スケッチブック

書き連ねた後悔を
くしゃくしゃに丸めて


黄金色のメダルを
食卓に積み上げて


靴ひもをきゅっと結んで
大きく息を吸い込んで


なんでもない一日の
なんでもないところを探しに


少しだけ秋のにおい
キーボードはポケットの中


白黒の記憶は
パスワードにまかせて

2007年08月22日(水)

変われない空








長いトンネルを抜けても
そこに光などなく
ただ あるのは 
平べったく座っている
何の変哲もない風景


行き交う季節は
儚い夢を閉じ込めたまま
錆びついた心を
からからとすり抜ける


まるで
欲望と迷いの果ての
きれいごとにくるまれた日常を
あざ笑うかのごとく
2007年08月19日(日)

おなじ季節

ゆるやかに
恋しさが遠のいて


わずかな記憶をも
食いつぶして


息切れるこころに
なすすべはなく


夜の隙間に
あいまいな今日を並べる
2007年08月12日(日)

ちりちりり

ちりちりり

ろうかを歩く いとおしい風と

あのこがいた頃の

りんとした空気

がっこうがえりの

とおい音色に

うたかたの夢をうかべて
2007年08月10日(金)

夏休み

ラジオ体操
夏休みの友
セミの抜け殻 カブトムシ


15日のサイレン
野球に占領されるテレビ
夏の夜の火薬のにおい


「最後の登校日は、先生の給料日なんだってさ」


早く大人になりたかった少女の
唯一にして最大の悩みどころ


長くて短い 夏休み
2007年08月08日(水)

お別れのとき

「時間ですよ。」


15年の期限付き
わかってるけど
もう少しだけ伸ばして


そんな時間は
余裕のない人間たちには
あっという間で


思い出すのは
窓から覗く君の笑顔ばかり


土曜日に帰ったら教えて


君は君の時間を
満喫できたと信じてていいかな


君の大好きな庭で
君の大好きな人たちを守って


ひたむきに ひたすらに
すべてを待ち続けて





2007年08月02日(木)
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