちょっとだけお店の人と話してみて思った感じでは)のんびりした穏やかな感じだったので、「ジョージア奈良味」も、そんな風味だったのかも知れない。今度奈良に行ったら、忘れずに買おう。
この展望台のちょっと上に、「三郎鐘」というのがあったのだが、義経の隠れ塔まで時間内に行って帰ってこられるか心配だったので、保留にして奥千本を目指す。
この辺もまだ人家はあるんだけど、家、お社、家、お社、みたいな分布。ヒトとカミサマのパーセンテージが拮抗してるあたりがさすが世界遺産(変な感心)
そしたらいきなりボルボ(!)とすれ違ったんで、びっくり。
・・・奈良人、金持ち(きめつけ)
この標高まで来ても、桜が意外にいっぱい咲いてる。
粛々と歩き、「水分神社」前を通過。
だって、まだ門が開いてないんだもの(時刻は8時ちょい前)。このペースなら金峯神社まで行っても大丈夫かな、と思い道標に従い歩き続ける。
ここから奥千本。
両側が杉の木ばっかりの一本道をひたすらゆるゆる上る。
ゆるゆるで助かった。だって、ここからはいよいよ腰を降ろして休めるところがない(濡れてるから。晴れてれば、休めます)
人に全く会わないかと思いきや、この時刻にここまで来てる人が何人かいた。物好き(オイ)はぼくだけではなかった。
雨のせいか、空気がきれいなせいなのか、周辺杉だらけなのに、全く花粉症が出ない。ビバ吉野山。←
しかしここまで来ると、さすがに桜が全く咲いていない。
でも寂しさは感じず、道の横がちょっとしたガケになってるところや、登山者や修験者を記念?する石碑みたいなものに急に遭遇したりというスリル()を味わっているうちに(なにせ、視界が若干ぼんやりしてる上に足元が滑りやすいので)ようやく金峯神社の鳥居に到着。
まん前にバス停があり(まぁだ始発が走ってない)「ちっ」(←)と思いつつ、ここからはどんな観光客でも歩きだという平等感を胸に、最後のひと踏ん張り。
この最後の坂道が、思いがけずきつかった。
先がどれくらいあるのか分からない中歩いたせいもあるし、雨で全然前途が見えない、という不安もあるしで、実際の距離より長く感じ、もうちょっとで引き返すところでした。
やっとの思いで本殿に到着。
意外に、田舎の方のどこにでもあるお社みたいな素朴さで(屋根のある休憩所と、とてもきれいな公衆トイレがあった)拍子抜け。
ところが、石段を上がってお参りしたときに、思わずゾクゾクっと(寒かったんじゃないよ!)
霊的なものを感じるほどぼくは敏感ではないので、そういうんじゃなく、榊がぽつんと置いてある本殿(といっても、それこそ、小さな木製の舞台がそこにあるだけ)の奥に、また石段がずっと続いていたのを見たら、何か、ゾクッときたのだ。
その石段は当然人間は登ることはできないはず。でも、自然に石段てのができるはずはないから、いつの時代か知らないけど、これを作った人間がいたはず。その人たちの“気”が、そこに残っているような。
彼らはこの石段を、「神が山頂から降りてくる用」に作ったのか、それとも「神にあこがれるヒトが、何らかの資格を手に入れたとき、この石段を登ってもいいように」という気持ちで作ったのか。
雨で全体的に神秘度が増してるからか、今にも“山神”が、「ハロー」(そんな軽薄な神がいるか!)と降りてくるような錯覚に襲われたのであった。
目を凝らしても、石段の上がどうなってるのか見えず、ますます魅惑的であった。
さて、ぼくの最終目的はここではなく、義経の隠れ塔である。
それは、神社本殿の左側をちょっと降りるとすぐにあった。
塔といっても、神社でよく見るお堂みたいな木造の建物で、中に入って扉を閉めると光が全く入らない構造になっており、元々は修験者が中で修行するために造られたものであるそうだ。
行ってみると、扉にはもちろん鍵が。
義経は、兄頼朝の追っ手から隠れてこの中に潜んでいたが、いよいよ追い詰められると屋根を蹴破って(蹴破ったのが義経本人なのか、一緒にいた弁慶なのかは未確認)逃げたらしい。
このバチあたりが!←
文化財を大事にしろ。(それ、義経に向かって言う言葉?)
・・・いかん、どこまで行ってもふざけてしまうこの性格、何とかしなければ。
ここから義経ご一行は北陸経由で奥州平泉まで逃げ延びていくわけだが、さすがにぼくはもう体力的にも時間的にも、直ちに下千本駐車場まで降りなければならない。
神社本殿の右側には、西行庵方面へのとってもそそられる山道が延びていたが、距離0.5キロメートルとあるのを見て断念。行って帰って約1時間オーバーしたら、バスに置いてかれてしまう。
またいつか、天気のいいときに来よう。と胸に誓って、坂をてくてく降り始めました。
(さらにその先に、天気が良くて時間があったらぜひとも行きたい青根ヶ峰などもあったのだが、ぼくの体力ではもうおそらく行くことはないであろう)
さあー、ここからはひたすら下り道だ、と思うと足取りも軽い。
登るときはシカトした牛頭天王社跡なんかもチラチラ気にしながら(でも、ここは本当に“跡”で、なーんにもなかった)ルンルンと進む。
そして、降りる道なりに「高城山展望台」へ上る坂道があったので、うっかり上ってしまった。
ここは、晴れの日ならそれこそほんとーに「来て良かった!!」と思う絶景ポイントなんだろうが、今日みたいな雨降りの日は、評価が大暴落する場所ナンバーワンであろう。
花矢倉みたいに売店があるわけでもなく、展望台に望遠鏡が据え付けられているわけでもなく、自販機もなく、単に「ここから見える景色は、こっち○○山で、こっちが××岳ですよ」という案内板があるだけ(一応、ベンチもあった)
で、本日は見事になーんにも見えない。
目の前真っ白。
そして、桜の木、100パーつぼみ(こんなの↓)

まあ、こういう日もあって当然。降りましょう。
坂道を降りるとまた奥の方に戻る形になるので、下り方向に木の段を降りてみたのだが、雨のせいでこれまたスリル満点でありました。
滑る滑る。怖い怖い。
ゆっくり降りて、また舗装道路に出ててくてく。
水分神社に着くと、門が開いていたので入って参詣。
ここにも西行の木像(最古のものらしい)があったので、「お会いできて光栄です」とご挨拶。
そしてここも金峯神社と同じでお社の背中が山肌にくっついているので、必然、「山を拝む」感じになる。
イッツ・山岳信仰(合ってる?)
境内の枝垂れ桜も、ぼくを待っていてくれたかのような(思い込み)見事な咲きっぷり。ありがたや。
さくさくと坂道を降りて、再度花矢倉展望台へ。
結局お金をくずせてないので「奈良味」は諦め(売店も開いてない。今日は臨時休業か?)、「三郎鐘」と「人丸塚」を見るため、背後のプチ崖をよじ登る。
鐘はあったが撞木がない。
もちろん、鐘の周りに格子がめぐらしてあり、いたずら者が木の枝でぶっ叩いたりしないように守られていた。
立派な大きな鐘であった。
人丸塚は小さな祠の中に鎮座していたが、正直こうして目印がなければ、そこらへんに転がってるただの石と思われてもしょうがない感じ。どっかに仏様がうっすら彫られてるらしいのだが、ぼくには分からなかった。
花矢倉を後に、さらに快調に坂道を下りまくる。
横川覚範の首塚を通り過ぎたはずなのだが、よく見てこなかった。
だんだん感想がぞんざいになってきてますが、実際急いでたので、お許しを。
で、この後は吉水神社に寄って「一目千本」を見て(時間がないので拝観はしない)当初の目的はクリアだったのだが、意外に時間が余ったので、「五郎兵衛茶屋から見る如意輪寺」が「一目千本」に負けない絶景と聴き、急遽寄り道。
ここで迷った!←やはり、やらかしたか
中千本でハイキングコースを右に逸れ、ぬかるんだ脇道をずるずる滑り降り、そのまま平らになった道を進めば良いのに、なぜかまた上ってしまったのよね。
時刻的にはそろそろ一般の観光客たちもこの辺まで登ってきており賑やかなはずが、雨で地べたに座れない「お弁当を広げるのに最適な高台」にはぼく独り。
小学生が遠足とかで来そうな感じのいい高台だったのだが、雨だとこんな感じなのか、と九分咲きの桜林を独り占め。
思わず秀吉気分。満足じゃ。ほっほっほ。←
でも、あまりにも周りに人がいないので不安になって、声のする方へ行ってみたら、そこが本日初の「営業中」のお休み処だった。
甘酒を注文して、親切なお姉さんに道を教えてもらい、元気が出て再び歩き出す。
下るとすぐに「五郎兵衛茶屋」(という名の、広場だった)
如意輪寺がふわふわと煙って見える。
おー、確かに美しい。
でも、上の道からもずっと見えてたしな(おい)
元のハイキングルートに戻り、吉水神社へ。
ここも今、本殿の屋根の修理中で、カバーがかかってる。
そして、吉野へ来て初めて、境内に入るだけなのにお金をとられた(←言い方に気をつけろ)
明らかにバイトっぽい巫女ちゃんが待ち構えていて、「200円からです」という。
“から”なので、小銭がない場合、おつりは出ない。
仕方なく、500円を奮発(500円ぐらいで!)
お賽銭上げて参詣して、「義経の鎧」とか見たかったけど時間がないので内部拝観は我慢して、「一目千本」スポットへ。
みんな代わる代わる写真を撮っている。
確かに、本日吉野山へ来て、ここで撮らなきゃどこで撮るんだ?っつーくらいの絶景だった。
ぼくはガラケーで撮ったのだが、見事に失敗した()
帰ってきてから判ったのだが、全部接写モードのままだったので、全部ボケボケだったのだ。
(こんな感じ)
↓

雨のせいだけじゃなかった。
まあいいか、ぼくの心のファイルに残ってれば←キザでごまかすな!
さて、下り坂のスピードはあなどれなく、まだ時間があるので、再び金峯山寺蔵王堂へ。
ブルー権現(正式名称「金剛蔵王大権現」)を拝観すべく、ここへ来て大混雑の観光客の真っ只中へ飛び込み、1000円収めてワイワイガヤガヤの中楽しく拝観。
権現様は迫力あった。
三体、みんなお不動様レベルの迫力だったのだが、実際は、中、右、左の順に「釈迦如来」「千手観音菩薩」「弥勒菩薩」だそうだ。
イメージ違うなあ。(それは人間の勝手)
お札を頂戴してちょうど10時半。
いつものぼくならやっと目が覚めるころ(オイ)
順調に見たいところは見てこられたので、後はお土産物屋さんをひやかしてバスへ戻ろう。
よく考えたら、朝、バス降りてすぐ「ソイジョイ」食べて、30分ぐらい歩いて「一本満足」食べて、さっき甘酒飲んで、まともな食事してないじゃん。
でも、ゆっくりご飯を食べてる暇なぞはない。
なので、いきおい、買い食いになる。
ところが、さくら風味のおやき(焼餅)を一個食べたらもう満足。
人間、必死に運動するとむしろ食欲が抑えられるらしい(ライザップ情報←)
確かに、暇でだらだらしてる時に限って、無駄な食欲がわいてくるよな(実感)
全員時間通りバスに戻って(ツアコンさんにほめられた)、昼前に吉野山におさらば。
あんだけ歩き回ったのに、まだ昼前だったのか。
気分的には夕方まで歩き回れそうだったけど、それをやってたら翌日やばかったろうな。
案の定、帰りのバスん中はほぼ全員爆睡でした。
でも、3回立ち寄ったサービスエリアでは、ガバっと起きて(バスにトイレがついてなかったので)トイレに買い物と元気いっぱい。
参加者の9割が見たところぼくよりも年上(さらに、そのうち9割が女性!)だったのに、この元気。
日本の中高年、すげえ。←
ぼくもがんばります。(何を?)
いや、仕事を。←とってつけたような決意
なんにしても楽しかった。
今後「吉野山」が上演されたら、あの景色がぼくの中にはインプットされているので、今までとは全然違った気持ちで観られる気がする。
楽しみだ。
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