てくてくミーハー道場

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2012年10月07日(日) 『Romeo & Juliette―ヴェローナの子どもたち―』(東急シアターオーブ)

待望のフランス招聘版でございます。

といっても、フランス初演オリジナルキャストというわけではないのだが、皆さん、ほとんどが2007年のアジアツアーから出演している本場フランス版キャストばかりなので、ほぼオリジナルメンバーといっても差支えない。と思う。

んでもって、演出も、初演の通りではなく、ここ数年で若干の変更を入れてきた感じらしいのだが、とにもかくにも、「宝塚版」とも「ホリプロ版」とも違う、“元祖”フランス版ということで、あたしゃもう期待でガクガク(←表現変だぞ)




感想でございます。




骨 太 !


なんて太いんでしょうかあちらの方たちって!

体つきのことじゃないです。(それもあるけど)“芸”が太いんです。

いつもながらに思い知らされる声の通りっぷりもそうだけど、芝居が強靭というか。

日本人て、特に、日本の芸能人て、華奢すぎるよー。そこがカワイイのかもしれないけど、こういうときは、

「これじゃ、勝てない」(また? 争いはいけませんよ?)

と打ちひしがれてしまうよ。



演出の違いに関しては、当然曲順が上記の日本版どちらとも違ってたりして、そうなると、そのナンバーの意味するところも少し変わってくるのだった。

特に「うそぉ」と思ったのは、お話の中でのティボルトの地位が、意外に低いところ。

日本版だと、男の子がいないキャピュレット家にとって、傍流とはいえ血を引いているティボルトは「大事な跡取り」扱いされてるのに、このバージョンでは、キャピュレット卿はやけにティボルトをぞんざいに扱う。

喧嘩ばっかりしてる、やっかいな問題児って感じだ。

それにしても、フランス語歌詞の「今日こそその日」を改めて聴いてべっくらしたのだが、ぼくが大好きな(コラ)歌詞である、

「俺が15歳の時に初めて女を知った」

のオリジナルの意味は、

「親父の手引きで娼館デビューした」

ってことだそうなのだ(今回上演の字幕ではそういう言葉は出てこなかったが、フランス語を訳してるサイトがあった)


ショックすぎるんですが(>_<。)

かわいそうすぎるティボルト。

なんてひどい親父なんだ!

一応キャピュレット卿の弟(義理もしれないが)なんだろ? 貴族なんだろ? 変過ぎる。つうか、これがフランス人メンタルなの?(男女間スキャンダルは咎められないとか聞いたことがある)

いったい息子をどうしたかったんだろ?

さすがにこの設定は、タカラヅカでは「なかったこと」にしなきゃならんわなー。

それと、タカラヅカではぼかしてある「キャピュレット夫人の若いツバメ」は、このフランス版でもはっきりとティボルトだ、とは言ってないのだが、どっちにしても夫人はわが子ジュリエットに向かって、

「女は若くて男を惹きつけられるうちに結婚して、子供を産んで、役目が済んで安定した暮らしを手に入れたら、若い愛人でもつくればいいのよ。どうせ夫は年とった妻なんか注意深く見てくれやしないんだから。それが一番幸せな生き方なのよ」

みたいな、身も蓋もないことを言うのであった。(←そんなこと言ってたっけ?)



まだ16歳の夢もチボーもいっぱいの娘をそんな風に絶望の淵に陥れるのであるから、親たちが神様にひどい目に遭わされる(子供に先立たれる)のは当然とも言える。

それでも、父親のキャピュレット卿が、娘のことを思って歌う「娘をもつこと」には今回もボーボー泣かされた。

ぼくには娘はいませんが(息子もいませんが)、この、娘を持つ父親なら万人共通で持つせつない思いは、なぜか身にしみてわかる・・・というか、ぼくの親父が生きてるうちについぞ孝行できなかった自分への悔恨のせいでボーボー泣いてしまうのかも知れない。

そんな個人的な感想はともかく、ナンバーはとにかく全曲名曲揃いで、それを一級の歌唱力で歌われるのだから、歌詞がわからなかろうと(正直に申しまして、今回の字幕、下手すぎます。もうちょっと的確に訳した言葉を的確なタイミングで出してほしいんですけど・・・)心が強く揺さぶられるのは当然のことなのであった。

まあ、ある意味では、単純に(欧米コンプレックスと言わば言え)フランス語の響きがロマンティック止まらないせいなのかもしれなかったが。





出演者の皆さんで、一番キタのは、やっぱぶっとびキャラのマーキューシオ=ジョン・エイゼン氏。

マーキューシオが一番ロック色の強い歌を歌うからか、思う存分目立ってました。

あと、やっぱ死ぬ時にロミオに「ジュリエットを愛し抜けよ」って言うのね。これは何でなんだろう? ここがフランス流なのかしら? シェイクスピアの原作では言ってないはずと思うんだがなぁ・・・自信がなくなってきた。

ジョン・エイゼンの歌いっぷりキレっぷりを見てると、日本版では、本当はこの役、アッキー(中川晃教)がやるべきだったよなぁ、と、つい思ってしまう。本当は誰がやったんだっけ?(←こ、こらあっ!!!/震)

この役だけは、ロミオより目立ってもいい役だからな。そう思う。ストレートプレイでもそんな感じあるし。

ロミオのシリル・ニコライ氏は、フランスではベンヴォーリオをやってきてる人だそうだが、金髪麗しいそのヴィジュアルは、

「青池保子先生がお描きになるヨーロッパ美青年」

そのまんまやった。

ジュリエット役のジョイ・エステール嬢は、ザ・美少女(実年齢は知らんが)だしよぉ(カーテンコールでのはじけっぷりがまた子供っぽくてびっくり&ホホエマ)

ちくしょう、何もかも骨太だぜぇヨーロッパ人は。(こらこら、コンプレックス持つな!)



カーテンコールのノリがまた、すばらしいんですよ。

ニホンのオキャクサン、おとなしすぎますよ(←誰だお前)

いやでも、日本の観客にしては今日の客は盛り上がってたと思うぜ。やっぱりそんだけのものがある作品だったんだと思った。

金が無尽蔵にあれば、何回でもリピートしたいです(残念ながら、「ない」のだね?)


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