かたほうだけのパンプス
敦子



 愛を考えさせられる二、三日

すっかり忘れていた。
29日午後3時に歯医者に予約を入れていたことを。

朝からネットに手を付け、絵か家系図でも書こうか?
はたまたK子さんか先生、小粥さんに似ているあの人に手紙を書こうか?

今日という日をどう有効に使おうかと思いながら、二三日開いてなかったスケジュール帳を開いたら・・・。
そうか!そうだった。

ということで歯医者予約の一行を見てから私の速度は変わった。

ネットでメールチェックを済ますと何かにとりかかるのではなく、

歯医者に行くまでの時間をとりあえずに何かに充てるという行動になる。

歯医者に遅刻はしたがどうにか猶予範囲内に着けた。

診療台に設置されているディズニーの動画は、今巷で話題のあれだった。

あれっ、もうDVDになってるのか〜!?

それは「アナと雪の女王」

子供向けの映画とかアニメが好きでない私にとってなんか苦痛というか、

動画の選択できたらいいのにとか、なにもアニメじゃなくてもとか、

世の中を子供向けに占拠されているようなそういうのが不満。

マスコミが左向きだとか周辺諸国が日本は右傾化しているだとかいろいろ言われているけれども、
日本は少子化といいつつも子供向けのものが飽和していてどちらかというと幼稚化しているのでは?

私の歯は、上部と下部の活きている歯の本数が違っていてどうしても歯茎によくない状態が続いている。

そういうことを歯科衛生士の若い女性に説明された。


いつもの通りに歯垢をとってもらって終わって最後の先生が診るときに、

上の歯の隙間の部分を見栄えよくすることができるよと伝えられた。


とにかくお金がかかることなので即答は避けたけど、そうか出来るんだ。

そういうことがわかっただけでもよかった。

うちに戻ってからラジオを聞いた。聞こうと思っていた与沢翼さんがゲストの番組。

与沢さんは、お金があれば愛を繋ぎとめておける理由みたいなことを彼のなかの

説得理由をかき集めるようにして話していた。

与沢さんが言うのは「お金があれば好きなところへ行ったり、おいしいものを食べたりして二人の関係に飽きることなく、常に楽しくいられるというようなことを言っていた。

ふ〜ん。愛を継続させるための工面は金か〜。本来は、何もなくても二人でいるだけで暇でも忙しくても貧乏でも裕福でもなんでもいいっていうところだと思う。

与沢さんは、愛のためではなく、お金で得られる利点という観点で並べているだけだと思った。

ただ、イイ女をモノにする心理術的なことなど彼は努力しているし、やっぱ頭がいいんだと思う。

与沢さんはそのままの自分ではちょっとハードル高そうなものを得るために常に志向している人なんだと思った。

本当に得たいのは、金でもなく女でもなく自分の望みの実現に動くことが与沢さんの求むるところに思えた。

夜、夫の帰りがけっこう遅かった。遅いけど明日は出(出勤)。身体は疲れているけど、お金にはなるけど辛いところ。

私には弁当作れの指示。お昼は、会社に入っている弁当屋に頼んでいるけど土曜日は休みなので昼ご飯の心配をしなくてはならない。
わかったよ。

私は左手があまり使えないので細かな作業がダメなので大雑把な作業で済む範囲のことしかできない。

ということでサンドイッチをつくることになっていた。

夫の帰りが遅かったので深夜2時寝の朝7時前起きで脳の回路の修復修正メンテナンス(ヨウスルニ睡眠)が充たされない仮眠で朝からとっかかることになる。
まあ、起きれたし、足りないともいや充分ともいえないけどどうにかやれる範囲内の充電のような睡眠で朝の弁当作り作業に入った。

まあ、難なくこなせた。

で、夫がいない日を獲得出来たので滞っていることの片づけに取り掛かろうと思案した。

でもそういう私の調子を狂わせるようなことになったのは、あの一通の手紙のせいだった。

正確には一枚のハガキ。

彼とはブログで知り合った。

かつて私は脳卒中に倒れそのリハビリ生活を主軸としたブログを書いていた。

でも更新をやめた。今はまだあるが閲覧をできないように設定している。

更新を辞めた理由は、もうそれまでの自分の継続ではなく脱皮という意味合いでそのブログ生活を断つことからだ。

でも彼は、そのことをきっと知らないのだろう。なぜなら彼はネット接続していないライフスタイルになっているから。

今でも彼のブログはあるけれどもかなり劣化してきている。かなり早くからフェイスブックもやっていたらしく彼のサイトはあった。

でも更新は2010年でとまったまま。

彼は、メジャーなミュージシャンのジャケ写なんかも撮っているフォトグラファー。

彼女は元モデルでフォトグラファーとしての弟子。

私は重たいのだ。ネットでの友達がネットなど関係なく彼にとって私はふつうに

友達の位置づけになっていることに。

というのは、彼はファンも友達も多く専門学校なんかで講師なんかもやっていたレベルの人らしくきっとみんな彼の近況を気にしてるんだと思う。

脳卒中で倒れる以前の彼の華麗なる経歴、ライフスタイルと今はとてもその、言えないというか、それなりのプライドを持ち合わせているだろう彼の近況を皆に伝えるというのは出来ないというか、私になぜに伝えるのか〜?それともみんなにも伝えているのだろうか?
いや、男の人って基本的に対男だから、落ちぶれの近況なんて伝えるわけないか。

だからきっと私だけに出してるんだ。

でも彼女がいるのなら彼女に甘えればいいのだけど、なんで私に書いてよこすのか。

それは彼女と結婚とかスムースに突き進めない状況だからだ。

大人になっての恋愛って面倒だからダメなんだ。

若い時に飛びついて一緒になった方がいい。

というのは、彼は、猛烈に彼女に甘えていて、大人の男なのにこんななの?というくらいなんだけども、そういう子供みたいな彼に献身的に尽くすような彼女。

彼が脳卒中で倒れてから彼女のご両親がともに癌で実家の家業を彼女がこなして彼のところに見舞いに行けなくなり、彼の親は脳卒中で障害がでたことで息子が障害者になってしまうとか、嘆くような父で。
彼は結局、ひとりきりで今も病院で暮らしている。

だから私に自分を伝えてがんばりを認めてもらいたいわけだ。
そういう彼の心理状況わかってしまうだけにきつい。

彼はもともとアスペルガーらしくちょっと普通の人と変わっているらしい。

でもバカとかう〜ん、知的障害ではなくて、気持ちの切り替えとか制御がうまくできないタイプらしくてだからだいの大人の男なのに本心むき出しで暴れるようなところがあったのだ。

ということで病院で暮らしている。

もうシャバに戻れないかもしれない。手紙も閲覧され持ち物も制約され行動を管理されている精神病院に居るんだもの。

もしね、彼女の親が元気であったとし彼が病気だけど結婚したいとしても反対されるんだと思う。彼女はひとり娘みたいだから。

たとえ相手が不具であってもやっぱり自分に正直に進んだ方が後悔ないよ。

彼の場合はそんなひどい状態じゃなかったんだけども脳卒中になって身体が思うように動かなくなってイライラのはておかしな行動になってそういう態勢の病院にいくことになったらしい。

彼女に会えないからますますおかしくなるわけで・・・。

彼女の方は、あくまでも弟子と師匠という関係ですと押し通しているんですよ。
でもとっても大切な人だからと方々で彼のために駆けずり回っていたということを彼らの事をよく知る人がブログに書いてあった。

夕方、夫が早々と帰ってきて「すぐ、行くぞ」と買い物に出かけた。

車のなかは夫の好きなスターダストレビューが飽和していたけど、私はその手紙のことで頭がいっぱいで音楽は耳にはいらなかった。


2014年08月31日(日)
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