たまにはホテル行こうよ - 2005年05月29日(日) 部屋に入って来るなり、窓の外を指差してカノジョは言った。 ボクの部屋の窓から少し上を見上げるとラブホテルの看板が見える。 引っ越して来たときからずっとそこにあったから、それがラブホテルであるという認識すらあまりなかった。 「ね、いこ。」 すぐそばにある土手の散歩に誘うときと同じ口調で話すのがカノジョらしい。 いつもこうやってカノジョの気まぐれにつきあわされるんだ。 だけどまぁいいか。他に用があるわけじゃないし、この映画もおもしろくないしな。 「いいよ。」 見ていたDVDをデッキから取り出して、TSUTAYAの青い袋にしまう。 その間にカノジョは冷蔵庫から取り出した缶ビールを嬉々として保冷袋に詰め込んでまるでピクニック気分だ。 「コンビニでお菓子も買っていこー」 はいはい。仰せのままに。 ほんとに散歩にでも行くようにぷらぷらと徒歩1分のホテルへ向かう。 部屋に入ってすぐに缶ビールを開けて乾杯。 テレビをつけると四分割された画面では四種類のアダルトビデオが流れてる。 ソファに並んで腰かけながら、うちでテレビを見るときと同じ気分で女優に点数つけたりしてご歓談。 「お風呂入れよー」 いそいそとバスルームに向かうカノジョ。 普段はボクにやらせるくせに、こんなときだけはフットワーク軽いんだから、と心の中で苦笑する。 戻ってきたカノジョを見て、どきっとした。 いつの間に服脱いだんだ。 しかも見たことない新しい下着だ。 「えっち先にします?お風呂になさいます?」 ふざけてそう笑うカノジョをベッドに押し倒して口づける。 一回戦。 たまってたからあっという間だった。なんだかくやしいじゃないか。 ひらりとベッドから降りてバスルームに向かったカノジョの歓声が聞こえる。 のぞくと、ジャグジーの風呂の泡の中で戯れるカノジョの姿。 「あたしねー、お金持ちになったら絶対お風呂はジャグジーにするんだー」 屈託なく笑うカノジョを見ていたら、なんだかボクも楽しい気分になってきて、湯船からあふれでる泡の中に勢いよく飛び込んでみた。 泡だらけになって向かい合ってお互いの足の裏をマッサージしあう。 こういうふとしたときよく思うんだけど、カノジョとは大人になってから知り合ったけど、なんだかずっと昔から友達だったような、そんな気がするんだよな。 風呂からでて二回戦。 セックスのとき、部屋のあかりを暗くしたがるカノジョ。 いつもうちの風呂でたときは、ほとんど裸に近い格好で部屋ん中うろうろしてるくせに。女心って変なの。 ルームライトを全部消してもバスルームからもれる明かりと、ベッドのヘッドレストのパネル照明で部屋の中はなんとなく見える。 仰向けになったボクのペニスを口にふくんでたカノジョが、体を起こして上にまたがってきた。 こんな体位、今まで死ぬほどしてきたのに、ボクの鼓動は早まった。 カノジョが別人に見える。びっくりするぐらい卑猥だ。 ああ、そうか。照明のせいだ。 ボクの部屋の照明器具はカノジョの要望で全部パルックボールの電球色。 オレンジ色のリラックスできる明かりでボクも結構気に入っている。 でも今目の前で腰を振っているカノジョを照らすのは、ベッドのヘッドレストの白いパネル照明。 下からの青白い光を体に受けて、カノジョの白い体が薄暗闇に浮かびあがる。 風呂で濡れた髪が束になって顔のまわりに揺れている。 よく知った知りつくしたと思ったカノジョの別の表情が見えた気がした。 いやらしいじゃないか。 しまった。また先に逝ってしまいそうだ。 あわてて体を起こして、カノジョをベッドに押しつけて、青白く淫猥に光るその下腹に白濁した液体をはきだす。 たまにはいいかもしれないな。こういうのも。 夢の中で縛られていた。 - 2005年05月24日(火) 両手を上にあげて、手首を縛った紐はそのままベッドにつながれていた。 私は下着をつけたまま。 下着の縁を丁寧になぞる舌先。 もどかしさに体をくねらせる。 せつない声をあげる私を観察するように、 細い指先が下着の縁からすべりこみ、 胸の一番てっぺんの隆起に触れる。 思わずに手に力が入って、その窮屈さに悲鳴をあげる。 指先で下着の中の一番感じる部分を捻り上げながら、 へそのあたりをつぅっとすべった舌先が、 パンティの上から、すでに染みを作ってるあたりを縦になぞり、 白い歯が軽く噛みつく。 ため息とも泣き声ともつかないようなせつない声が のどからもれる。 ああ、もっと欲しい。 いつもなら両手でかかえる頭に手が届かない。 体をよじって、腰をふってその舌先に股間を押しつける。 次のシーンでは、私の右手は右足首に、私の左手は左足首に結ばれ、 うつぶせの姿勢で頭をついて、腰を高くあげている私の淫らな臀部に熱い息がかかる。 まだパンティははいたまま。 熱い息を股間の中心に感じた次の瞬間、パンティはぐいと横にずらされ、そのすき間から熱い舌先が濡れて元のカタチもわからなくなってしまったのではないかと思うぐらいの深い谷間に挿入される。 窮屈な姿勢のまま、シーツを噛みしめてくぐもった声をあげる。 動きを制御され、執拗な舌先の動きに身もだえする。 無理にずらさせたパンティのゴムが太ももの付け根に食い込む。 欲しい… 入れて… 懇願するのに声がでない。 熱い息が遠のき、何が起こったのかと首をうしろに捻ろうとしたその時、 大きな太い芯が私を貫く。 脳までしびれるような快感。 容赦なく突かれる。何度も何度も。 私のずっと奥深くに眠っているものを起こすかのように。 更なる快楽を貪るために自由に動こうとする手足。 手の首と足の首が縊死してしまうのではないかと思うほどひきつれる。 絶頂に達する直前、大きな浮遊感が私を包む。 紐が解き放たれる。 自由になった手足を大きく彼の体に巻きつかせて、 結合部を強くひきつける。 縛られていた手首や足首のしびれが溶け出して、 完全で絶対のひとつの細胞になる。 温かい白い光に包まれた小宇宙。 ふたりがひとつになるのではなくて、 ふたりでひとつになる。 至福の瞬間。 セックスなんて簡単だ - 2005年05月23日(月) 乳首に触れられれば、カラダは反応するし、 股間の先端をお互い舌先でなぞれば、準備はOK。 潤った女性器と隆起した男性器さえあれば、いつでもどこでも何度でも。 逆にセックスをしない選択をすることも、これまた簡単。 拒否すればいいんだもん。 難しいのは、 セックスしたあとにまたしたいと思うか。 セックスなしでもまたあいたいと思うか。 セックスを目的にしちゃだめだよ。 ただのツールなんだもの。 本当の快楽は能内で生まれて育って熟成して、 カラダを媒体として解放されるのです。 ふんわりふわふわ - 2005年05月21日(土) 地に足はつけるけど、 つま先に地面を感じながら、 スキップするみたいにふわりふわりと。 お酒飲んでふわふわと、 彼の空気がふわっと動いて、 ふわりと降りてくる唇を ふんわりと受けとめる。 そんな生き方。 研ぐ。 - 2005年05月15日(日) あなたの断片だけを感じる日々。 視覚も聴覚も嗅覚も触覚も味覚も 全部を使ってあなたを感じたい。 姿を見ただけで 声を聞いただけで 空気の中の粒子を感じただけで あたたかいその手に触れただけで 舌の先であなたの一部を包みこんだだけで 悦びで意識が遠のくぐらいに感覚にヤスリかけて待ってる。 今夜も頭の中であなたに抱かれて濡れて 徐々に感覚が研ぎ澄まされていくのを確認する。 私のこの尖った五感の先端であなたを刺し殺したい。 PM7:20 - 2005年05月14日(土) 一日の疲れがどっときて、 ふぅとひと息ついた時、 いつもあなたのことが心に浮かぶ。 がんばってるかな。 今夜逢えるといいな。 携帯のアドレス帳を開くけど、 最後のボタンを押すのをやめてしまうのは、 逢いたいのに逢えない理由ばかり探してしまう私のこの指。 錯綜する思い - 2005年05月13日(金) 遠距離の彼が久々に出張でこっちに来た。 お互いに仕事があるから、待ち合わせを遅めの時間に設定した。 思いがけず、私の方は仕事が早く終わって、職場の仲間と時間つぶしがてら食事に。 グルメな女友達の連れていってくれた洋風居酒屋は、明るいママとセンスのいい音楽と木製の大きなテーブルのある居心地のいい店で、料理も最高。 女3人、ひたすら食べ物の話で盛り上がりながら、2時間のうちにワインを2本空けてしまった。 「次のお座敷あるなら、あんまり飲んじゃだめだよー」などと友人に言われたけれど「だいじょーぶだいじょーぶ」と大きめのワイングラスを次々口に運ぶ。 ほんとは全然「だいじょーぶ」なんかじゃない。 心臓がばくばくしてるのは、アルコールのせいなのか、これから逢う彼のことを思ってなのか、もはやわからなくなってきている。 陽気な彼女たちと明るく別れ、ひと足先に店をでる。 駅に向かう雑踏の中で、無性にあの人に逢いたくなった。 これから逢う遠距離の彼じゃなくて、今一番逢いたいあの人。 と思ったときには電話かけちゃってたよ。ああ、酔っぱらい。 仕事中なのにワンコールで電話にでてくれた彼の声を聞いたら、というより改札近くの人ごみで、実際はよく声が聞こえなかったけれど、ああ、つながってると思ったらなんだか涙がでそうで、わざと明るく大きな声を張り上げる。 電車に乗って、別のターミナルステーションへ向かう。 窓ガラスに写る私の顔は目まで真っ赤で、ほんとに泣きそうな顔。 久しぶりに逢う彼のこと、たぶんもう醒めてしまってるんだと思う。 でも逢おうとしてる。 「たぶん」じゃなくて「やっぱり」と確信を持ちたかったから。 なのにこんなに酔ってちゃだめじゃん。 酔うといつもずるずるだらだらカラダが寂しくなる自分のこと、自分が一番良くわかってるくせに。 改札口の向こうの彼の笑顔。 ものすごく人がいっぱいだったけど、私もあんなに酔ってたけど、すぐに発見できた。 「やっと逢えた」 軽く肩を抱く彼に、笑顔を向ける私。 笑顔のつもりが困った顔になってしまってると思うと尚表情が強ばる。 何も言うなよ 彼の優しい目がそう言ってる。 ああ、全部わかってるんだな。この人。 そう思ったら、なんだかもういたたまれなくて、 胸がしめつけられるようで、 「部屋、いこ」 とはっきり口にだしてそう言っていた。 彼が宿泊しているホテルの部屋で、ゆっくり抱き合おうとする彼を押し倒して、酔いでぐるぐるなりながらも、彼の服を脱がせて、自分の服もどんどん脱いでいく。 何をこんなにあせっているんだろう。 いつもと違う私の行動を遮るでもなく、彼の手はその間もゆっくりと私のカラダを撫でてくれている。 あったかい手。 何も考えたくない。 ふとすると脳裏に思い浮かんでしまうあの人の幻影をなんとか酔いの狭間に押し込んで、彼のカラダに集中しよう。 全身に舌を這わせて、彼自身を口にふくむ。 舌先で先端を刺激しながら、のどの奥まで吸引する。 彼が体を起こして、逆に私を押し倒す頃には私もちゃんと濡れていた。 今度は彼が私のカラダを全身くまなく舌と唇と大きなあたたかい手で愛撫する。 気持ち良くって……眠ってしまった。 「あいしてるよ」 そう聞こえたのは夢の中…かな。 その言葉に返す言葉を私は持っていない。 ブレンド - 2005年05月12日(木) 彼はコーヒー豆屋さん。 ひとりでふらっと入ったバーのカウンターで偶然隣り合わせになって意気投合。その日の帰り際、少しだけ濃厚なキスを店の外の階段でした。 そんなひと夜の出来事も記憶の隅の方にひっそりとなりを沈めたある晴れた日の午後、彼の店の近くに行く用事があったからちょっと立ち寄ってみた。 ガラス張りの店内を覗くと、隅のスツールで何やら読書中。 入り口の扉を軽くノックして、顔をのぞかせる。 「こんにちは」 「いらっしゃい……あ」 本から顔をあげた彼の目が丸くなる。 すぐに思い出してくれたことがちょっと嬉しかったり。 「コーヒー買いにきた」 「おお、ありがと。こないだと同じのでいい?」 たった一回会っただけで、しかも2ヶ月の前のことなのにちゃんと覚えてるところがさすがだなー、と思わず褒めると 「そりゃ覚えてるよ」 と笑顔を向ける。 でもそれ以上は何も言わない。 こういうのっていいな。 何も言わなくてもわかってるって空気が心地良い。 指定したブレンド用の豆を丁寧に一種類ずつ秤にかけていく手際の良い手元を見てるうちに、あの夜のことをリアルに思い出しそうになってしまう。だめだめだめだめ。 …あぁでもほんといい香り。 レジカウンターに頬杖ついて、目を閉じて計量される豆のパラパラという音を聞きながら、芳醇な香りに思わず目を閉じて深呼吸したそのとき、 「素敵な酔っぱらいだよね」 と彼の声。 「え?」 目を開けるとミルに豆を入れながら、こちらをちらりとも見ずに作業を続けるうしろ姿。 うわーちょっとふいをつかれた。どきどきしちゃったよ。 「はい、お待たせ。200ね。すぐ飲まないときは冷凍庫入れといてね」 挽きたてのコーヒー豆を受け取りお会計をしてると、ドアベルの音と共に次のお客さま。 ちらっと彼の顔を見ると、しっかり目が合ってしまった。 顔にね、書いてあったよ。 残念。またね。 たぶん私の顔にもおんなじこと書いてあったかも。 何が「またね」だかわからないけど、何だか「またね」な気分だった。 いろんな気持ちがいいブレンド具合。 私は平気。 - 2005年05月11日(水) 仕事、思う存分がんばってね。 こんなときこそ重くならないように気をつけなくちゃ。 そう思って軽く送ったメールはぎくしゃくしてて。 ほんとは逢いたくて苦しい。 お風呂場で - 2005年05月10日(火) シャワーを浴びながらぼんやり彼のことを思い出す。 きつめのシャワーが肩甲骨から胸、下腹から太ももへ当たって飛沫をあげるのを眺める。 彼が優しく舌を這わせてくれるのを思い浮かべながら。 股間に手を伸ばし、指先で少し広げる。 広がったヘアーのすき間にも透き通ったぬるめのお湯が絶え間なくどくどくと流れ込む。 シャワーの取っ手をそっと近づけてみる。 ・・・! ビクンと体が反応する。 シャワーの角度を少し変えて、更に近づける。 っっ・・・んっ さらさらの液体の滝の向こうに粘着質の滝つぼが顔をのぞかせる。 飛び散る水滴が私を包む。 目を閉じて記憶の糸をたぐりよせる。 私の体に飛び散る彼の汗。 引き寄せた首筋も額も背中も汗でぐっしょり。 快楽に唇を這わせるとしょっぱくって。でもそれが嬉しくて。 口の中に飛び込むシャワーの飛沫は、無味無臭。 あったかいけれど物足りない。 きれいに洗われていくのはさっぱりするけど、 でも今は あなたの体からでるすべての液体を私になすりつけて欲しい。 デート - 2005年05月09日(月) ふたり並んで海を眺める。 彼の左肩が私の右肩の後ろに少しだけ遠慮がちに重なっている。 港の欄干にひじをのせて、少し頭を右に傾ければ、ふわりと触れる彼の前髪。 暑過ぎず、寒過ぎず、夕刻に向かう海風も優しくて、手の中にあるぬるい缶ビールでさえ心地良い。 早く抱きあいたいけれど、今はまだそうしない。 唇もおあずけね。 美味しいものは最後にとっておきたいの。 あの観覧車に明かりが灯ったら、夜の街へ繰り出そう。 お酒を一杯ひっかけた後は、好きにしていいよ。 じれったいけれど、ちょっと優雅でかなり贅沢な夕暮れの空。 好きだった気持ちって - 2005年05月08日(日) 一体どこに行ってしまうんだろう。 あんなに思っていたはずなのに。 もうすぐ逢えるね。 なんていう言葉がちょっと滑稽で哀しくて。 他にいるの? - 2005年05月07日(土) 突然そう聞かれて、「何の話?」と返すのが、コンマ何秒か遅れた。 それが返事になってしまった。 あえぎ声 - 2005年05月06日(金) 今夜は声をださないようにしてみようかな。 普段私はセックスのとき、声をあげる方かと思う。 人と比べたことないからわからないけれど。 でも、先日某愛読日記で、本当に感じたときって声がでないというのがあって、そうそうそうだったと、今更のようにその事実を思い出した。 もちろん演技で声をあげたりはしない。 けれど、たぶん自然にでてしまう音量より何割か増しの大きな声をわざとあげている時がある…と思う。「思う」というのは確かに感じているのは本当で、自分でも声をあげるのが普通になっているから、どこまでが自然なのかわからなくなっているのかもしれない。 何故わざわざ何割か増しの声をあげるかと問われれば理由はふたつ。 ひとつは自分のあえぎ声を聞いて更に興奮を高めるため。 私は自分のあえぎ声が嫌いじゃない。いつもよりオクターブ高くなるその声は自分の咽から発せられたとは思えないぐらい甘くていやらしい。感じてる私を聴覚でも感じたいから。 もうひとつは声をあげないと、せっかく気持ちいい状態をホールドできないから。 すごく気持ちいい状態になると実は声ってでなくなったりする。 だけどそこで黙ってしまうと、相手の人は「ああ、ここは違うのか」とその動きをやめてしまう。ああ!やめないで!と思っても、一度中断された快楽は同じ夢の続きを見るのが難しいのと同じでまたふりだしに戻ってしまう。 だからあえて無理してでも大きなあえぎ声をあげる。「もっともっと!」と叫ぶ代わりに。 というわけでその夜はもっと自分のカラダに素直になってみようと思っていた。 無理や嘘のない快楽に身を委ねてみよう。 体を寄せ合っている彼の指先が私の茂みの中にするすると降りてゆく。 たぶん茂みから顔をのぞかせるほど大きくなった私の先端に指先が到着した瞬間、体が恥ずかしいほど反応し弓なりになる。 そう、いつも気持ち良すぎると腰を引いてしまうクセもある。 それもやめてみよう。 私の先端と彼の指先の直径2センチぐらいの接触部分だけに集中しよう。 優しくゆるゆると2センチの快楽が私を包む。 「ん…」 ため息ともつかない声はやっぱりもれてしまう。 2センチの更に下の部分から溢れでた液体が、たった2センチの接触部分をもっと何十倍もの広さに感じさせてくれる。 体温があがり、シーツと密着している臀部が汗ばむ。 すぐ横の彼の体温も一緒にあがっているように感じる。 私の髪を口先でかき分けて、耳たぶに這う彼の舌。熱い息。鼻腔いっぱいに広がる彼のにおい。 き…た。 声のでない瞬間。 でもやっぱり急に動きや息遣いのなくなった私を見て、彼の指先が止まってしまいそうになる。 あ…いや… 「そ…こ…や…やめないで…」 やっとの思いでそう伝えると、また意識を戻す。 「やめないよ…ずっとこうしててあげる」 彼のささやきが音声というより振動として耳の穴から息とともに流れこんでくる。 彼の指先と私の先端がひとつに溶け合う。 ふたりの意志とは別の生き物のように、快楽を求めてゆらゆらと蠢く。 耳たぶが熱くなって、体温が更にあがったように感じた次の瞬間、彼が私の上にまたがり、ひと息で奥までずんと挿入してきた。 ああ、やめないで!と思うより先に、別の快感が一気に私を凌駕する。 重なり合った彼の下半身がさっきまで指先で蠢いていた生き物もまとめて摩擦するように激しく動く。 腕を彼の背中にまわし、足を腰へ強く絡ませる。 脳天まで突き抜けるしびれ。 遠くなる意識。 固く閉じた目の内側が白くなる。 あ…れ…? 次にベッドの上に意識が戻ってきたときも、彼は同じように腰を動かしていた。 数秒しかたっていないのかもしれない。 だけど大きく広がった私の内部は部分麻酔をかけられたみたいな感覚。 もしかして…逝っちゃったの? これが逝くってことなの? 今まで逝ったと思ってた感覚と全然違う。 自分でもびっくりして彼に伝える。 「そうみたいだね…ここも感じないみたいだ」 そう彼に言われるまで、彼が私の乳首に触れていることすら気づかなかった。いつも震えるほど感じる場所なのに。 「気持ちいい」なんて言葉じゃ表現しきれない。 カラダもココロも満たされて溢れでて開放される。 声がでてたかでてなかったか。 導入部でしか判断できない。 ひたすら集中して快楽を、ただただ快楽を貪れるセックス。 ひとつになりたいという気持ちがこんなにもセックスを充実させてくれるなんて。 快楽って奥が深い。 私の体もまだまだ奥が深い。 彼とならもっとずっと深いところまで沈めるような気がする。 ずっと沈んだ先に光はあたっていないかもしれないけれど。 だけど沈んでみたい。 いいよね? 言霊とはよくいったもので - 2005年05月05日(木) 人を話をしていて、相手の意志を感じとる一番重要な情報は「言葉の内容」ではなくて、表情や声だったりする。 同じことを言っているのに、なるほどとうなずけたり、カチンときたりするということは、相手の意志を感じとっているのは、言葉そのものが内包している情報ではないということ。 だからこそ対面して話すということが大切で、だから私はネットという文字だけのコミュニケーションにあまりいいイメージを抱いていなかった。 だけど、最近になって少し考えが変わった。 確かに対面よりは大幅に情報量が減ってしまうネットコミュニケーションの世界ではあるけれど、そこにうずまく言葉の向こうには確かに人間が存在していて、その人の生み出す言葉は、それは言いまわしひとつであったり、言葉の選び方であったり、語尾であったり、ときには顔文字の使い方あってさえも、なんとなく合う合わないがわかってくるようになった。 それは文章がうまいとかうまくないとか語彙が豊かであるとか豊かでないとかそういったことではなくて、ウマが合う合わないという 極めて人間のソフトな部分の感情を、こんなみんな一律のフォントで表現されてしまうこの場所で確かに感じられるようになった。 これってちょっと自分ではびっくりすることで、だからこうやって今日もここで顔も知らない声も知らない誰かとコミュニケーションを計ってしまうのです。 「咲」の向こうの「私」を感じてくれているあなたへ。 さっき - 2005年05月03日(火) お風呂に入るとき、服を脱いで洗濯機にほうりこむ瞬間、あの人の匂いがした。 ほうりこんだ服をもう一度拾って、両手で包んで顔に押しつける。 いっぱいいっぱい匂っといた。 洗うのもったいないなー 昨日の晩 - 2005年05月01日(日) 「GW明けにいつもより長めにそっちに行けるよ。」 そうメールをくれたあなたに、「嬉しい」の言葉の前に「休みの後だし連日逢うのは無理かも」とつれない返事をしてしまう私。 本当は嬉しいはずなのに。 理由はわかってる。 濃い時間を過ごせば過ごすほど、その後の不在が辛くなるから。 喜ぶ気持ちを半分に、心を平静に保っていれば、不在の寂しさにも耐えられる。 でもこれって何か変?好きになればなるほど、気持ちを冷まそう冷まそうとしなくちゃいけないなんて。 もっと近くてもっと頻繁に逢えれば、こんなこと思わないですむのにな。 なんて言ってみても始まらないか。 でも一番の理由はそこじゃなくて。 今、一番抱かれたいと思うのはその彼じゃないってこと。 ココロが代替品を求めてる? カラダが代替品を求めてる? そして。 どうして私はそんなに求めて欲して次から次へと溢れでる煩悩にふりまわされるほどココロもカラダも枯渇しているのだろう。 愛する人に囲まれて、やりがいのある仕事をして、健康に暮らせているというのに。
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