てくてくミーハー道場
もくじ|前回てくてく|次回てくてく
2014年02月09日(日) |
映画『グッバイ、レーニン!』 |
『RUSH』で、すっかりダニエル・ブリュールのトリコとなってしまい、彼の過去作品をちょっと繙いてみました。
彼にとっては近作『コッホ先生と僕らの革命』が代表作のようなのだが、ストーリーを下調べした感じでは、なんかロビン・ウィリアムズみたいな役をやってそうで(どういう意味だ)食指が動かなかった。
なので思い切って、世界的デビュー作とも言えるこの作品を選びました。
ストーリーも、ぼくの好みっぽかったし。
で、観ての感想。
どえらい美少年やんか!(え? だめなの?)
今と全然違うぞ☆ヾ(―― )黙らぬか
予想外な展開でありました。
こ、こんな、アイドルっぽい新人時代だったとは(まあ、24歳のときだしね)
てっきり“若い時から演技派”だと思ってたのに・・・(がっかりしましたか?)
イエ、演技派は演技派なんだけどね。
それに、映画自体、いかにもアイドル俳優がやりそうなスイーツ(笑)なラブストーリーではないので、挫折せずに最後まで観ることができました。
お母ちゃん思いの青年が、お母ちゃんのためにおっきな嘘をつくことを決心して、その嘘を守ることに必死になっていくうちに、その嘘の世界自体に自分自身も「後ろ向きな」安心感を得ていくという、危ういもの悲しさ。
その悲哀の中にも、“必死な人”特有のペーソスがあって、軽くもないけど、重たくもない。
ぼくの勝手な解釈だが、あのお母ちゃんが息子のウソに気づいたのは、息子の彼女である看護学生の女の子に教えられたときではなく、巨大なレーニン像が眼前を飛び去った瞬間だったのじゃないかと思う。
そして、彼女に教えられて、それを確信した。
それでも息子に「嘘ついてたんだね」とは言わなかった。息子が傷つくからね。
息子の最後の嘘――「西が東に飲み込まれる形で東西ドイツが統一された」という作り物のニュース映像を見て、母親は「すばらしいわね」と二回言う。
これを息子は、お母さんが「社会主義が勝利したなんて、すばらしいわね」と言ってるんだと思い込んだだろう。
でも、映画の観客であるぼくたちは、「私のために作ってくれたこの嘘の映像、すばらしいわ。お前の思いやりが嬉しいわ」って意味の「すばらしいわね」だって思いながら観ている。
この解釈が正しいかどうか、わからない。なんかわかりづらく作ってあるからね。この辺ドイツ映画っぽいというか。
でも、そういうところ、好きになった。
話は変わるけど、ぼくたち「西側」の人間は、ベルリンの壁が壊れたとき、一方的に“東側の人たちが救われた”と思い込んだけれども、当事者たちにとって、コトはそんなに単純なものじゃなかったということも、この映画では教えられた。
この映画を製作したのはそもそも「西側」のドイツ人たちなんだけれども、彼ら自身が、「そんなに単純に西>東なんて決められないんだよ」と主張していることが、心にしみた。
それにしても、どうしてぼくはこうもドイツ語の響きに弱いんだろうなあ。前世の因縁でもあるのかしら?(いやいや、思い込み思い込み)
次は『青い棘』を観てみたいと思っとります。あらすじ読んだだけで動悸が・・・でへへ(←腐か!)
|