タイムカプセル

何を待っていたのだろう
かたくなに口を閉ざし
きらきらをいっぱい詰め込んで
季節が連れてくる冷たい風を
露ほども、思いもしないで
2007年11月21日(水)

Painter

凍える部屋で
ストーブを描いていた
つまらないと言われて
投げ出したパレット
ちっともぬくもらない部屋
隙間だらけのふたり


やがて
ストーブはエアコンになり
部屋は真新しくなり
絵筆は洗う必要が無くなった


壊れかかった日常に色を足そうか。


無限の色と可能性に首まで浸かって
新しいツールを前に
もう一度、ストーブを眺める
2007年11月18日(日)

冬が聞こえる

がらんとした世界の縁に立ち
抜け殻の夜を見下ろして
大声で泣いた
だだっ子のように
あったかい君の耳に
ふれたいという理由だけで
2007年11月13日(火)

最終列車

約束は
隠れて抱き合った
駅ビルの階段に
今も転がっている
2007年11月09日(金)

三番目の木陰で

サクラ舞う公園で
いちめん雪の坂道で
誰もいない浜辺で
いつもの高台の神社で
雷の夜におびえて
月夜に肩を並べて
後ろを振り返る仕草で
もう一度、幸せにして
2007年11月03日(土)
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