2004年10月31日(日)...非日常という刺激
ぱらぱらと捲った冊子の中に無政府主義者という言葉を見付けて、急に芥川龍之介の河童が読みたくなった。詩人トックと若々しい狂人、第23号が近しくそして懐かしく、愛しさを持って迫ってくる。
2週間ほど前に倒れてから、まだ調子が思わしくない。夜中に乗る救急車の仄暗い興奮に中てられて、濁色の海から未だ抜け出せずにいる。朦朧とした衣を剥ぎ取られた精神は鈍く光っていて、素顔に当たる風だとか、隊員の酷く丁寧な呼び掛けだとかに魂の一部を見ていた。
2004年10月10日(日)...食虫植物
カペンシスを買った。禍々しい緑と赤が、奇妙な安らぎを運ぶ。名付けようかとも考えたけれど、結局止めた。
2004年10月04日(月)...紅葉に呑まれる
建物を出た刹那、巡る血液が冷たくなった気がした。凛とした外気が肌にすっ、と染み込んでぞくぞくとした寒気が身体を襲う。
ビルとビルの合間に薄っすらと覗く白い曙光は靄を照らして、死に息吹く世界の輪廻をありありと描き出していた。
巨大パネルから流れるのは見慣れたCMで、輝きの薄まった電光掲示板には天気予報が淡々とスクロールしてゆく。ふらふらと溺れたスーツ姿の波は寛ぎの抜けきれていない気合を漂わせていて、空の色に似ていると思った。