てくてくミーハー道場
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2012年08月25日(土) |
『ラ・マンチャの男』(帝国劇場) |
(9月に入ってから書きました。ソメソメの回復を心から祈っています)
日本人が、特に人生の半ばを過ぎた日本人男性が、一番好きなミュージカルです。(決め付け)
なので(?)ぼくにとっても、やはり生涯ベストワンのミュージカルなのではないかと。
やはり何度観てもいいですね。完璧な作品だ。
特に今回は、高麗屋も肩の力が抜けてきたのか、数年前までにあったようなはなはだしいセリフのクセとかが若干解消されてて、観やすかった。
サンチョが駒田一さんになってから初めて観たんだけど(床屋も好きだったな・・・)、最初は「サンチョ若すぎないかなー」と思ってたんだけど、歌の上手さで大合格。
体も佐藤輝さんよりかなり大きいにもかかわらず、ちゃんと背を盗んで「だんなさま」に寄り添う姿がめっさかわいらしかったし。
アルドンサ11年目になるおたか(松たか子)は、ぼくが初めて観た年(2002年)にはまだ全然アルドンサらしくなくて、ラバ追い男たちに「ドルシネア〜!」とはやし立てられるシーンなんか、掃除の時間にふざけてるクラスの男子にからかわれてる委員長みたいにしか見えなかった(こらこら/汗)
今回は、そろそろ貫禄が出てきたかな? と思ったが、まだちょっと「お嬢様」っぽいな・・・年齢的な部分もあるのかな? と思ったら、おたかももうさんじゅう(以下略。知りたい人はググれ!)
それと今回、ぼくが初めておたかのアルドンサを観たときと同じ、紀保のアントニアだったのだが、彼女も相変わらず合唱部発声ですな・・・。
藤間家総動員(長男は別公演の準備中だったわけだが)で上演されたわけですが、高麗屋のこういうとこは嫌い(ずばし!)
その他のキャストさんに関しては、もう満足以外のなにものでもなく、労名主の上条恒彦さん、家政婦の荒井洸子さん、神父の石鍋多加史さんなどは、もうぼくにとってのベストキャスト。
それとカラスコの福井貴一さん。
カラスコとしてだけではなくて、牢にいる囚人の時点で(たぶん彼は政治犯なんだろうなあ・・・と想像できる)セルバンテスに反感を抱いてる感じがすごく良い。なんか、ぼくもすごく共感できるキャラクターなんだよなあ。
「これは事実だ!」とか「ありのままの自分から目を背けるな!」とか、言いたい気持ちが、すごくわかる。
セルバンテスの・・・いや、ドン・キホーテの自由な精神に苛立ちを抱く気持ちが。
でも、それだからこそ、この作品の名ゼリフである、
「事実は、真実の敵なり」(このセリフって、元々は客に笑われてたんだよね。キハーナ老人の屁理屈でしかないと。それを“名セリフ”にしちゃったんだ、高麗屋が)
や、
「最も憎むべき狂気とは(以下、とてもすばらしいセリフですので略←何故)」←とにかくすばらしいので、ググれ2(だから何故?)
が活きてくるのだ。
あーそれにしてもすばらしかった。
千穐楽だからか、カーテンコールでは英語で「Impossible Dream」を歌ってくれた高麗屋。
オケの指揮は塩ちゃん(塩田明弘氏)で、いつものようにノリノリでした(笑)
主題も良けりゃ脚本も良い、音楽も良い。そして日本版としては今のところ最高のキャスティング(一部を除・・・ムニャムニャ)
こんな完璧なミュージカルはほんとにない。
末永く再演し続けてほしいものです。
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