カゼノトオリミチ
もくじ過去未来


2007年09月25日(火) 平均値





毎日 時計の針は動いていって

でこぼこのココロ持ちを 抱えて 昨日 今日 

そして明日へと続く

そう、 でこぼこの日々を

色んなことで つじつま あわせてゆく



あんまり 役に立っても居ない この毎日を

音楽が なぐさめてくれたり

ベランダで 風に ひとりごと

人知れず ため息ついたり

人知れず ニヤニヤしたり…



それで 結局

でこぼこの日々を かき集めて たして 割って出た

平均値で 生きている



平均値は どのぐらいの値が いいのかな




2007年09月22日(土) 遠いところで 風に吹かれてるんだろう





夕暮れの茜色に送られて

いちにち 終わるんだね

まだ青の気配が残る灰色の空には

風が大きく 思うままに描いた 雲のカタチ



返事はいつまで待っても

来ないんだろう

夕日が西へといよいよ傾き もうすぐサヨナラ

小さな町の西向きの壁が輝いて まぶしくて



宛名の無い手紙が 届く訳が無いもの

私の握ったヒモの先は

遠い 遠いところで 風に吹かれてるんだろう

パタパタ はためいてるのかな



そこは 雨降りの堤防かもしれない

すすけた工場地帯 あるいは 花畑

確かなことなんて

知りたくても わからないから



そうだよ

宛名の無い手紙が 届く訳が無いもの

空に貼り付いた コトバたちが 

今日の終わりに 震えてる








2007年09月21日(金) ええと、えとえと…




どうしても出られなくて

ごめんなさい を 何度も繰り返す

そのベル 鳴り終わるまで



ベランダの風は 遠慮がないよね

遠慮ないけど 受け入れられないと思ったことは

一度も ない なぜだろうか



メールが鳴るほうがいいな

いそいそ 携帯のフタをあけてみたり

フタは ひとつの大きな扉と同じで それから

あれこれボタンを押してるうちに 心の準備も

できるもの



受話器を取ったら

いきなり動き出すストップウォッチ

それがシンドイなんて おかしいだろうか

素早くコトバを選び ええと、えとえと…



今日も 空はどこまでもみずいろ

白い雲はのんびり こちらをながめている

とっても

とっても 良い距離に思えて…

本当にありがとう



なんだか 誰かに会いたくなるよ

いつも ただの 片思いなんだけど





2007年09月19日(水) 風のトオリミチ





強さとか 弱さとかでは わからない

ココロは多面体に揺れるから

見上げる角度で それぞれ違うね

哀しみは キラメキの影になって

内側に溢れる涙を 隠してる



言葉に出来ない コトバは

唇から 泡になり 空へと昇ってゆく

つかまえたくて手を伸ばしたら

ココロに信号が届いたよ



いろんなこと思い出し
 
今は 少し後悔している

明日 草はらで もう一度

ひとつずつ 手に取り 太陽の光にかざしてみる


見てごらん

コトバたちが流れてゆく それは

風のトオリミチ

その先にきっとあるよ

明日のゆくえ






2007年09月17日(月) 早秋





季節の入り口 探すように

迷子の熱気は小さなつむじ風となり

日焼けた髪を舞い上げる



誰もいないブランコ揺れて

見回せば

ぽっかり ここは秋と夏のあいだの公園



誰かの引いたチョークの跡を

はみ出さないよう歩いてみる

約束どおりに 空の青は深まるのでしょうか

風は高いところから吹いてくるのでしょうか



午後の太陽は容赦なく

アスファルトの上に黒い影を焼き付ける



時の止まったベンチに腰掛け

いつまでも往きたがらない この夏を

ここから一緒に見送ります






2007年09月13日(木) 憧憬




幼い頃

外国って雲の上にあると思ってた。



それからしばらくして

雲の上に

死んだ人が暮していると

思ってた。



私もいつか行けたらいいな。

静かなところに。

雲の上か、海の底に。






 


2007年09月10日(月) Sigh




手元にあるのは

ちいさな缶ビール

今日 もらったのは

ちいさな親切 ありがとう ありがとう



ささやかな毎日だけど

いとおしいような めんどくさいような

時は

いじらしいような 悲しいような で

手を止めて

窓の外 今日の優しさを 数えてみる

温かさを 暖かいと 思えるキモチが嬉しいよ



雲と 空と ながめては

Sigh タメイキ

ねえ それでも 私は ワタシ

どうしたって

ここにいるんだから

いるんだから ね





2007年09月08日(土) メロディ





透明な弦の響きが

秋の朝のミルクティのように

安らぎ運ぼうと 湯気ふわり



なのに 襟元あけたほうがいいの

丸首がいいの

イライラの原因は目覚める前のこと

ページめくっても めくっても

失敗ばかりで逃げ出せなくて



気づけば 音は消えて

アスファルトの街路樹 揺らす風の音



次の曲が始まるまでのわずかな時に

捨ててしまおう クシャクシャにして

明け方の夢なんて 



今は

太陽が出ている 夢のこちら側なんだもの



曲がまた流れ始めて なぐさめてくれる

ありがとう  

目を閉じて 音に身をゆだね 吸い込まれてゆく







2007年09月06日(木) 一歩





水曜日の雨

ことこと ナベが揺れる夕方

耳の奥でカラカラとまた 引き戸の音がする

もう慣れたけど 邪魔なんだ この音


空は黙ったままで

幾千本の雨を 地上へと 落とす

うるおいとか 涙とか 雨を見ては思うけど


雨の糸なんて 一日のページに挟むしおり程度 と

強がるクセに 開けるビールはチビの缶

たったの250ml

その一歩が踏み出せないから



いつも いつも



雨をうけて木陰から迷い出た アゲハ蝶

どこへゆくの

戻る術など知らず でも いま

羽ばたこうと

思ったんだよね

濡れたアスファルトに鮮やか アゲハの模様



私はナベを かき回す




2007年09月05日(水) 小さな小箱に閉じ込める光る石のカケラ





希望

ってコトバが いま なぜだか通り過ぎたけど?

それはほんの瞬時の感覚で また

何もなかったように いつもの自分



ほんの ほんの時たま

キラリ キラリと 心きらめくのは なぜ?

希望

って コトバ自体が今は 不似合いな気もする

けどならなぜ? 自問自答



自分にも解らない

心の奥底から湧き上がった



そんな一瞬があったんだって

人には言わない

自分だけのちっぽけな光る石を

心の小箱に 閉じ込めておく

ひみつだよ それでいいんだよね



いつか 取り出して 眺める日が来るかも?

いっそ そんな小箱 忘れちゃうぐらいに



あしたの あしたの あしたのハナシへ

取っておこう

そんなこと 思う自分に 短く笑っちゃうけど




2007年09月03日(月) 往く夏の日に 2




夏の風 吹き抜ける雑木林で

少しよごれた手のひらにのせた ぬけがらを

眩しそうに差し出した

顔を寄せてのぞきこめば 茶色の薄皮の向こうに

キラキラした木漏れ陽 揺れた気がした



透明の水に カラン 透明の氷が泳ぐ

飲み干しても潤わず 渇きはおさまらず

カーテンの間から 見えない空をのぞく



脱皮の時の恍惚感のあと

するすると

ワタシの中身は水洗トイレに抜け落ちた

高いところからそれを確認して

それから

洗浄レバーを引きました



ぽとり落ちた水滴で

テーブルをなぞる ぬけがらの形

何度 夜が来ても

朝はもう訪れない

太陽も昇らない

夏は往ってしまった



natu