カゼノトオリミチ
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2007年10月24日(水) ひとひら ひらひら




しっかりと きざむのだ

ここにある ことを この 存在を



いまがシアワセだと 思うキモチ

手のひらにのせて 握りしめる



はがれてゆく ひとひら ひとひらを

このベランダで 見送ろう

時が来れば 酔いのさめるように

夢から 覚めるもの

けれど この 痕跡だけは 現実



涼しい顔で 風にふかれよう

どんなときも どんなことも

時のいとなみのカケラ に すぎないのだから たぶん



2007年10月19日(金) 秋 断片





細長い姿見 のぞきこむと 秋の薄くなった陽射し 

とうめいの風のありかを

白いカーテンが 揺れて 教えてくれる



脱ぎ捨てたシャツの向こう側に

映るのはいつもの部屋 そして

見知らぬ 奥行きのある長い廊下



ベランダへ出ると

空は いつもにまして高くて 広くて

風を顔に受ける 雨のニオイ



テレビアンテナに止まり 偵察中のカラスが

アァーアァー って教えてくれた

もう海沿いは雨 降り出していると





2007年10月16日(火) おまえが大好きだよ





寒くて寒くて 厚着をした

かたつむりのようになって

PCにむかっている



うーたん

もうスグ10さい おまえはエライ

寒くないのか 暑くないのか

毛皮いちまいで

文句もいわず

ふうう…と ハナから タメいき

それから丸くなって ねむる なんの夢みてるの



茶色くて ちいさいもの

まんまるい目をした おまえ



冬にむかって 今年もますます

あたたかなおまえが 大好きだよ



2007年10月09日(火) 金木犀の花の頃に




自分でジブンを抱きしめる

叫びたいココロ 包むのはジブンの両腕

涙のぬくもり とか しょっぱさ とか

そんなこと 誰も知らない 誰にもいえない



うん

ほんと いっぱいいっぱいな時って

誰にもいえないんだ なんにも



石のように固まって

じいっと 嵐 通り過ぎるのを待つ

なのに 夕暮れに 金木犀が香って

ふいに ココロの隙間に流れ込むから

あの時 触れた手の暖かさ 思い出していた



通り過ぎた季節も めぐってきた季節も

おんなじ金木犀の香りがする



想いはココロの小箱にしまうよ

そしてやっぱり

自分でジブンを抱きしめる

秋は歩く早さで 冬へとむかうね






2007年10月06日(土) さかなのひとみ




ゆめうつつの時

ぴしん ぱしゃん 

暗い玄関に ゆっくり明け往く外の気配

さかなが尾びれをゆるく振る



せまい水槽の中 暮らすうち

さかなはとうに

考えること 止めてしまったかな

さかなのひとみに映るのは

のぞき込んだものの世界だけ



屋根の上の広がる空を教えてあげたい

東のほうから さかなの群れがやってくる

ウロコ雲 ひとつ ひとつがあつまって

ふかい水色の 空の海を

あんなに 自由に

風にふかれて 右に 左に群れは揺れ

やがてアカネの色に染まって

夜のとばりににじんで終わる



さかなは眠ることを止めない

ずっと昔に針は止まったまま

なにを失くして なにを捨てたか



水槽の水は生あたたかく

目をあけたままで夢を見ている 見続けている











2007年10月01日(月) 誰にもできないことがある





誰にもできないことがある

横を通り過ぎる人

キラリ ひかり まぶしくて

つい 目を伏せてしまうけど



頭の中で 思考はめぐる

あがったり さがったり しているトンネル

くぐり抜けた気がしても

洗面台の鏡に映るのは 

やっぱり いつもの自分の顔



でも

誰にもできないことがある

それは

自分を生きる こと



それだけ だけど 他の誰にもできないよ

それだけは






natu