VITA HOMOSEXUALIS
DiaryINDEXpastfuture


2017年07月19日(水)

 彼は東京の大学院で文学の勉強をした。大学院が終わって、就職先を探すために九州に帰ってきた。

 私とはゲイのSNSで知り合った。ネコと料理が好きな文学青年だった。彼は資格試験を目指していたので、日記には試験準備のこととかがよく書いてあった。

 私たちはお互いにトモダチ申請を承認しあい、もっぱらSNSの上だけで付き合っていた。試験が済むまでは誰にも合わないと彼が決心していたからだった。彼の書く文章には繊細さと太い根性と、澄み切った知性が感じられた。私は彼が好きになった。

 彼にバカと思われたら悲惨なので、私の文章も練り直した。

 一番気になるのは、彼にはすでに相方がいるのかということで、あるときそっと聞いてみると、「そういう人はいない」ということだった。私はとても安心した。

 彼は一次試験に合格し、8月に会えることになった。その前に私たちは写真を公開した。気品のある中性的な顔立ちで、女性と言っても通るほどだった。鼻筋の通ったところと、小顔のわりには唇が肉感的に厚いところに私は惹きつけられた。

 私はJR九州のネット会員になり、熊本から博多まで安く行ける切符を買った。

 新幹線の改札口で私たちは初めて会った。彼は小柄で、肩も背中も透き通るような感じだった。彼は顔を少し傾けて挨拶した。かぼそい声だった。

 私たちは丸善に行って、本のことを話した。彼と私とで趣味は異なるが、私も遠い昔を思い出して、神話や伝説、文学への興味を復活させようとした。本屋を歩きながらお互いに棚から取り出した本を見せたり、再び書架に戻したりするときに、私はちらっと彼に触れることがあった。そのようなことがたびたびになるに就いれて、私はこの妖精のような青年を抱きたくで仕方がなくなった、ペニスが大きく膨れ上がり、先端からガマン汁が出始めて気持ちが悪かった。

 日が暮れるころ、私たちは「百道」という海岸にいた。心地よい海風が我々をなでた。そこで、彼の家族はなかなか複雑であること、両親は離婚し、今はマンションに一人で住んでいること、近くに父親が住んでいて、ときどき料理や洗濯を頼まれることなどを、彼はやわらかい声で話した。人前で怒鳴ったことなど生まれてから一度もないといった感じの声であった。

 私も少し自分の仕事の話をし、どうして九州にやってきたかを話した。

 日が暮れて海風が冷たくなり。海岸に遊びに来てる人たちの姿が黒いシルエットになった。

 そのとき私は彼を抱き寄せてキスをした。少し舌を入れた。

 キスの時間は短かった。彼は顔を赤らめてうつむいた。少し涙ぐんだように見えた。

 私たちは、無言で肩を組んで百道海岸から出た。稚加榮で食事をし、ラブホテルに入った。彼は自分の肛門を念入りに清掃した。彼はいわゆる「ウケ」なのだった。

 彼のアナルは十分開発されていた。私が突っ込むと彼は静かに悲鳴をあげた。それでも彼のペニスは反応し始め、先端から透明な粘液を涙のようにたら、たら、と垂らし、寝具を濡らした。

 「おもらししちゃった、おもらししちゃった」と彼は震え声で言い、そのことが彼の興奮を高めているようであった。

 最後は二人で激しくもみ合い、おびただしく射精した。

 熊本の寓居に帰っても、その晩のことはじっと思い出された。そのうちに彼から再びメールが来て、今度会う日も決まった。


2017年07月17日(月) 九州にて

 ついに私の生涯最高、最大の恋愛について語ろう。

 その人は福岡に住んでいた。私は熊本だった。私はJR九州のネット会員になり、ほぼ半額で切符が買えるサービスを利用して足繁く彼のところに通った。

 そのきっかけはこんなことだった
  

     (以下次号)


aqua |MAIL

My追加