日々の泡

2010年10月17日(日) そういう気分になりたいこともあるんだ

その人は詩人で小説も書く。
その人は数年前ちょっとした賞を取った。
どんな小説かと言うとそれは西日のあたるアパートの洋室の窓辺に置かれたアップライトピアノの上で音もなく舞っているほこりのような小説なんだけど。
いつも新刊が出るとつい読んでしまう。
とても好きというのじゃない。
読むと楽しいというのでもためになるというのでもない。
たぶん西日にちょっと光りながら舞っているほこりのような気分に時々なりたくなるからだと思う。
どんな気分か簡単には書けない。
詩人が何十ページも費やさなければ表現できない気分なのだから。
 暮れかかった窓辺からどこかの夕食の仕度の気配が漂ってくる。
今晩は豚汁?
漂う匂いの源の家族の様子を思いながら
もやもやと何かがわたしの胸に立ちのぼってくる。
秋のしんみりと家族の団欒と元気なこどもらと…
わたしの遠い昔の何かの記憶がもやもやと混ざり合った秋の夕暮れ。
書いているうちに窓からは塩鯖を焼く香り
夕餉の仕度もクライマックスですね…岡本さんち。



2010年10月16日(土) 脳性疲労

墓参を目的に旅することになった。
墓参を旅とは言わないか…でもいいや旅行と言って充分な距離なんだ。
ネットで検索して少しでも得してやろうとあっちこっち宿やらチケットやら探し回ってへとへとになった。
で、結局疲労困憊の上面倒くさい病が発祥…ノーマルで電話で予約。
なにしろ脳が疲れるのだ。昨今…
久しぶりに遠い町の知らない人と電話で話す。
たかだか宿泊の予約の数分の通話の中
知らない若い女性 懐かしい訛りが潜んだその声
彼女は今、どんな暮らしの中にあるのだろう…
あの町のあの風の中で…
気持ちだけがあの町へ飛んでいく。
そんなだから、日にち間違えたり、おぼつかないのだ、様々な事が。
ちょっと夫の機嫌が悪いので好物の里芋のにっころがしでも煮てやろうと思ったが面倒くさいなあ…



2010年10月04日(月) 不思議だ…

切り干し大根を入れて
ほうれん草のお浸しを入れて
金平牛蒡を入れて
プチトマトを詰めて
チキンナゲットにケチャップをつけて詰めて
ご飯をよそって
ちりめんとごまをちらして
梅干しと
塩昆布を添えて
弁当のふたを締め終えて
ふと気付くと
前髪がごわごわしている…
なんだ?
それはケチャップが髪について固まっているのだった…
なぜ?ここに?
よくわからない…
そんなぼんやりした月曜日
てくてく駅まで歩き始めると
町は金木犀の香り
長い長い恋愛小説
「夜はやさし」 スコット・フィッツジェラルド
すっかり浸かってしまってふらふらしている。
なので どうやって前髪にケチャップが付いたのかもよくわからない。
と言い訳する。



2010年10月03日(日) 散文

☆知らないうちに寂しさが胸のあたりでうずいてくる。休みに学校のチャイムを聞くと。なぜだろう?
☆空が高ければなおさらだね。
☆夏にはまだ日が高めのところにある 夕飯の仕度時。
☆秋には黄昏れて流れてくる醤油とみりんと…
☆かぼちゃもおさつも栗のようで。栗はまさしく栗。
☆雨の日だった。たばこ屋の小窓の前。傘の下Bのくぐもった声。
☆やめるんじゃなかったっけ?
☆月曜日には試される。雷雨の予報。よいお顔で玄関を出る決意。



2010年10月01日(金) 傾聴ボランティア そして渋皮煮…

毎年、この時期になるとAの隣家の栗の木の愚痴を聞くのが恒例になっておる。
花が臭いに始まり葉が落ちるを経、たくさん実が屋根に落ちてうるさい…に至る。
しかし、A家のもみじもまた隣家に対し同じように迷惑をかけているので何も言えないと言う。
栗の実は拾って食べてくださいと隣家の許しがあるらしく、わたしたちは愚痴を聞きながらそのおこぼれに預かるわけね。
その拾った栗というのがいがからはぜて落ちた栗だけに完熟。そして大粒。
おもしろいようにきれいに皮がむける。
わたしは皮むき名人か?と勘違いするほど。
そして渋皮煮。
ゆっくりと栗をゆでている最中。
レシピを検索してみるとブランデーを入れる人が結構いらっしゃる。
ブランデーはないので、お菓子用に準備してあるラムかグランマニエを使ってみようと思う。
むふああ…楽しみだ。
Aの隣家の方、どうもありがとうございます。
花が臭い?葉が落ちる?
そんなのへっちゃらです…
Aんちのことですから…


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茉莉夏 [MAIL]