2005年07月22日(金)...休息を願う
不自然なヴィタミンの味、水滴が付いたグラス。淡い黄緑に錠剤が融けるのをただ眺めていた。想像よりも苦くて、舌に纏わり付く感じが頭に響く。
2005年07月11日(月)...引き金
火薬の混じった空気が独特に薫って、また総てが懐かしくなる季節が来た。爆音が苦手で、硝子越しに空が曇る様を切り取って、その四角の内側で眺めるのが調度良かった。煙がまるで隠れ蓑のように視界を遮って、違う世界へ落ちた様な気分になる。
屋台の裏で買った3000円の夢は、愛だの恋だのを破壊して身体を鉛に変えた。だるくて、だるくて、ただ寝転がったまま動けない。
2005年07月07日(木)...七夕
腹痛と目暈に耐えかねて、メモ書きを残すと教室を後にした。ゆらゆらと揺られ寝付いたバスで、不穏な音に叩き起こされる。
突然の雷雨。金に染まる空に世界の果てを見て、心臓がきりきり、と軋んだ。
2005年07月05日(火)...人身事故
初めは少しの溜息、30分がじりじりと消費されて呟きが不平に変わった。ホームは移動手段を断たれた人々で溢れ返り、暑さに、混雑が脳味噌に不快を訴え始める。
遅刻が確定して苛立ちがことり、と立ち消え、延着届けを盾にカフェへと向かった。
2005年07月04日(月)...注意報
水滴で出来た白い柵が視界を遮って頭が痛んだ。家を出る前に含んだカプセルの所為で口咽が酷く渇いている。
薄暗い景色に安らぎを覚え、誰もいない廊下に座り込んで壁に凭れた。窓を隔てた外の、スコゥルが自棄に耳に付いて、その苛立ちの心地良さにうつらうつら夢に引き込まれる。
2005年07月02日(土)...見たくない
目玉をいっそ潰して仕舞おうかと思った。躊躇いはなんとなくで、代わりにサラダボールに転がるプチトマトに思い切りフォークを突き立ててみる。
張りのある表面から一瞬の抵抗を受けた末に、心地よい音と共に包まれた種が辺りに飛び散る。頬に付着したそれがつーっ、と流れて、唇の上で止まった。