カゼノトオリミチ
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2008年06月25日(水) 較べるなんてできない




「世界は不幸に満ちている」

「地球上で 幸福の量と 不幸の量は いったいどちらが多いのだろう」

と 新聞記事に あった



世の中と この暮らし

不幸 と 幸福 で 分けるなんて

不幸 と 幸福 を 量で 較べるなんて



比較なんて できる?



テレビで誰かが泣いている

なのに ご飯を食べている

テレビで誰かが泣いている

テレビを見て 一緒に泣く

けれどまた

ジュースを飲んでいる



そんな 暮らしと

誰かの 哀しみと

一緒になんか できない

一緒にしたら 申し訳なさ過ぎる




2008年06月18日(水) そら かぜ ひらり




ベランダで 風を 髪に

ほほに 受けて

見えない糸を たぐり寄せてます



何しているの

洗濯 干しているように見えるでしょ?

いいえ

遠くの うす水色の ぼんやりした空に

飛んでいるんです

風に乗って あの 街の上を

ひとまわりして 来たんです



紙テープが タメ息に 舞い

たくさん たくさん 飛んできて

からまり 動けません



そんな時 やっぱりベランダで

風を 浴びます

からだに つめいた水が 流れ込み

気持ちが 透き通ってゆきます




2008年06月12日(木) 砂粒




今日も ひとつ 点を打つ

それは 白い布に ひとつ

小さな刺繍を するように



ワタシが 今日

ここに居た という しるしを



水を 飲む それは

透明のコップから 水がなくなる それは

ワタシが 今 生きている あかし



毎日くりかえす 生活 というもの は

朝ご飯 夕ご飯 そしてまた 朝ご飯 とは



すべては

やってくる その毎日 を

過ごした という その あかし

広い 広い 砂漠に 今日も 砂粒を 一粒

落としている

今日を 過ごした という しるし として




2008年06月05日(木) 水辺にて




ぽとり 水面に投げた石

薄く広がる輪 みつめて 待っていると

やがて

底のほうから 幾つかの

水の あわの つぶやきが

ちいさく はじける



そちらはどうですか

あの日 つるりと 足をすべらせ

そのまま 行ったきり だね



いいこと ばかりではなくて

どうして こんな試練を と思うことも

体のあちこちが 痛くて でも

こうして ナンとかやってるから と



わたしは うなづくばかり



戻っておいで

やわらかい髪を なぜてあげたくて

ただ ただ 祈るばかり

手を合わせるばかり



そちらは 暖かいですか

湖を 包むように しとしと雨が降る


natu