てくてくミーハー道場

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2010年02月17日(水) 『かげぜん』(あうるすぽっと)

・・・全部ひらがな。←別にいいでしょうが。




そうです。別にいいです。

さて、このお芝居は、お正月の浅草(公会堂)にチラシが置いてあったのを見て、芝居巧者の亀鶴丈の“現代モノ”ってどんなやろ? と興味がわいて、行ってきました。

実を言うと、作・演出(出演もされてました)の増沢望氏のことは全然知らなかった(ごめんなさい)

どんな内容のお芝居なのかも、全く確かめずに行った。

100パーセント亀鶴丈への期待のみではせ参じたのである。


始まって、どうやら戦時中の話だとわかった。

亀鶴丈の役は、どうやら詐欺師らしい。

莫大な財産があるに違いない老女の(20年近く会っていない)孫に成りすまして、その財産をせしめようと乗り込む。というのがお話の導入。

この詐欺師、一見荒んでいるように見えるが、明らかにツメが甘そうな、お人よしな感じが透けて見える。

この詐欺は、おそらく9割以上の確率で“失敗”するであろう、と客は最初から期待している。

そう、「詐欺師が出てくるハートウォーミングストーリー」の黄金パターンなのである。

だが、その予想は、決してこの芝居への「期待」は裏切るものではなかった。

“どんな風に失敗するのか”を、観客は楽しみに待っているのだが、願わくば、後味のよいものでありますように、と期待しているのであった。

そして、その期待は裏切られなかった。


もちろん芝居の内容は、そこまでふんわりおとぎ話ではなくて、主人公がもしかしたら命を落とすことになるのでは?(詐欺がばれたと同時に、徴兵されてしまうのである←めっちゃネタばれ・・・)というところまで話が進む。

でも、エンディングは見事にハッピーエンドであった。

ほっとした。

登場人物みんなが善人、というほど甘くはなかったが、みなそれぞれの人生を誠実に生きていた。

それが嬉しかった。

時に理不尽な話で打ちのめされたいなどと思う時もあるMな客(?)であるぼくにとっては、若干「フツウのお話だったな・・・」という食い足りなさもあったのだが、この話は「これでいいのだ」という気分に満たされて観終えることができた。



ところで、亀鶴丈の他に見覚えのある俳優さんが出ていて、それは主人公の詐欺師を追い詰める刑事役の八十田勇一氏であった。

ぼくが去年観た『きらめく星座』(こまつ座作品)でも、同じような役(特高)をやっていたのだ。

こういうイメージがついちゃうのは、ちょっとかわいそうかな(両方観てる客は、そんなにいないかもしれないが)

でも、ものすんごいハマリ役であった(^^ゞ←どこが「かわいそう」だ!



他の出演者の皆さんも、どの方も達者で、綻びのないステキなお芝居だったのだが、ただひとつだけ、「余計なお世話」な感想を抱いた。

それは、このお芝居のタイトルである。

この、人情噺のようなお芝居の、いわば「サゲ」とも連動しているタイトルなのだが、なんか、いかんせん“小劇場臭”が強すぎる気がするのである。

ホント、「おーきなお世話!」「小劇場だったら、悪い?!」と反発されるにやぶさかではないが、若干、気になりました、とだけ記しておきます。


だってね、上にも書いたように、時代背景もあって、井上ひさし作品とカブる部分がけっこうあったのよ。そうすると、井上作品の、すごく文学的なリズム感のあるタイトル群とどうしても比べちゃうとね・・・。(大いなる蛇足)


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