カゼノトオリミチ
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2008年07月31日(木) アイ

アイスル 気持ちは

ひとりひとり ちがう

心に アツさ しまって カギかけたり

どこまでも 火の玉のように 追い続けたり

遠くから 見守っているだけの アイだったり

でも どれも

自分の心が 欲するから アイスル の



自分に 映った あなたの姿が

どんな姿 でも
 
縛られて 苦しむのが アイ



一方通行なのが アイ

求められて 与えるのは …アイ?

いつくしむのも アイ

だけど それも

ひたすら自分が 欲するから のこと



ヒトは 自分を 満たしたい

ひとりに ひとつ

ココロの入れ物 持っている 限り

からっぽでも あふれそうでも そんなこと

関係なく

渇きを感じ 続ける 求め 続ける




2008年07月29日(火) あのころ




一日の終わりには

誰しも 手のひらに いっぱいの

澱を 乗せて 重たくて

だから

手のひらの 下に

その あたたかな手のひらを 添えて 欲しくて



でも 水をふくんだ スポンジは

あなたの 手のひらにも 乗っていたのにね

気づかずにいた



あのころ

空は水色で 花は桃色で 草は黄緑で

そして 風は 透明で

あなたはいつでも 風景の中に

いるものだと

思っていたのよ きっと


2008年07月27日(日) ピアノ




ピアノ ピアノ

売られていった

あの朝 ベランダから見ていたの

路地の奥に 後ろ向きの トラックが



柿の木揺らして 荷物が出てきた

黒い 黒い ピアノ

緑の毛布に 包まれて

帽子の 男の人たちが

よって たかって 担いで 荷台に

よいしょ そうれ よいしょ そうれ と

大きな掛け声 朝の路地に 響いてた



荷台に乗って 行ってしまった

ベランダの下 通るとき

なにかが 終わってしまう気がした

どうして誰も 追いかけないのか



だから

ごめんね ごめんね と

心の中で つぶやいた


2008年07月23日(水) お疲れさま みんな みんな




ベランダに ようやく穏やかな 風が 

もう 今日も終わるよ と 吹いて

暑かったねと

ワンに 話しかけてみる



あの角に いつも立ってるご婦人も

首輪をつけた あのニャンと

静かにお話 してるだろうか



ワンとの会話

それは 柔らかなタオルケットみたいに

疲れた心 包んでくれる



暮れ色 にじみだした 散歩道 歩くような

年老いた ワンとの日々



そうっと 深呼吸してみて

もう 大丈夫 今日も終わるよ

風が そう言っている ね

みんな みんな みんな

お疲れさま


2008年07月14日(月) 羽がなくても




これ以上 見上げても

空の向こうに 何も見えない

目を凝らしても 届かない

これ以上 考えても

思いは なまぬるい風のように

自分に はりつくだけで 遠く 広がりはしない

ほんとうに

ほんとうに

トリに なりたいと思う

飛べるだけ 飛んで

風に煽られ 風と一緒に

チカラ 尽きるまで 飛んで

そしてそのまま 息絶える

そんな一生を過ごすことと

羽を持たずに

ココ で 暮らすこととは

同じことなのだろうか

羽がなくても 飛べるのだろうか


2008年07月07日(月) 手からこぼれおちるもの





雨あがりの空には 薄墨色の

雲が ちぎれて

薄水色の背景が 見える それは

もともと そこに有るもの



風は雨に洗われて 柔らかく

何も考えなくて いいよ と

ささやくから

受付の看護婦さんの

何事にも動じない

静かな温かさ 思い出す



そうなんだ 何も 変わらない

変わるのは

私の ココロばかり

夕暮れに

揺れる 振り子は

胸の鼓動のように 次第に 激しくなり

とうとう

行ったきり 戻ってこないのでは と

不安になる



あの 雨あがりの 雲のむこうは

ずいぶんと

気持ち良いからね と

ねぐらへ急ぐ オナガが

早口で 言いながら 頭上を 飛び去る


2008年07月06日(日) 白いすみっこ




自分から いちばん 遠いところにある色が

白だと思う

くすんだ肌に もう 白いシャツは 似合わない

潔くまぶしい季節に もう 戻れない



ところが こころの どこか

何度 汚れても 

油が 水をはじくような すみっこがあり

絶えず懐かしい 歌さえ 流れている

その辺りが

白さの記憶を 消そうとせずに

悪さする



だから厄介なことに

夢みたり する

夕暮れの風に タメイキ ついたり する



必要ない そう 言い切れずに

いつまでも 机の奥にしまってある

古くなった ホチキスの針の箱 のようだ


2008年07月01日(火) ラララ




チイサナ言葉を かさかさと

風が 集めて ベランダの 隙間から 

旅立たせる 誰にも 気づかれぬよう

ありがとう



こんな調子 です ポウポウ 

また 夕暮れが来るから ハヤク ハヤク と

アンテナのハトが



ハイハイ エプロンのポケットに しまうよ

いろんなこと そう、イロンナ コト

寂しいような 夢を見た

もう三日も それを覚えてるのは おかしいだろうか

階段を下りてゆくヒトを

大声で呼び止める 夢だった



さあ ひとり語りは おしまい

フワ フワ 缶ビールも 空っぽ

お米 とごう ラララ そう

ラララ で いいんだ そんなもの

キャロルキング 聞いたら 涙が出るよ


natu