僕らが旅に出る理由
DiaryINDEX|back|next
2008年09月17日(水) |
My Only London - ロンドンの美術館 part 2 |
Museums in London、続きです。
【ナショナル・ギャラリー】 ロンドンで美術館といえば、コレでしょうね。 立地もロンドン中心部のトラファルガー・スクエア。もともとエントランスの前は車道だったんですが、交通渋滞のもとだということで私がいた時期に工事があり、道路部分がなくなってトラファルガー広場と地続きになりました。ハトの糞害がひどくて、「これでも大英帝国屈指の美術館といえるのか」という論争になり、美術館入場者からお金を取って清掃すべきか否か?でしばらくモメましたが、結局何も変わらなかったな・・・有り難いことに。 ここは美術の好きな人じゃなくても一応見ておこうというくらい有名な場所だから、とにかく混んでます。特に入ってすぐ右手にある印象派絵画の部屋は、日本の美術館の人気企画展くらいの勢いはあります。私も好きな絵がたくさんあるんですけど、私は好きな絵でも人が多いと見る気をなくしてしまうので、結局このスペースにはあまり足を運びませんでした。 ナショナル・ギャラリーは確か時系列になってて、印象派の部屋が美術史上では一番最近のもので、そこから進んでいくうちに時代がどんどん遡っていきます。1500年代くらいの部屋になると、鑑賞者もあまりないので落ち着くけど、宗教画が増えるので私には分からない絵になってくる・・・。 とゆージレンマがあります。笑 ここは観光客が多いだけに、ショップがすごく充実してます。単なる記念品にとどまらない、おしゃれなグッズがたくさんあって見てて飽きません。もちろんポストカードや美術書も完備。おススメです。ティールームも広くて、メニューも豊富です。人多いけどね。 気軽に入れるよい美術館でしたが、July 7thの事件があってからは持ち物チェックがやたら厳しくなり、めんどくさくなって足が遠のきました。私にとっては、美術館は自分のペースでふらっと立ち寄ってふらっと入れる、という出だしが大事なんです。すごく大事です。しょーもないこだわりですが。
【コートールド・ギャラリー】 ここは知る人ぞ知る、元貴族の邸宅の中にある小さなギャラリーですが、印象派の良品を多く所蔵していることで有名。あそこは何ていえばいいのかな?オルドウィッチから降りて来たテムズ川沿いのあたり・・・ストランドの先です。(がさごそ、カチカチ)すいません、今Googleで見たらまだストランド通りでした。そうか、ストランドって結構長いのね。 ここはコレクションとしては小さいんですが、非常に評価の高いギャラリーです。 でも、私はちょっと苦手・・・ 場所的に、私用地の敷地内に入ってかなきゃなんない感じで、ちょっと閉鎖的。内部も特に外来者向けには作らず、見に来たければ来れば?いいもの飾ってんのよ的な、それこそスノッブな感じがします。すごく静かだし、絵画を楽しむには最高の環境なのですが、こちらが値踏みされてる気になるのも確かです。たまたま、私が行ったときがそんな雰囲気だったのかも知れませんが。ただ、その時の印象が強く、入場料も結構高かった気がするので、再訪はしていません。笑
【ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ】 実は一番足を運んだのは、ここかも。有料なんですけどね。というのも、私の勤務先から一番近かったのです。常設のものはそれほどなく、企画展で人集めをしてました。小さいし、コレという売りはないですが、それだけに人が集中することもなく、ここのティールームは結構利用しました。 有る時、展示を見終わった後でお茶しながら、見た絵を思い出していたら、上品そうな老婦人に声をかけられた事があります。最初は紅茶のお砂糖がほしいけれどどこかしら、という他愛ない質問だったんですが、やがて「なんだかあなたが悲しそうな顔をしていたので、気になったの」と言われました。 当時私はある人に片思い中で、全然振り向いてもらえず、落ち込んでいた時期だったので、そんな風に言われてハッとしたのを覚えています。 最初は関係なさそうな質問から入るあたりが、イギリス人の気遣いらしいなぁと思ったり。 そんな思い出のあるギャラリーです。
印象に残っている美術館は大体このくらい。でもロンドンにはまだまだたくさんの美術館があります。 半分くらいは無料で入れたんだよね。・・・あの贅沢さが懐かしい。日本にいると、入場料はもとより、美術展があっても有名どころだとすごい人なんだろうな、と思っていまいち気が乗りません。今もフェルメール展、どうしようかと・・・。上野くんだりまで行って人の頭見て帰ってくんのはヤだなぁ> _<
2008年09月12日(金) |
My Only London - ロンドンの美術館 |
今回はなんだか観光案内みたいだけど、私はロンドンの美術館が好きだった。 なので、訪ねた美術館の思い出ノートを作ってみる。
私は美術館によく行ったけど、実はそんなにアート好きというわけでもありません。 画家や美術史もそんなに詳しくないし。 でもお散歩の途中に寄ったり、少し休んだりするのに美術館は最適な場所でした。 考え事に耽るにも。
ロンドンでお金を払わず、しかも雨露凌げて静かに落ち着ける場所って、そうはないのよ。
【テート・ブリテン】 私がロンドンで一番好きだった美術館。場所もテムズ川沿いピムリコという、ビクトリア駅の少し南の住宅地のような中にぽつんと立っていたので、美術館に来る人以外あまり観光客もいなくて落ち着いていた。 むろん、無料。巨匠の名画が無料!これがロンドンの美術館の堪えられないところ。まぁ、略奪の歴史だと悪口言う人もいるんだけど、無料が私のような庶民に有り難いことには間違いない。 ここの売りはもちろんターナー。昔はターナーの、ぼけぼけして境界のよく分からない絵が苦手だったんだけど、30過ぎてからしっくり来るようになった。あの色遣いはとても優しくて快い。 ロンドンの美術館は、古くて高価な絵を置いてます、という近寄りがたさはあまりない。無料というのがまずそうだけど、できるだけ私たちの実生活に絵画を近づけようとしてるように見える。 たとえば無料でおいてあるパンフレットには、数多いコレクションの中からどれに焦点を当てて見ればよいか、についてアドバイスしてるものがある。それも、たとえば 「"I've split up" Collection(「恋人と別れました」コレクション)」というものは、パンフレットをひらくと 「分かります、その気持ち。世界が真っ暗になった気がしますよね・・・」 という語りかけで始まり、 「そういうときには真っ暗な絵を見て、どん底まで落ちるのがよいでしょう」 と、それ向きのくら〜い絵を紹介してくれる。そして、 「それから、浴びるほどお酒を飲みましょう」 と言って、大酒をかっくらっている女性の絵。 ・・・というふうに、イギリスらしいユーモアで肩ひじ張らない絵の鑑賞を紹介してくれるのだ。 その他にも、「"I'm in a hurry" Collection」では最低限見ておいたほうがいい2枚(だけ)を空白のパンフレットの最初と最後にぽつんと置いてみたり、「"I'm hungover" Collection」なんかもある。 ティールームも一応あるけど、小さくていつも混んでいたので私は使わなかった。メニューはそこそこ充実してたみたい。ここのウェイターは絶対ゲイだ、というのが同僚Eの持論だったけど、はてさて。笑 そんなわけで軽食も取らず、鑑賞後はテムズ河沿いにふらふら歩くのが常だった。ただ、適当に歩いていると意外に迷ってしまい、ビクトリアに戻りたかったのに結局トラファルガー広場まで歩いてしまいました、なんてことも。なんせ普通の家やオフィスビルばっかりで、目印がないのさ。カフェもないからずっと何も食べず、大体テートに行った帰りはすごくお腹がすく。笑
【テート・モダン】 こっちはテート・コレクションでも現代美術、モダンアートの方。 実はテート・ブリテンよりずっと人気がある。建物自体、元は発電所だったものを改造したという異様な風体で、ヒップでキッチュなロンドナーに人気(笑)ちなみにここの改造をしたのがヘルツォーク&ド・ムーロンというペアの建築家で、最近では北京オリンピックの国家体育場(鳥の巣というやつですね)を設計してました。 こちらも無料。 でも、私はモダンアートがあまり好きじゃないので、ここはあまり行かなかった。だってね、「アナーキー」ってタイトルで天井からグランドピアノ吊り下げられても、どう反応しろと・・・。 ウォータールーからも歩ける距離で、観光客多かったし。 ただ、上の階にあるリーディング・ルームみたいなのは広い窓からテムズが見下ろせて快適だった。 しかしやはり無料のため、いつもコミコミ。ロンドンで落ち着ける場所を探すのは、だから難しい。
【サーチ・ギャラリー】 ここは確か有料だったと思う。まぁ有料だと有象無象がさかんに入ってくるというのは避けられるかも知れない(←何様?)これはウォータールーの、しかもロンドン・アイのすぐそばにあって周りは観光客だらけなんだけど、行ったのが平日の夜でもあったからか、比較的空いていた。 こっちもモダンアートなんだけど、私はサーチはOKでした。悪趣味すぎて。笑 あそこまで悪趣味なら、それはそれでいいやという気持ちになってしまう。頭の上下が逆になったような、ちょっと調子の狂う感じがいいです。 今、現役で活動してるイギリスの美術家では一番成功してると言われる、ダミアン・ハーストの作品が多く展示してあります。私の時はしてありました。でもハーストとサーチが仲違いして、ハーストは自分の作品をすべて買い戻したというような話が、ウィキペディアに載ってたような、載ってなかったような。 とにかくこのダミアン・ハーストの作品が悪趣味の筆頭です。牛を輪切りにしてホリマリン漬けとか、そういうヤツです。 サーチは中の廊下が細長くて、学校の廊下にじゅうたんを敷いたような感じで、木の床に塗った油の匂いとか、裸電球とか、白く塗りつぶした壁とかが印象的なのですが、その廊下のあちこちにも、面妖なオブジェが置いてあったりします(笑)
・・・あれ、意外と長くなりそうだな(汗)続きは別のエントリで。
2008年09月05日(金) |
My Only London - 大いなる隣人 |
私は自分がアジア人なのに、ロンドンでアジア系の顔を見てもそれが日本人か、中国人か、韓国人かをあまり区別できないことが多かった。 最初に「日本人ですか・・・?」とか恐る恐る聞くのもめんどくさいので、みんなに一律に英語で喋っていた。だから、学校内にいた日本人の学生からは、たいへんスノッブな女だと思われていたようだ(笑
実際にはただ、めんどくさかっただけなんだけどね。 知っている人も多いと思うけど、ロンドンにおいて、日本人はアジア人の中では抜群にモテる。日本人の女の子で、モテなくて困ってる子がいたらロンドンに行ったらいいかも知れない(笑 自信回復できるかもよ。 反対に、一番人気のないのは中国人だ。
中国13億人を一般化するのは不可能だ。これが中国人全体に当てはまるとは、私は全く思っていない。あくまで、狭い私の体験の中だけで感じたこと。
そんな前置きしながら、私は中国人は好きなほうだ。 私は発言の前にいろいろ考えてしまう性格で、たいてい考え過ぎて結局何も言えなくなり、ストレスが溜まることが多いのだが、中国人の押しの強さが、私のその逡巡を吹き飛ばしてくれる。 つまり、あまりに強引なので、こちらも遠慮なく腹が立てられるのだ。 ここで面白い発見をしたんだけど、中国人はケンカするのが好きな民族じゃないだろうか。 ケンカして初めて心を許す、ということがあるような気がする。 私は受付にいて、無理難題を言ってくる中国人に時々キレていたが、私がキレると彼らはよく、手を叩かんばかりに嬉しそうな顔をした(笑 それが分かってからは、私は迷うことなく、腹が立ったら彼らに対して文句を言うようになった。
日本人がまず、未知の人に対して、「仲良くしましょうね」という前提で付き合うとしたら、中国人は、「まずケンカしましょうね」というのが前提にある気がする。 私の個人的な考えで、間違っているかも知れないんだけど、そういう前提だから、中国が政府という単位になった時も、まず交渉ごとで相手に配慮した提案なんか出さないんじゃないかと思う。自分に100%有利な条件を出しておいて、相手がどのくらいキレるかを見ながら、徐々に要求の度合を下げていく、って考えなんじゃないだろうか。
ある意味とてもビジネスライクで大陸的だと思う。価値観がはっきりしている。 でも、日本人的情緒とは相いれないかな、と思うけど。
この間新聞で、中国人の日本語スピーチコンテストの優秀者のスピーチが掲載されていた。 そこで、ある女性がこんな事を言っていた。(細部に記憶違いがあるかも知れませんが^^;)
「以前日本人の学生と話した時、私は日本の漢字は全部中国から来たんだ、と言いました。そしたら彼は、中華人民共和国の『人民』と『共和国』は日本語だと言いました。私はそんなはずはないと言って口論になりましたが、後で調べたら彼の方が正しいと分かりました。別の機会に異文化交流で日本人学生のグループを上海で受け入れ、とても和やかな時間を過ごしました。でも今となっては、その時の印象はほとんど何も残っていません。口論をした時の方がずっと鮮明に覚えています。確かに、人の心を傷つけるような発言をすべきではありません。でも、私たち若いものが忌憚なく意見をぶつけあって話し合わなければ、どうやって向上ということができるでしょうか」
これは、私が抱いていた「中国人の考え方」のイメージを、よく表現していると思った。
あくまで、私の知る範囲に限ったことですが。
|