てくてくミーハー道場

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2012年03月01日(木) 『レシピエント』(紀伊國屋ホール)

演出が、今日本で最も信頼できる演出家ベスト3(ておどる調べ)に入ってるG2さんでしたので、勇んで出かけました。




脚本はG2じゃなかったのね・・・(←え? だから?)

でも、制作全般に関わってたらしい。

・・・えーとね、普通に良いお芝居でしたよ。

ただね、そんなにすごーく盛り上がるような内容ではなかった。

まじめな、いいお話だったんですが。

以下、完全ネタばれ











臓器移植をされたレシピエント(患者)に、ドナー(臓器提供者)の性格や想いが乗り移ってしまうという、ロマンティック(ぼくにはそう思えた)な話でした。

パンフレットにはやたら「重たい話だ」みたいに書いてあったんだけど、ぼくにはそう思えなかった。

『ブラックジャック』を『週刊少年チャンピオン』連載時からリアルタイムで読んでた世代だからだろうか。

とてつもないムチャな医療話を、すーっと認めてしまうところがあるんですね。

もちろん、信枝(サトエリ)が劇中で吉見医師(三上市朗さん)に向かってズバッと言った、

「あなたにとっての臓器移植って、ただの“部品交換”ですか?」

というセリフは、『ブラックジャック』を読んで、医学は万能なんだと勘違いしていた中学生時代の自分を、ビシッと叱られたような思いにさせてくれた(もちろん今は、もうそんな勘違いはしていません)

もちろんお分かりと思うが、『ブラックジャック』は全然悪くないんですよ。当時のぼくが幼くて、手塚先生のメッセージを間違えて受け取っていただけの話。

ちょっと話がそれちゃうけど、『ブラックジャック』のエピソードの中でぼくが一番感銘を受けたのが、BJの恩師・本間先生が亡くなってしまう回なんです。

老衰で死期が近づいている本間先生と会ったBJは、危篤状態に陥った本間先生を必死で手術して生存させようとする。でも、当然それはムダに終わり、本間先生は亡くなってしまう。

ラストページ、自分の力の弱さにうなだれるBJに、本間先生の幻が語りかける。

「人間が人間の命をどうこうしようなんて、おこがましいとは思わんかね?」

この回をぼくは、たまたま父が脳梗塞で倒れた時に読んでしまい、人生の中で一番泣いた(まあ、その時は父は助かったんだけど)

それ以来、なんかぼくは吹っ切れてしまい、ドナーカード(臓器提供意思表示カード)というものが日本で普及し始めた時、即座に所持することにしました。

まだ実感として「臓器移植」がめちゃめちゃハードルの高いものだと知らなかったからできたのかもしれない。

でも、今でも臓器(全部に丸つけてる)提供の意思は変わらない。

提供できるほど良質な臓器かどうか、このごろ疑わしくなってきたけど・・・(加齢+血中コレステロール高し)

「脳死」についても、結局うちの父が亡くなるまでのほぼ一年間、植物状態だったので、色々考える機会を与えてもらったと感じてる。





話がすっかりそれてしまったけど、そういうようなわけで、このお芝居、ぼくには、

「うーむ・・・難しいですよねえ。考えてしまいます」

という感想にはならなかったのである。

あえて言ってしまうが、ぼくの体の“部品”が、誰かの体にもらっていただいて、その方の生命力でもって生かしてもらえるなんて、すごく嬉しいことじゃないですか?

タマシイだとか、そういう夢夢しい(と言っちゃ失礼だが)ことではなくて、単純に遺伝子が喜ぶ話のような気がする。





※後日のつけたし※

後でよく考えてみると、このお芝居は「ドナー」よりも、「レシピエント」の立場だったらどうか? というのが主題だったようだ。医学的云々の話じゃなく、

自分がいつの間にか見知らぬ誰かの「魂」に占領され始めたら・・・?

という。

それで考えると、(ネタバレ)会田が信枝に腎臓を提供するために、自分の命を捨ててしまうという結末は、会田の中に入り込んだひろしの“意思”が、会田を蝕んで(イメージ悪い言い方だが)いった結果なのではないか。

ぼくはこの話を「ロマンティック」だと感じたが、実はそういう「ホラー」な側面もあったのではないかと思い当たった。

ラストシーンの、会田が信枝の手をとるシーンや、勝手に婚姻届を出してしまうという展開に、ラブロマンス的な印象を抱かせておいて、実は・・・という、ぞっとするようなオチだったのかも知れない。

ひねくれすぎだろうか?






役者さんたちについて。

サトエリ、クールな役作りで良かった。この人にはこういう無愛想なオンナ像が似合う。


加藤和樹くん。

相変わらずイケメンさんやなあ。声もかっこいいし。

でも、この「会田」って男、ぼくの脳内ではずーっと松重豊さんでした。年齢もこれぐらいの感じだったんだけどな会田って。


大野拓朗くん。

『心ゆさぶれ! 先輩ROCK YOU』という番組を時々(松也ちゃんや壱太郎なんかも出てるので)視てるので、顔だけは知ってました。

でも、初めて全身を生で見て目ん玉飛び出ました。

なにこのスーパーイケメン!(°д°;)ポカーン

日本人は一体どこまでいくんだ?(身長183センチですってさ。多分股下90センチ以上あるぞ)

しかもコイツ(お、おい、コイツよばわり?)、今度ルドルフ演るのよね〜。

歌は歌えるのか? その辺はよく知らないのだが。

よし、確かめに行ってやる(やはり?)


橋本淳くん。

「じゅん」じゃなくて「あつし」と読む。あの方と同姓同名になるところでしたな、あぶねー(なんで安心するだ?)

これまたイケメンくんなんだが、おばさんもうおなかいっぱいだよぉ(´Д`;)←贅沢すぎる感想


なので、あとの出演者(残りたった3人なのに!)については感想なし!(ひ、ひどい・・・)

だって、普通にお上手でした、しか言えんもん。←逆ギレ



とにかく、手塚治虫先生は偉大だ、というところに感想は集約されてしまった。G2さん、すみませんでした(なぜ謝る?)


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