2013年11月18日(月) |
「マッチ売りの少女」 |
ムスメの小学校で絵本の読み聞かせをしている。 お話も読む人も毎回皆で会議をして決める。
先日、私が選本したアンデルセン「マッチ売りの少女」を読み終えたお母さんから、メールがきた。
「少女がかわいそうでかわいそうで思いっきり低いテンションになり最後のほうでは泣いてしまいました。」(←え!読みながら?!)
ムスメに聞くと、
「読み終わったあと、教室が重苦しくどんよりとなっていやな気持ちだった。暗くて暗くてあのお話嫌い」
えー。。それは大変残念。
皆ボランティアなので、お話に対する感度がさまざまなのは承知だが、太宰治と結婚したいと言い切る彼女が悲しみたっぷりにこのお話を読んだかと思うと、選本ミスであったという思いが先に立つ。
アンデルセンは、決していたずらに薄幸の少女の悲劇を描いたりはしない。
雪空の下、裸足で売れないマッチを擦り1人寒さに死にゆく少女は、傍目には確かに不幸だが、彼女は、そのとき自分が心から欲するものをマッチの炎と共にしっかりと目の前に感じていた。 そして「最も求めていた」おばあさまの懐に抱かれて、天国へと召される。
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何不自由なく生きている私たちの、欲するものの見失い方といったらどうだろう。 傍目に「うらやましい生活」といわれながらも、真に欲する物などなく空虚な気持ちと、人への恨みつらみを抱えている人のなんと多い事だろう。
「寒空の下に灯したマッチの暖かさと夢に少女の幸せを 人を恨まず世を妬まず、すべてを受け入れた少女の心の清らかさを 最愛のおばあさまに抱かれて天国に召された少女の魂に永遠の安らぎを」
わたしはこの物語から感じ、子ども達に伝えたいと思ったのだ。 1127 うたはなの会では、私が読む。
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「マッチ売りの少女」あらすじ
大晦日の夜、小さな少女が一人、寒空の下でマッチを売っていた。マッチが売れなければ父親に叱られるので、すべて売り切るまでは家には帰れない。しかし、人々は年の瀬の慌ただしさから、少女には目もくれずに通り過ぎていった。
夜も更け、少女は少しでも自分を暖めようとマッチに火を付けた。マッチの炎と共に、暖かいストーブや七面鳥などのごちそう、飾られたクリスマスツリーなどの幻影が一つ一つと現れ、炎が消えると同時に幻影も消えた。
流れ星が流れ、少女は可愛がってくれた祖母が「流れ星は誰かの命が消えようとしている象徴なのだ」と言った事を思いだした。次のマッチをすると、その祖母の幻影が現れた。マッチの炎が消えると、祖母も消えてしまうことを恐れた少女は慌てて持っていたマッチ全てに火を付けた。祖母の姿は明るい光に包まれ、少女を優しく抱きしめながら天国へと昇っていった。
新しい年の朝、少女はマッチの燃えかすを抱えて幸せそうに微笑みながら死んでいた。しかし、人々は少女がマッチの火で祖母に会い、天国へのぼったことなどは誰一人も知る事はなかった。
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