カゼノトオリミチ
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2007年11月25日(日) 白いカレンダー




はるか上空では 今日も

強い風が 吹いている

その はるか下方 ベランダの

暖かな陽だまりで



ココロのコバコ あけると

数枚の写真 と 映画

ラベンダーオイル と 面影 いくつか



それから なぜか

風にめくれた カレンダー



白い11月が 空から誘われ 舞い上がり

手のひらに ぱらり

日々だけが 落ちてくる



指先で 数字 つまんで 

もう一度 並べてみようか もどり道を

忘れてしまわないように












2007年11月21日(水)   月  





顔をあげたら 風のない空に

高いところに 月があった

空気はひそかに 息をしていて

雲ひとつない夜

街は 永遠に静まりかえり

月だけが

こちらを見ていた

優しく 下界を 見下ろしていた



月に 短く会釈した

きっと 今夜の夢では

月から 長い階段が 伸びていて

駆け上がる 黄金色の扉まで



優しいまなざしの月に

少しだけ 言葉をかけた

ありがとう 見ていてくれて



月は ただ黙って 微笑んでいた





2007年11月15日(木) ダイアル





おはよう

朝だね

これは いつの 朝 かな

ぐるぐる 昨日の夜 ダイアルまわした

だから

朝は 朝 だけど



これは いつの 朝 なのかな

閉じた窓のむこうから

ギャーギャー聞こえる

あれはきっと オナガの呼び合う声 だな



いつの朝 でも いいかな

息を しているんだから

深呼吸 そして ちいさく タメ息

さあて 窓を 開けよう





2007年11月12日(月) むすんだ てのひら





むすんだ てのひらが ひらかない

ぎゅって もう 固くにぎられて

自分でも ひらくこと 出来ない



その手で 雨上がり

水たまりのどろ水を

木ぎれで ぐるぐる かき回したから



そんなこと しちゃ駄目だって

だから なんだね

バチあたり



でも 手のひらの中が ムズムズしてる

手のひらの中の どろ水を

誰かが ぐるぐる

かき回してるから




2007年11月08日(木) なぜだか 春のある日の はなし…




しあわせな 桃いろの国が

あったような ないような 気がして



はらはら 風が 青葉を揺らし

葉かげ 見上げれば 水色と白の雲が

ゆるゆる 昼のごはんのこと など 語らいながら

流れるような そうでないような

そんな感じで 浮かんでる



聞こえるのは

Here comes the sun とか

Here there and everywhere とか で



どこか でかける予定なの ちょっとオシャレ

薄キヌの桃いろのスカーフ

行く先は 胸がトキメク場所でなくちゃ ね



そんな国の住人に なったことが

あったような なかったような

夢だった ような





2007年11月07日(水) ぬくもり




ジブンで流す 涙の意味が

わからなくてまた 泣けてくる

でも ただ

ジブンの涙に 浮かんでる

傍らに映る 黄色い月を ぼんやりとながめている



チイサナびんにたまったのは 透明な 水



指の先も 冷たい夜

ジブンで自分を 抱きしめている




2007年11月01日(木) くもりの午後 落ち葉のニオイ





椅子の上に そのひざの上に あごをのせて

薄く目を閉じて いる 茶色のあたたかなもの

おなかが あがったり さがったり

きっと それは ゆりかごのよう

チイサナ呼吸は 夢の国に向かってる途中



雨はあがり 窓からは 落ち葉のニオイが

オナガたちの呼び合う声 郵便配達のバイクの音

グレイの雲が低く街を覆えば

現実も オブラートに包まれる



もうちょっと もう少し だけ このまま

老犬の 安らかなときを 壊さぬよう

みるくコーヒーを 静かに口に 運んでいる



湿った空気が 肌に冷たく 流れ込み

秋が 部屋の隅っこに 居座り始める この午後





natu