てくてくミーハー道場

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2010年02月07日(日) 『CURTAINS』(東京国際フォーラム ホールC)

ヒガシの舞台って、ぼくはいつ以来だろ?(『覇王別姫』だ。多分)

それにしても、“ミュージカルのヒガシ”は超久しぶりである。

PLAYZONEを別にすれば、『クリスマス・ボックス』以来だもんね。

まぁ、そんな個人的な思い出話はおいとこう。

さて、今回のヒガシの役=フランク・チョーフィ警部補は、ミュージカル大好き(下手の横好きで、素人劇団にも入ってる)超ミーハー公務員、という、大変親近感をおぼえる人物(*^^*)

そんなチョーフィ警部補、プレビュー公演中に殺人事件が起こった某カンパニーのもとへ捜査にきたはずなのに、なぜか作品の手直しにまで口を出し首を突っ込み、でらお調子者と思わせといて、最終的には鮮やかに真犯人を突き止め逮捕する・・・という、まるで喰いタン高野聖也のようなお方なのでした。

この基本的なストーリーはぼくの好きな世界。

ただ、ちょっと残念だったのは、ミステリー(謎解き)部分が、若干弱かった。

推理モノとしては、いささか物足りない感じ。

真犯人が判ったときの爽快感がいまいちだった。

伏線が足りないからなのかな・・・?

良いミステリーって、その真犯人が最初に登場するときに、よーく見とけば良かったぁ〜っ! みたいに思うものじゃないですか。

それがあんまりなかった。

変に僭越な感想ですが、思わず「三谷幸喜に脚本書かせろ〜っ!」と思ってしまいましたよ(そういやチョーフィ警部補のキャラクターって、古畑任三郎に若干似てたな・・・)



ミュージカルとしての本作品の出来としては、時代設定が1950年代なので、わざと素朴で古典的な音楽や演出にしてるんだけど、それが(同じ狙いで造られていると思われる)『プロデューサーズ』ほどうまく行ってなくて、なんとなく(劇中劇というか、手直し中のシーンが)スカスカな感じを受けた。

確かに、現代のミュージカルの世界を舞台にしてたら、殺人自体、あんな簡単なトリックで遂行できはしないのだ、それは理解できる。

でも・・・なんかやっぱり・・・(特に音楽)

ただ、その“素朴な”メロディ&アレンジ(とはいえ、音楽は“あの”ジョン・カンダーなんだけどね)に乗っけられた歌詞はなにやら微妙に可笑しくて(“あの”フレッド・エッブ。つまりこの作品は、『キャバレー』『CHICAGO』と同様カンダー&エッブ作品なのだ)ぼくは好きだった。ただ、これは多分に日本語詞の高平哲郎さんの御手柄とも言える。

とりあえず全体的に(劇中劇の『ロビンフッド』というミュージカルからして、『オクラホマ!』とか『アニーよ銃をとれ』のパロディみたいな感じなので)「なんか(『オペラ座の怪人』を思わせるようなシーン、『検察側の証人』の台詞なんかが出てくる)のパロディ」っぽい作品ではありました。そんな意味で舞台オタク向けかも。

例えば「Show People」っていうナンバーの前に、ツレ(鳳蘭)ちゃん演じるカルメンが「Show Must Go On!」と高らかに宣言するんだけど、多分、アメリカ人は『キスミー・ケイト』を連想して笑う意図で書かれてる台詞だと分かる。でも日本人は・・・お判りですね?(^^ゞ(原作者たちの手を離れちゃってるぞ)



そんなわけで、ミュージカル作品としてのクオリティはなんじゃもんじゃ・・・なんて生意気な感想を抱いてしまったのでありますが、出演者の皆さんは、日本劇界が誇る実力派ばかりで(←もちろんヒガシ含む)それなりに面白く観ることができた。

ツレちゃん、貫禄( ̄− ̄)歌詞飛んじゃったけど(←シーッ)

(大澄)賢也クン、役にぴったり。

(鈴木)綜馬さん、非の打ちどころなし。

芋洗坂係長、期待通りの出来!(ダンス力含む)

岡千絵ちゃん、実力発揮!


そうだ、若干マルシアのセリフが「・・・」(日本語ネイティブじゃない人って、何年経ってもアクセントだけは直らないのかしらね・・・?)ではあったが、歌の上手さでプラマイゼロ。

あっいかん(な、何?)肝心な人を忘れておった。おやおや? 誰ざんしょ?(←わざとらしい)

そうです。今回女優デビューの、タニオカ君こと大和悠河ちゃんどぇす(関係ないけど、この芸名あんまり“女優”っぽくないぞ・・・でもヘタな改名は逆効果だし・・・←大きなお世話)

これがね。







(また出た。無駄な改行)





あのー、あのセリフのトーンは、もちろん「わざと」ですよね。それはわかってます。

でも何だろ・・・どういった狙いで?(知るか)

あのね、最初タニがこのセリフ回し(観た人にしかわからんだろが。つまりね、ずっとファルセットのぶりっこトーンだったんれすよ。なぜか)したのは劇中劇の女の子の役作りとしてだと思ってたの。

そしたら、“素”である“ニキ・ハリス”に戻っても、ずっとこのトーンだったの。

思わずワタシ「???」でしたの(←ずっとこーゆー調子のセリフ回しだったの)

逆にね、ニキは人前ではこんなしゃべり方をしてるけど、実は・・・みたいなオチを期待してしまったの。

でもそれは、単なる深読みだったの。

ニキには、別に裏の顔はなかったの。

それもあって、この作品の脚本に「物足りない」なんて感想を抱いてしまったの。



(疲れてきたのでそろそろ口調を戻そう)



つーことは、この“ニキ・ハリス”って役には、実は100パーぶりぶりアイドルの方がふさわしかっ(それ以上言うな!)

いやいや、でも、ニキはチョーフィとデュエットで「フレッド・アステアとジンジャー・ロジャーズみたいな」(チョーフィのセリフ)ダンスナンバーがあったので、やはり踊れる子(≒元ジェンヌ)じゃないと。

つうか、ブロードウェイ版では、チョーフィはあくまでも「下手の横好き」なので、こんなに上手には踊らない(その代わり、マシンガントークで圧倒する。ここはヒガシも大及第点だった)とか聞いた。

つまりこのシーンは、東山紀之主演ならではの、日本版独自のサービスシーンらしい。

タニも、現役時代は別にダンス巧者じゃなかったんだけど(おいこら)、こうやって娑婆(こらこら)に出ると、やっぱ“元ジェンヌ”の基本的技術は、そこいらへんのダンサーを圧倒しちゃうレベルなんだってことが証明されたのであった。

そういや二人とも『雨に唄えば』のドン役を演ってるんだよね。そんなマニアックな可笑しさもありました(^^)

しかしタニ、プロポーション良過ぎ。

“あの”ヒガシが中肉中背に見えるって、どんだけなんだよホント。

これまた連想しちゃって申し訳ないが、この「男優圧倒しっぷり」は、『プロデューサーズ』でのさえこ(彩輝なお)に近い“女優デビュー”に感じました。

でも、次(作品)ではさすがに地声で話さないとね。

その時がタニの本当の評価だろうな。(唄は相変わらずだったし/こらこら)



てなわけで、全く肩の凝らない、楽しいムジカルではござんした。

ただ、例によってチケット代クソ高いぞ!

この点だけは、何とかしてほしい、ホントに。


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