歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年11月28日(金) 誤字、脱字に呆れる

以前から僕が書く日記は誤字、脱字が多く、何度も読者の方から指摘されたことがあります。自分ではそれなりに誤字、脱字のないように書いているつもりなのですが、一日の仕事の合間、限られた時間で日記を書いています。自分が書いた日記を冷静に点検する余裕がないのが実情です。そのため、とんでもない字を書いたまま日記をアップしてしまうことが頻繁にあります。

かつて、ある日記友人にこのことを話すと、ブログの画面やホームページ作成ソフトに直接字を書くのではなく、一度ワープロソフトに原稿を書いてからコピー・ペーストすれば、誤字、脱字は少なくなることをアドバイスされました。この友人のとおりにしてみると、確かに誤字、脱字は少なくなったように思います。
最近のワープロソフトはおかしな漢字や表現を打ち込むと、画面の文字に赤波線や黒波線が表示されます。これを見れば、自分の誤字、脱字が機械的に確認できます。昔から英文ワープロではこうした誤字、脱字を指摘する機能がありましたが、今では日本語でも標準機能の一つとして付属しています。誤字、脱字が多い僕としては非常に重宝する機能です。

それでも、まだまだ僕の書いた文章には漢字の誤変換による誤字、脱字があります。自分でも呆れてしまうくらいですが、不思議なことに、僕は他人の書いた文章の誤字、脱字を見つけることは得意なのです。
地元歯科医師会での仕事の一つに他の先生が書いた文書を点検することがあるのですが、その際、僕はいつもいくつもの誤字、脱字を指摘します。
「そうさんに見てもらったら完璧だな」
と言われるくらいです。

それなのに自分が書いた文書で誤字、脱字が多いのはなぜ?愚考するに、自分が書いた文章に客観的になれないせいかもしれません。他人の書いた文章を読む際、何の先入観も無く読むことができます。特に、文章の誤字、脱字チェックの場合、一字一字を確認しながら読むことができます。ところが、自分が書いた文章の場合、これができないようなのです。本来なら自分が書いた文章を一度声を出して読んでみればいいのかもしれません。
ある有名な作家の方のテレビドキュメンタリーを見たことがあるのですが、その方は、必ず自分が書いた文章を自分の声を出しながら読んでいました。言葉の誤字、脱字の点検だけでなく、リズム、情感を声を出すことで確認されていたのです。一流の作家のやることは違うなあと感心したものです。
それなら僕もこの作家を見習えばいいはずなのですが、ついつい億劫になってしまいます。だめですね。もっと自分が書いた文章は責任を持って書かないといけないなあと自己反省しきりの歯医者そうさんでした。



2008年11月27日(木) 原石の宝石を発見する喜び

ここ数日、僕は仕事の合間を縫ってあることをしています。それはレポートの採点。僕が講師を務めている某専門学校ですが、週1回の講義は先月終わりました。講義は終了したのですが、いくつかのテーマでレポートを提出する宿題を出していたのです。学生が書いたレポートが僕のもとに郵送されてきたのが先週末。僕は学生一人一人のレポートを読みながら採点をしています。

正直言って、何十人もの学生のレポートを採点するのは大変です。僕はいくつかの採点基準を設け、その基準に則って採点をしているのですが、学生が書いたレポートを隅々まで読みながら採点をしています。拾い読み、飛ばし読みすることなく読んでいるわけですからかなり大変な労力です。普段から採点慣れしている方であれば採点の要領があるのかもしれませんが、採点に慣れていない僕にとって時間がかかる作業です。
しかも、学生のレポートはいろいろです。真面目に書いているレポートもあるかと思えば、真剣に書いているのかわからない、熱意の無いレポートもあります。当然のことながら、真剣に書いていないレポートに対する評価は低いのですが、採点する方もモチベーションが下がってしまいます。

ただ、中には僕が思わずハッとするような発想、視点を持って書かれたレポートもあります。僕は自分が課題を出したレポートに対して、“自分ならどのようなことを書く“というイメージを持っていますし、実際に見本のような形でワープロに書いておくこともしばしばです。
実際のところ、多くの学生のレポートは僕の予想を超えるようなものではありません。しっかりと真面目に書かれているレポートは多いのですが、書き手の考え、発想、視点は僕の想定の範囲内のものがほとんどです。ところが、数は少ないのですが、思わず僕も唸ってしまいたくなるようなことを書いているレポートがあります。書き手のことを思い浮かべると、あんな学生がなあ?と思いたくなるような学生が書いた内容が非常に刺激的で新鮮であることがあるのです。そのようなレポートを読んだ時は、さながら何もなさそうな大地から宝物の原石を見つけたような感じがするのです。僕と学生とは教師と教え子という関係ではあるのですが、時には教え子でありながら僕を上回っているような発想、視点を持っていることがあるという事実。僕はこのことに驚きながらも、宝物の原石を見つけたこの上ない喜びを感じます。この原石を磨いてやれば、非常に光り輝く宝石になる。そんな予感さえ感じるのです。

レポート採点は大変な作業ではありますが、たまにこうした素晴らしい内容が書かれたレポートを読み、大変刺激を受けるものですね。



2008年11月26日(水) 靴磨き屋初体験

先々週末、某所で開催された学会に参加した話は既にここに書きましたが、某所へは近所の空港から飛行機で移動しました。近所の空港から某所近くの空港へは飛行機で1時間の距離。交通費や学会でのスケジュールを考えると、最もコストパフォーマンスが高いのが飛行機での移動でしたので、飛行機を利用しました。
それにしても最近の飛行機利用は便利になったものです。インターネットを利用して飛行機のチケットが購入できます。しかも、バーコードをプリントアウトしたものを持っていけば、そのまま検査場、そして、改札機も通過することができます。飛行機を頻繁に利用している方にとっては何を今更言うのだと突っ込まれるかもしれませんが、僕のように普段飛行機を利用しない者にとっては最近の飛行機チケットには驚きを禁じえませんでした。

そんなバーコードチケットを利用したせいでしょうか、思った以上に早く空港の出発場所に着いた歯医者そうさん。まだ、飛行機の離陸までかなり時間があったので何気なく周囲を見ていると、ある看板に目が行きました。それは靴磨き。この空港には靴磨きをしてくれる一角があったのです。料金は一人400円。しかも、5分以内に靴磨きをしてくれるとのこと。
僕自身、今まで自分以外の人に靴を磨いてもらった経験がありませんでした。飛行機の離陸まで十二分に時間もあることだし、自分の靴はあまりきれいな状態とは言えなかったこと、そして、何よりも一度は自分の靴を専門の人に磨いてもらいたいという好奇心から僕はこの靴磨きコーナーに入りました。
そこには靴磨きの職人さんが二人待機していました。僕は高い椅子に座り、差し出された靴台の上に自らの汚れた靴を置きました。初体験だったせいでしょうか、それとも、小市民まるだしだったかもしれませんが、非常に恥ずかしい気持ちになりました。しかも、職人さんは僕よりも年配の方。靴磨きの職人さんがいくらプロだとはいっても年配の方を見下ろすような形で椅子に座り、磨いてもらうというのは非常に居心地が悪い感じがしたものです。
ところが、靴磨きの職人さんはそのようなことは全く気にせず、ひたすら僕の靴を丁寧に磨いていきます。まず、水分を含んだ布で靴の汚れを大まかに取った後、へらに僕の靴の色に合わせた靴墨を適量取り、僕の靴に丁寧に塗っていきます。その後、ブラシで磨いた後、研磨。みるみるうちに僕の汚れた靴がピカピカになっていきます。日頃、自分でも靴を磨くことがあるのですが、如何に自分の靴磨きがいい加減なものかわかるくらい、丁寧に磨いていきます。しかも、全く動きに無駄がありません。非常に手馴れた手つきで決められた工程を効率よく行い、磨いていきます。見ていて爽快に感じました。職人さんの手つきのよさに思わず見とれてしまった歯医者そうさん。
そのうち、僕の隣の席にもお客さんが入って靴磨きをされていましたが、このお客さんは何度も利用しているせいでしょうか、悠然と新聞を読みながら靴磨きを受けていました。
そうこうしながら、
「はい、これで終わりました。」
という職人さんの声。
僕は直ちに料金を支払い、
「有難うございます」
と言い、靴磨きコーナーを後にしました。後から、
「いってらっしゃい」
という靴磨きの職人さんの明るい声が聴こえてきます。
始めよければ全て良しという言葉がありますが、幸先よい学会参加のように思えてならなかった歯医者そうさん。足元をピカピカにして颯爽と予定の飛行機に乗り込んだのでした。



2008年11月25日(火) ばっし、抜糸、抜歯

最近、漢字の読み間違いが頻繁である麻生総理のことがマスコミを賑わしています。未曾有を“みぞゆう”、踏襲を“ふしゅう”、有無のことを“ゆうむ”などなど。一国の総理大臣の発言ですから、あまりに漢字の読み間違いがあると様々な方面に影響が出ます。読み間違いやすい漢字にはルビをふるなど対策を立てるようにすることが肝要ではないかと進言したくなる今日この頃。

ただ、この手の漢字の読み間違い、誰でも勘違い、思い込みがあるのではないかと思うのです。僕もつい最近まで、播種という単語を“はんしゅ”と言っていました。正しくは“はしゅ”なのですが、播という漢字のつくりだけでつい“はん”と思い込んでしまっていたわけです。決して麻生総理のことをバカには出来ないなあと思うとともに、漢字の難しさ、奥深さを改めて思い知った今日この頃。

実は、歯医者の世界でも漢字を会えて世間一般で使っているのとは異なる読み方をする場合、業界風に言う場合があります。
例えば、抜糸。歯医者の世界では抜糸のことを敢えて“ばついと”と発音することが多いのです。これには理由がありまして、抜糸と抜歯が発音が全く同じであることが背景にあります。歯医者の世界では、“ばっし”と発音すると抜歯を意味します。ところが、抜糸も同じ発音です。歯医者の仕事の中では非常に紛らわしく、時には勘違いしてしまう言葉でもあります。そこで、歯医者の世界では抜歯は“ばっし”抜糸は“ばついと”と発音することが多くなっているのです。歯の治療においては、抜歯の頻度の方が抜糸よりも多いことが影響しているのかもしれません。
ところが、医者の世界ではどうも事情が異なっている場合があるようです。以前、形成外科の友人から聞いた話ですが、形成外科では“ばっし”と言えば抜糸を指し、抜歯のことは敢えて“ばっぱ”と呼ぶのだとか。これも抜糸と抜歯が同じ発音で紛らわしいことが理由のようですが、歯医者の世界とは全く正反対の呼び方だけに非常に興味深く感じた次第です。



2008年11月21日(金) 大麻所持していた歯医者逮捕について

昨日の朝報じられたこのニュース、歯医者として非常に情けなく感じました。

朝日新聞11月20日
乗用車の中に大麻を持っていたとして、大阪府警が大阪歯科大学付属病院(大阪市中央区)の歯科医師、原田茂容疑者(28)=大阪府吹田市南高浜町=を大麻取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕していたことが、府警への取材でわかった。ルームミラーに大麻草の葉の形をした芳香剤をぶら下げていたことを不審に思った吹田署地域課の巡査(26)が職務質問し、ダッシュボードの中から大麻入りポリ袋を見つけたという。
 同署によると原田容疑者は9日午後10時ごろ、吹田市西の庄町の路上で、車中に乾燥大麻約0.13グラムを所持していた疑いが持たれている。
 原田容疑者は同大学出身で、同署によると「在学中の昨年2月、ハワイに卒業旅行に行き、大麻を吸い始めた。帰国してからも外国人から3〜4回買った」と話しているという。
 大阪歯科大によると、原田容疑者は嘱託歯科医で、1週間に3日ほど勤務。同大の担当者は「逮捕は把握している。詳細が分かり次第処分を検討したい」としている。
 大麻草の葉をイメージした芳香剤や灰皿、Tシャツといった商品は量販店やインターネットなどで販売されている。取り扱っている店の店員は「昔からあるデザインで、大麻草の葉とは知らずに使っている人もいる」と話す。


最近、大麻取締法違反で逮捕される大学生が多いことがマスコミを騒がせていました。名前の通った有名大学の学生が何人も逮捕されるくらい大麻を常用する学生が多いようで、大麻汚染が大学生の間で深刻な問題になっているようです。そのような中、若手の歯医者が大麻を所持し、逮捕されたということは、歯医者という医療職にも大麻汚染が広がっていることが露見しました。

言うまでもなく歯医者は人様の歯や口の中を治療する専門職、プロです。歯や口に病気を抱えている人を治療するわけですから、自らの健康管理には非常に気を遣わなければなりません。そうは言っても医者の不養生と昔から言われているとおり、患者さんの治療に熱心に取り組む余り、自らの体を犠牲にして働いている場合が多いのも実情です。
ただ、大麻のような麻薬を使用するとなると話は別です。どんな事情があろうとも麻薬に手を染めることは犯罪行為です。外国では大麻使用は罪にならない国もあるようですが、日本では大麻を所持したり、使用すれば法律違反です。
大麻は麻薬の一種です。使用することで体に悪影響を与えることは間違いありません。ましてや、人様の歯や口の中を治療する歯医者が大麻を使用するということは、許されません。言語道断な行為です。

専門職や特定の会社、組織に勤めている人は、その専門職や業界の看板を背負っている立場でもあります。他人からの評価は、その人の所属する組織や専門職として評価されることが多いのです。

「あの会社はアフターケアが充実している」
「歯医者はきめ細かいなあ」
「○○電車は非常に荒い運転をする」
といったような評判は、評価をする人が組織や専門職の一部の人を見ての評価に過ぎないのですが、実際は一部の人の評価が組織や専門職全体の評価になっているものです。
今回、ある歯医者の犯した大麻の罪ではありますが、これが歯医者全体のイメージを損なうことを僕は憂います。

“歯医者は大麻を吸引している”というイメージ。
“それは違う!”
と言っても、一人の歯医者の犯罪は歯科業界全体、強いては医療業界全体の評価を下げる結果となりうるのです。

今回、世間を騒がせた歯医者の大麻所持について、僕は同じ歯医者として情けなく思うと共に、歯医者の看板を汚す行為として絶対に許せません。いい加減にしろ!と声を大にして言いたいです。



2008年11月20日(木) 社会常識が欠落している医者について

昨日、インターネットでニュースを見ているとこのような記事が出ていました。以下その引用です。

読売新聞11月19日
麻生首相は19日午後、首相官邸で開かれた全国知事会議で、地方の医師確保策に関連し、「病院を経営しているから言うわけではないが、医師の確保は大変だ。もっとも社会的常識が、かなり欠落している人が多い。とにかくものすごく価値観が違う。そういう方をどうするか、という話を真剣にやらないと……」と述べた。
 首相がかつて中核企業の社長を務めた「麻生グループ」は、病院を経営している。
 首相はこの後、記者団に対し、自身の発言について、「まともなお医者さんが不快な思いをしたというのであれば、申し訳ない」と陳謝した。
 首相の発言に対し、日本医師会の中川俊男常任理事は19日の記者会見で、「首相がそんなことを言うとは思えない。事実確認をしたい」と述べた。


社会的常識が一体何かということに関しては議論があるところだと思いますが、歯医者である僕から見て明らかに社会的常識に欠けると思われる医者がいることは事実です。医者だからいいのだが、他の仕事に就くことができないと思われる人が一定数いるのは事実です。
愚考するに、受験競争率の激しい医学部、医科大学に入学し6年間のカリキュラム、ならびに2年間研修医生活を終え、医者として仕事をしていると、自分たちは他の人たちよりも違うという選ばれた意識が出来てくることは不思議なことではありません。
また、患者さんの権利が叫ばれるようになった今でも、患者さんの治療を行うのは医者です。どうしても医者の立場、発言権は強いものがあります。そのため、上からモノを言う、上から目線になりがちです。
専門バカである医者がいるのも事実です。自分の本業である医業に集中するが余り、他のことに関心が無い、他のことに興味を持つ精神的余裕が無い医者がいるものです。そういった人たちの場合、社会的常識について話しても話が通じないことが多いのも事実でしょう。
僕自身、ある医者にかかった際、上から目線で言われたことは何度もあります。非常にしゃくにさわり、その医者に専門知識、専門用語を連発し、上から目線を変えさせたこともあるくらいです。さすがにこの時は、医者というのは社会的常識が欠落しているのか?と思ったものです。

しかしながら、全ての医者に社会的常識が欠落していると一くくりにしてしまうのはどうかと思うのです。多くの医者が社会的常識が欠落しているとは思えないのです。

そもそも、多くのという表現は非常に曖昧な、アバウトな使われ方をする言葉でもあります。よく、子供が周囲の友達が2〜3人だけ人気のあるおもちゃを持っているのを見て
「みんながおもちゃを持っているよ」
と言うことがありますが、実際に調べてみるとみんなが持っているわけではなかったことは、皆さんも経験があるのではないでしょうか?この“みんな”と同様、“多くの”にも同じニュアンスが含まれているものです。
おそらく麻生総理の周囲には何人かの社会的常識に欠落した医者がいたのでしょう。それは事実でしょうが、その何人かを“多く”と認識しているのであれば、大きな過ちだと思わざるをえません。もう少し、詳しく調べて頂いた上で発言して欲しいものです。

医者には社会的常識が欠落した人もいますし、非常に個性的な人もいます。ただ、これは他の職種の世界でも同じことが言えるのではないでしょうか。どの会社、企業でもおかしな人っているものです。セクハラ、パワハラなんて言葉が流行しているのはその証拠です。これをもって会社、企業に勤める人が全て社会的常識に欠落しているとは言えないですよね。医者の場合も同じだと思うのです。



2008年11月19日(水) 韓国製電化製品は信頼性がない?

今日の日記は僕の独断と偏見であることを断わっておきます。

先日、僕はパソコンの作業を終え、持っていたUSBメモリーをパソコンに接続し、データのバックアップを取ろうとしていました。いつもどおりパソコンのUSB端子に持っていたUSBメモリーを接続し、データの入ったファイルをコピーしようとしたのですが、エラー表示が出てきました。
何度やっても同じでした。その後、時間をおいて、パソコンを再度立ち上げて行おうとしたのですが、全く同じ。他の種類のファイルバックアップしようとしたのですが、全く同じ表示が出てきます。

このUSBメモリーは今年になってから手に入れたもので韓国製。知人が韓国旅行の際、土産物として僕にプレゼントしてくれたUSBメモリーで、解説はハングルで書いてある代物でした。ハングルは全くわからない歯医者そうさんですが、明らかにUSBメモリーでしたので有難く使用していたのですが、突然の不調に戸惑うばかり。

結局のところ、このUSBメモリーを使用することは諦めました。

最近、我が家では電化製品の不調が目に付くようになってきたのですが、振り返ってみれば、不調になる確率が非常に高い電化製品は韓国製がほとんどです。僕の個人の持ち物ではハードディスクが韓国製でこれも使用して1年以内にクラッシュしてしまいました。近所の某スーパーで購入したビデオデッキやDVDデッキも韓国のメーカー製でしたが、これも途中で故障。修理に出して直るものの再びトラブルが起こり、結局のところ現在では埃がかぶった状態になっています。
安かろう悪かろうなのでしょうか、それとも、たまたまなのかわかりませんが、我が家で購入した韓国製の電化製品が長期間機能を果たしたことがないのです。

このことを知人に話したところ、知人が所有する韓国製の電化製品も同様なトラブルが多いとのこと。この知人、仕事で韓国へ出かけることが度々あるのだそうですが、どうも韓国人は気質的にアバウトなところがあるようで、現場で作業の粗さを指摘したところ、気にしないところが何度もあったのだそうです。
国民性の違いといえばそこまでかもしれませんが、それにしても最近の韓国製品は世界中で売られ、よく売れています。韓国製の製品のロゴマークもよく目にしますし、大きな大会のスポンサーの常連になっている企業もあります。おそらく、世界中の消費者が韓国製の製品の価値を認めているからこそ、よく売れる、知名度が高くなってきているのでしょう。

ただ、実際のモノとしての完成度、信頼度はどうなのでしょう。僕の独断と偏見ですが、僕の周囲ではどうも韓国製の製品には信頼性に欠けているような気がしてならないのです。同じ品物を持つなら長期間にわたり使いたい気持ちが強い僕としては、安かろう悪かろうでは困るのです。一見すると良いように見える製品でも直ぐに壊れる代物では困る。僕の周囲の韓国製の製品にはどうもそういった傾向が強いような気がしてなりません。

最近は様々な電化製品で海外製、特にアジアの国々による製品が多数出回っていますが、どうも僕の周囲では韓国製品との相性は良くないのは確かです。



2008年11月18日(火) 医療機関のゴミ処理


毎日、どこの家庭でも決まって出てくるのがゴミです。日常生活を過ごしているとどうしてもゴミが出てくるのは当たり前のことです。これらゴミですが、日本においては一部電化製品を除いてほぼ市町村がゴミ処理を行っています。皆さんもよくご存知のことと思いますが、皆さんが住んでいる家の近くには必ずゴミ収集場所があります。ゴミはその種類によって収集日が異なっています。分別収集ですね。これらゴミ収集場所には定期的に市町村の清掃車が回収に来て、ゴミ処理場へ持っていくのが普通です。

さて、歯科医院を含めた医療機関で出されたゴミはどう処理されるのでしょう?実は、医療機関でのゴミは、原則として一般家庭から出されたゴミと一緒に処理をすることができません。すなわち、市町村のゴミ収集車で回収することができないゴミなのです。

医療機関では、一般家庭とは異なり様々な種類のゴミが出ます。患者さんに使用したガーゼや脱脂綿、使い捨てグローブ、敷布、注射針、薬物ビン、薬品袋、石膏類、レントゲン現像液、定着液などなど。中でも問題なのは患者さんの血液などが付着したゴミです。これらは感染性廃棄物として医療機関が責任をもって処理をすることが法律で義務付けられています。廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)という法律です。ただし、医療機関が独自でゴミ処理を行うことは現実的に困難です。そこで、医療機関では廃棄物を専門の処理をする業者に委託し、ゴミ処理を行っているのが現状です。
うちの歯科医院でも某業者に委託し、定期的に歯科医院から出されるゴミを回収してもらっています。

医療機関から出されるゴミのうち、患者さんに触れることがなく、感染の恐れが無い、安全な紙類のゴミなどはどうでしょう。これも一般家庭から出されるゴミと一緒に廃棄してはいけないことになっています。基本的に医療機関を含めた事業所から出されたゴミは、どんな種類のゴミでも一般家庭のゴミと混ぜて出してはいけないことになっているのです。先日、ある知人の歯医者が薬を使用した後の包装紙を一般ゴミと一緒に捨てていいか、某市の清掃局に確認したところ、こっぴどく怒られたとのこと。廃棄物処理法違反行為だと警告を受けたという話です。

ゴミの回収費用ですが、一般家庭から出されるゴミは市町村の税金で行われていますが、医療機関でのゴミは医療機関が経費を支払うことになっています。ゴミの回収には追跡する意味で紙のマニフェスト書類でどこに回収され、処分されたか記述するような仕組みになっています。各医療機関ではこれらマニフェスト書類を一定期間保管しなければならない義務があります。

ゴミの中にはリサイクルにまわるものもあります。例えば、歯科医院の場合、被せ歯や差し歯などは回収されるとリサイクルに回されます。被せ歯や差し歯などには金、銀、銅、パラジウム、白金などが含まれているからです。ゴミの回収業者の中にはこれら回収した金属をリサイクルにまわし、利ざやを稼いでいる業者もいますね。



2008年11月17日(月) 知らなかった恩師の危機

前回の日記にも書いたとおり、今週末、僕は某所へ某学会に参加してきました。この学会、歯科関係の学会としては最も大きな学会だと思います。この学会に親父がポスターセッションで発表するということで、僕は学会の資料作りを手伝っておりました。その関係かどうかわかりませんが、名前を載せてもらったため、土曜日を休診して学会に参加してきたわけです。
学会には日本全国から大学歯学部、歯科大学の関係者、病院歯科口腔外科医、一般開業医から歯科衛生士、歯科技工士、歯科業者に至るまで歯科関係者のオンパレードといってもいいくらい歯科関係者が一度に集まりました。四年に一回の開催であることも関係していたでしょうが、学会というよりは一種のお祭り的な雰囲気もありました。

それはともかく、今回の学会では至るところで知人、友人、先輩、恩師の歯科医、歯科衛生士に出会いました。

「おお、久しぶり。元気にしていた?」
「何年ぶりだろう?ちっとも変わっていないね。」
「先生にこんなところで会うとは思いもしませんでした。懐かしくうれしいです。」

学会の参加中、しょっちゅうこのようなことを言っていたような気がしてなりません。
ただし、ある先生に出会った際、ショッキングなことを聞かされました。

「M先生、一時期体調を崩されて危なかったんだよ。」

僕は全く初耳でした。M先生には大学院時代、僕が苦しかった時期に親身になって指導してくれた大恩のある恩師です。朝早くから大学に来て勉強をし、実験をする一方、人柄好かれていたせいでしょうか、M先生の下にはしょっちゅういろいろな先生が出入りしていました。教室の関係者はもちろん、他の教室の先生、他の学部の専門家、業者に至るまで。時には呑み屋のお姉さんからも電話が入るくらいでした・・・。M先生が普段座っていた机の周囲はいろいろな人の一種の憩いの場になっているかのような盛況ぶりでした。よくもこんな中で自分の仕事ができるなあと思いながらも、しっかりと自分の仕事は着実にこなしておられました。おそらく人の見ていない場所で相当勉強をされていたに違いありませんが、僕にはそのようなところはちっとも見せることなく、いつも明るく、元気で、活発に活動されていたのです。
そんなM先生が体調を崩し、一時は命の危険さえ危ぶまれることになっていたとは信じられませんでした。

「M先生、相当無理をしていたんだよ。元気そうに見えるからいろいろな場所から頼みごとが集中してね。それをこなしている間はよかったんだけど、相当無理をしていたんだね。疲労が蓄積して体調を崩されたんだよ。一時は本当に心配したけど、みんなに好かれているだけあって、元気に快復されたんだよ。今は、某大学の○○部長にまでなられているんだけど、無理をしないでいつまでも活躍して欲しいよね。」

僕も全くの同感です。今でもM先生の方に足を向けて眠ることができないくらい恩を感じている僕としては、いつまでもM先生が第一線で活躍してくれることを望むだけです。



2008年11月14日(金) 学会参加

今週末、僕は某所で開催される学会に参加します。某所は僕が住んでいる場所からかなり遠方にあり、自宅から通える場所ではありません。そのため、僕は土曜日の診療は休診にして学会に参加することになっています。

学会というのは、特定の専門家同士が定期的に集まり、お互いの研究結果を発表したり、意見や情報交換、旧交を温める機会です。日本の歯科の世界では、気候の良い春先と秋に行われることが多いのが特徴です。
歯科の世界でも数多くの学会が存在するのですが、今回僕が参加する学会は、おそらく歯科の世界では一、二位を争うくらい大変大きな学会です。これくらい大きな学会になると純粋な学問的な目的よりも学会の合間、学会終了後の呑み会を目的としている歯医者が多いのではないかとも思うのですが、かくいう僕もそんな輩の一人です。一応、今回の学会では僕はあるテーマで発表することにはなっているのですが、あくまでも発表準備を手伝ったということでおまけで名前だけを載せてもらっています。自分が主体となって発表するわけではないので、気楽に学会参加できるのは有難いところ。しかも、学会の合間には某所の近くで開業している大学時代に親しかった友人と久しぶりに会うことになっています。どちらかといえば、学会参加よりもこの友人と会うことを楽しみにしているくらいです。

今回の学会は今日から明後日まで開催され、僕は明日と明後日参加予定です。明日の診療を休診にするのは心苦しいところはあるのですが、より良い歯科治療のための情報収集のため、そして、自らの気分転換のために出かけてきます。



2008年11月13日(木) 犬も歯が命


「先生、うちで飼っている犬の顎が突然大きく腫れあがってきたのですよ。」
こんなことを言い出したのは患者さんのYさん。Yさんは長年うちの歯科医院にかかられている患者さんの一人。先日、入れ歯の調整をしていたのですが、入れ歯の調整中、僕に話しかけてきたのです。

「突然、何の前触れもなく顎が大きくなってきたのですよ。私自身、長年犬を飼っていたのですけど、愛犬の顎が突然大きくなってきた経験が無かったものですからびっくりしましてね。獣医さんの所へ連れて行ったのです。そこで、私は思わぬことを指摘されてびっくりしました。」
僕はYさんに言いました。

「もしかしたら、その獣医さんはYさんの愛犬にむし歯があったことを指摘されたんじゃないですか?」
「先生、さすがですね。そうだったのですよ。獣医さんは愛犬の顔を見て開口一番『このワンちゃんにはむし歯があるんじゃないですか?』って言われましたよ。実際に診てもらったらむし歯がありました。それも奥歯にかなり進行したむし歯がありましてね。そのむし歯の周囲から腫れが広がっていたようなのです。」

僕は獣医ではありませんので動物の歯のことは詳しくありません。ただし、知人の獣医や動物関係の本を読んだ知識での話ですが、犬にもむし歯や歯周病が多いとのこと。特に、最近の栄養価の高いペットフードを食べる犬の場合、むし歯や歯周病になる確率が高いそうなのです。そのため、食後の歯磨きが欠かせなくなってきているそうなのです。犬用の歯ブラシが販売されているくらいで、犬が小さい頃からのしつけの一環として犬にも歯ブラシによる歯磨きをすることが飼い主には求められているとも言えるのだとか。
ちなみに、田舎の野犬にはむし歯や歯周病は見られないのだとか。こういったところからも、犬のむし歯、歯周病というのは人間と同じで一種の生活習慣病と言えるかもしれません。

「むし歯や歯石除去などは全身麻酔をかけて治療をしたのじゃないですか?」
「そのとおりです。人間であれば話せばわかるのですけど、相手は犬ですからね。歯の治療を施そうとすると全身麻酔をかけないと何もできません。そのため、私の犬の場合も全身麻酔をしましたよ。それで、むし歯の歯を抜歯してもらいました。抜歯したのを診て、改めてむし歯の大きさにびっくりしました。こんな大きなむし歯になるまで放っておいたのは飼い主の責任だと痛感しましたね。犬には悪いことをしたと反省しています。幸い、手術をしてからは顎の腫れもきれいに元通りになりましたよ。そして、腫れと同時になくなっていた食欲ももとに戻ってきました。犬も歯が命なんですね。そのことを実感しましたよ。」



2008年11月12日(水) お祓いの契約更新時期?

以前にも書いたことですが、僕が所属する地元歯科医師会の会館は、以前は地元の消防署でした。建物が老朽化したため移転し、空き地になっていたところに現在の地元歯科医師会の会館が建築された経緯があります。今から20年前くらいのことです。

新しく建築された会館当時、会館では奇妙な現象を目撃する先生が相次ぎました。具体的には、会館の中には自分一人しかいないはずなのに、何やら物音がする、ドアが勝手に開くようなことが頻発した、何やら人影が見えた等々。当初この話は噂話に過ぎませんでした。
ところが、これら不思議な現象が起きて以来、何人もの地元歯科医師会の先生が体調を崩したり、身内の不幸が多発したとのこと。また、幹部役員同士の軋轢が次々と起こったのです。これは偶然のことなのか、それとも・・・。

消防関係者の話では、昔から火事現場に消防士が来て消火している時、焼け死んだ人が自分はもう死んでいるのにそう思わず、霊魂だけが消防士におぶさって消防署に帰ってくることがあるとのこと。消防署や警察署には神棚が祀ってあり、毎年慰霊祭も行われているそうですが、それもこういった理由があるからなのだそうです。

事の真意はわかりませんが、どうも地元歯科医師会の様々なトラブル、不幸な出来事が新しい会館が建ち、機能をし始めてから起こり始めたのは間違いない。そこで、当時の地元歯科医師会の会長は、自らのポケットマネーで近所の神主を呼び、お祓いをされたそうなのです。当時、お祓いを受けた地元歯科医師会の先生は非常に神妙に受けていたと伝え聞いています。
実際に、それ以降、一連のトラブル、不幸な出来事は起こらなくなったそうなのですが、非常にショッキングなことがその後起こりました。それは、お祓いをしてくれた神主が急死したそうなのです。後日、伝え聞いた話では、霊魂や悪霊は神主ではなく、祈祷師や霊媒師でないと駄目だとの事。どうもお祓いをした神主が災いを一人でしょってしまったのではないかとのこと。

そんな地元歯科医師会の会館の幽霊話ですが、最近になって、再び何人かの先生が幽霊のような物音や現象を経験したという声がいくつも出てきました。かくいう僕もその一人で、深夜地元歯科医師会へ用事があり、仕事をしていたところ、誰もいないはずのトイレのドアが“ギィー”と開く音が聴こえ、震えた経験があります。

そのことを地元歯科医師会の上司に相談したところ、

「お祓いを受けてから20年以上だな。そろそろお祓いの更新時期に来ているかもしれんな・・・。」

ちなみに、地元歯科医師会の会館の隣は葬儀会館があります。これの影響もあるかもしれませんが・・・。



2008年11月11日(火) またもや日記書きスランプ到来

日記を書き始めて6年3ヶ月になりますが、日記を書く際、何に悩むかといえば、ほとんどの日記書きやブロガーと呼ばれている人ならばわかると思いますが、何を書くか、すなわち、ネタです。僕は歯医者ですし、歯医者さんの一服を書き始める時、心がけたことは歯や口の健康、歯医者の日常などをわかりやすく伝えることでした。ただ、長期間日記を書き続けていると、ネタがかぶることはしばしばですし、書いている僕自身、新鮮味が無くなってくることもあります。そのため、毎日何を書くか決めるかまで最も時間がかかることだと言っていいでしょう。

ただ、人間にはリズムがあります。調子の良い時もあれば悪い時もあるもの。これらを繰り返しながら時間が経過していくわけですが、僕の駄文日記も同じことが言えます。日記ネタがどんどんと頭の中にネタが浮かぶ時もあれば、全く思い浮かばない、発想が枯渇してしまうような時期があるのです。実は、今がちょうどその時期に当たっています。そのため、日記を書くのがつらい時期が続いています。

以前、日記書きの友人とこの手の話題で盛り上がったことがありますが、ある友人などは日記ネタが思い浮かばない時は無理して書かないと言いました。ある友人は日課の一つとして休まず日記を書くことをモットーとしていると言っていました。

長年日記を書いていると言えることですが、長期間日記を書くのを休むと、何と表現したいいのかわかりませんが、書いた日記そのものがなまってしまうようなことがあります。先日、久しぶりに更新されたあるブログを読んだのですが、内容はよかったものの、何となく読みにくい、書くのに苦労しているだろうなあと感じられるような感が拭えませんでした。おそらく日記を書き続ければ問題なくなるだろうとは思ったのですが、久しぶりに書いた文章には何となくリズムに欠けているようなことがあるものだと感じました。

僕の場合、かつて毎日日記を書いていた時期がありましたが、現在、週末は日記を書くことを休んでいます。どうしてこのようなスタイルになったか、自分でもよくわからないくらいですが、少しでも長く日記を書き続けたいために模索した結果だと感じています。

最近、同じ日記を続けるなら10年を目標にしたいと思うようになりました。その訳は、一つは僕が日記を書くきっかけとなったサイトが先日10周年を迎えるのを見たからです。十年ひと昔といいますが、ひと昔から日記を書き、積み上げてきた重みがそのサイトに見え隠れしていました。毎日こつこつと書き続けることは如何に大変なことか、僕にはわかるだけにこの快挙には心から祝福したい気持ちに一杯になった同時に、僕も達成したいと思う気持ちが強くなりました。

それから、誰かが語っていたのですが、何事も10年すればモノになるとのこと。どんなことでも10年続けていけば自分の血となり肉となる。そこまで地道に続けていくことが大切だというようなことを言っていたように思います。
これは僕も大いに共感します。今年、僕は今の歯科医院で診療をし始めて10年が過ぎました。あっという間の10年ではありました。何が変わったかと問われれば答えに窮します。自分の知識、技術、経験はどうだろう?10年前と同じではないけれども、未だにいろいろなことで悩む日々です。自分が向上したなんて口が裂けても言えませんが、ただ、10年間、同じ場所で同じ仕事を続けていると、周囲が僕を見る目が変わってきているように感じます。僕を見る視点がどう変わったのかはわかりませんが、少なくとも僕を受け入れてもらっている視点が少なからず出てきたように思います。有難いことです。もしかしたらこれがモノになっていく一つの過程ではないだろうか?自分の仕事で感じたことです。
そんな歯医者としての経験を踏まえると、日記も10年は書かないといけないなあと思うようになってきた今日この頃。

とは言いながらも、今日の日記はこれで終わりますが、明日になれば一体何を書けばいいのだろうか?ネタは思い浮かぶのであろうかと不安な日々を過ごしている、歯医者そうさんです。



2008年11月10日(月) ある患者の死

先週末、診療をしていた時のことでした。うちの歯科医院に突然ある方が来院されました。
「先生にお礼を言いたい」
ということで来院されたのは、僕が見ていた患者さんYさんの家族の方でした。Yさんご本人ではなく家族の方が来られたのは一体どうしたことか?診療の合間にお会いすると
「先生、昨日、Yが亡くなりました。」

実は、Yさんは某病院で入院していた患者さんでした。血液に関係する癌を患っており長期療養していたのですが、抗癌剤を使用中、口の中に口内炎が多発していたのです。紹介を受けた僕は坊病院では往診し、口内炎に対する処置をしたのです。それ以来、僕は往診でYさんの口の中を時折診ていました。むし歯の治療や入れ歯の調整など、往診先での治療は普段の歯科医院での治療とは異なり、勝手が違い大変でしたが、何とかYさんが受け入れてもらえる程度に口の中は管理できていたようです。
ただ、主治医の先生からはYさんが癌の末期で余命いくばくもないことは聞いていました。
「残念ながら、Yさんの命はあと1〜2ヶ月というところだと考えています。」

QOLという言葉があります。Quality of Lifeという言葉の略ですが、何らかの病気や障害で療養している人が少しでも快適に過ごすことができるような環境を整えることを指す意味で使われることばです。Yさんの場合も残された人生を、少しでもQOLが達成できるよう、口の中の状態を整える。僕はその目的のために往診をしていたように思います。

実際にはYさんは主治医の余命宣言より半年近く長く生きながらえることができたようですが、残念ながら先週末に鬼籍に入られたとのこと。Yさんのご家族の方曰く
「最期は苦しむことなく、笑顔で静かに逝きました。」

人には誰しも死が訪れるものですが、いろいろな死に方があるものです。中には不本意な死や苦しむように亡くなる方も少なくありません。Yさんの場合、自宅ではありませんでしたが、静かに人生を終えることができたということは、ある意味幸せな息の引き取り方ではなかったのではないでしょうか?このようなことをYさんの家族の方に話しながら、Yさんの冥福を祈った、歯医者そうさんでした。合掌



2008年11月07日(金) 医療も首都東京主義?

昨今、妊産婦の出産に関し、妊婦に異常が生じても対応できる医療機関に受け入れてもらえず、妊婦が亡くなるといったことが報道されています。以前からこの手の問題は全国各地で起こっていたはずなのですが、今回いろいろとマスコミで騒がれ、厚生労働省が重い腰を上げた背景の一つには、日本の人口の10分の1が集中し、日本国の首都である東京で問題が生じているということが大きな要因にあるのは間違いありません。

先日、僕は循環器内科医である愚弟と話をしていました。愚弟に今回の一連の妊産婦の死亡事件について話をしたところ、愚弟曰く
「世間では妊産婦の救急受入病院が不足しているとか、専門医師が足りないなんて騒いでいるけど、もっと深刻なのは僕ら循環器の世界だよ。特に、病院の循環器科と循環器内科医が全く足りない。近隣の病院を見てよ。○○病院も△△病院も循環器内科が廃止になったでしょ。来月には××病院の循環器内科も廃止になるよ。そうしたしわ寄せがどこにくるかというと、残されたわずかな循環器内科のある病院なんだよ。僕が勤めている病院もそうなんだよ。最近、この××病院の担当者から連絡があってね、自分たちの患者を受け入れてもらえないか?という相談だった。僕は断わったよ。なぜなら、うちの病院でも患者が多すぎてこれ以上受け入れることができないからなんだ。」

「世間では、産婦人科のことばかりが注目を浴びているけど、循環器科はそれ以上に大変だよ。循環器科というよりも病院の医療そのものが成り立たなくなっている。それが報じられていないのは、やはり東京でこの手の問題がクローズアップされていないからなんだろうなあ。」

日本の首都東京に様々な情報が集中しているのは仕方がないことだとは思いますが、既に関西では、病院が対応する循環器医療が成り立たなくなっているという事実。おそらく、多くの人はこの事実に気がついていないでしょう。関西は日本でも二番目の経済圏であるとは思うのですが、そんな場所でも病院における循環器医療が崩壊しつつあるという事実。

おそらく、病院の救命救急に関係する専門分野の医療は非常に多くの問題を抱え、成り立たなくなっているのは確実でしょう。今回、マスコミでは産婦人科の問題がクローズアップされているようですが、これは氷山の一角に過ぎないのです。それが、問題にされていないのは、東京で問題が表面化していないせいではないか?と思わざるをえないところがあります。
東京の影響力を改めて実感するとともに、東京が動かないと国が動かないという旧態依然とした状況を憂う、歯医者そうさんでした。



2008年11月06日(木) 定額給付金所得制限に異論

今日のようなタイトルを書くといろいろと批判を浴びるかもしれませんが、敢えて僕の思うところを書いていきたいと思います。
まずは、このニュースを引用します。

与謝野経済財政相は、1日に出演した民放番組で、追加景気対策の柱である総額2兆円の「生活支援定額給付金」について、一定の所得以下の世帯に支給対象を絞る考えを示した。
 具体的な線引きについては明言しなかったが、「いろいろな説がある。800万円とか、1000万円とか、1200万円とか」と述べ、おおむね1000万円前後を想定していると示唆した。
 麻生首相が10月30日に対策を発表した際には、「全世帯について実施する。4人家族で約6万円になるはず」と述べ、所得制限を設けず全世帯を対象に支給する内容だった。与謝野経財相の発言は「ばらまき」批判を受けたものと見られるが、今後論議を呼びそうだ。
 与謝野経財相は番組の中で、「年収3000万円とか4000万円とかもある人に支援が必要かという問題がある。高い所得層の人にお金を渡すというのは、普通の常識から言って変だ」と述べた。


昨今の株価急落に伴う経済的危機状況から政府は直ちにいくつかの経済対策を立てました。このような迅速な政府の対応については僕は評価したいと思いますが、その経済対策の中で目玉ともいえるもの一つが生活支援定額給付金でした。上のニュースでも書いてあるように、当初は全世帯対象に実施する予定であったのが、閣僚から異論が出て、年収制限を設ける方向で調整が進んでいるということなのだとか。

僕はこのことを知った時、これは如何なものかと感じました。確かに年収が多い人には生活に余裕がある人が多いかもしれません。そのような人に対し、生活支援定額給付金を出すことに対して変だと思う人が多いことでしょう。生活支援定額給付金は、本当に生活に窮している人に対して支援、支給してこそ意味があるのではないかという主張はわからなくはないのです。

しかしながら、僕が感じたのはこれら生活支援定額給付金の財源が一体どこから来ているかということです。元を辿ればこれは全て税金です。すなわち、納税者が納めた税金を生活支援定額給付金として再分配するわけです。このことを考えると、年収の多い少ないで生活支援給付金の分配を区切るということは、非常に問題があるのではないかと思うのです。税負担はしているのに、国が行う経済対策に仕切りをされるというのは如何なものかと思うのです。同じ経済対策を行うなら、全ての世帯を対象に行わなければ公平と言えないのではないかと感じたわけです。

このようなことを書くと、年収が少ない人からすれば、年収の多い人に対して不公平感が出ることでしょう。しかしながら、実際の税負担を考えれば、税金をきちんと支払っているということが大前提ですが、税金を財源とする経済対策を受けることに対し、年収の多い少ないで決めることは、納税者に対して不公平感が生じるのではないかと感じた次第です。



2008年11月05日(水) キシリトール長者

先日、キシリトールについて調べることがあり、いろいろと調べていました。その際、感じたことのですが、一体どれくらいのキシリトール入り製品が出ているのか気になりました。昨今、キシリトールを含んだガムやキャンディーがコンビニやスーパーの店頭で並ぶことが多くなっていますが、どれくらいのキシリトール入り製品が店頭に並んでいるのでしょう?近所のスーパーで並んでいたキシリトール入り製品を買ってみました。



これはスーパーに並んでいたキシリトール入り製品の一部です。実際に近所のスーパーで並んでいたキシリトール入り製品の種類は更に多かったですが、これで2200円分のキシリトール入り製品です。購入したキシリトール入り製品はレジに持って行き、精算してもらい支払ったのですが、レジのおばさんが奇異な目で僕を見ていたのを僕は見逃しませんでした・・・。

それはともかく、よく耳にするキシリトールですが、キシリトールとは一体どのようなものかご存知でしょうか?
キシリトールとは甘味料の一種です。元来、白樺やプラムなどに含まれているものです。第二次大戦中、北欧の国フィンランドでは砂糖不足が生じ、キシリトールが代替甘味料として使用されました。その後、キシリトールは点滴に用いる輸液や糖尿病食に用いる甘味料として使われていました。このキシリトールがむし歯予防に効果的ではないかということで研究がはじめられたのは、先に書いたフィンランドという国が最初でした。
第二次世界大戦で代替甘味料としてキシリトールを用いた歴史があったフィンランド。第二次世界大戦後は、国民の多くがむし歯で苦しんでいた時期がありました。何とかむし歯を減らし、むし歯を予防するようにしなければならない。
むし歯の原因は蔗糖やグルコースと言われている砂糖が原因であることは知られていました。そこで、この砂糖の代わりにむし歯予防の効果がある甘味料がないかということで白羽の矢が立ったのが、第二次世界大戦中で使用されていたキシリトールだったのです。

ところで、むし歯を作る原因菌であるむし歯菌(ミュータンス菌)は砂糖(蔗糖)が好物です。ミュータンス菌は口の中に入ってきた蔗糖を食べた後、乳酸という酸を出すのですが、この乳酸が歯に穴を開け、むし歯となります。  
一方、キシリトールはミュータンス菌が好まない甘味料である特徴があります。そこで、甘味料として蔗糖の代わりにキシリトールが口の中に入ると、ミュータンス菌はキシリトールを食べることができず生きていくことができません。結果的に、ミュータンス菌の数は減り、むし歯になりにくい環境になるというわけです。
また、キシリトール入り食品を噛み続けると、口の中にはたくさんの唾液が出てきます。唾液が口の中にあればあるほど、ミュータンス菌は歯にくっつきにくくなります。むし歯菌が出した乳酸も中和され、むし歯になりにくい環境になります。キシリトールがむし歯予防につながるのは、このような理由があるからなのです。

現在では、世界各国でむし歯予防用の甘味料として用いられるようになったキシリトール。日本でも1997(平成9)年に厚生労働省が安全な食品添加物として認可して以来、キシリトールを含んだ食品が数多く世に出るようになりました。
それでは、キシリトール入り食品を食べれば歯磨きをしなくてもいいか?という疑問もわいてくるかもしれません。口の中を清潔に保つためにはあくまでも歯磨きが最も大切です。歯に付着した汚れを歯磨きで取り除き、キシリトール入り食品を食べることでむし歯になりにくい環境を作る。キシリトール入り食品は、あくまでもむし歯予防の重要な脇役として考えて欲しいです。また、人によってはキシリトール入り食品をたくさん摂取するとお腹が緩くなる場合もありますので注意が必要です。

そんなわけでたくさん購入したキシリトール入り製品ですが、これを見た下のチビが目を輝かせながら言いました。

「すごい量のお菓子だね。何だかお金持ちになったみたいだよ。毎日キシリトールの入ったお菓子が食べられるなんて!」

そんなつもりでキシリトール入り食品を買ったわけではないのですけども・・・。
下のチビにとっては、多くのキシリトール入り食品を目の前にして、キシリトール長者になった気分だったかもしれません。



2008年11月04日(火) 独身のお嬢さん?

最近、うちの歯科医院では新しいスタッフが受付を手伝うようになりました。そのスタッフとは嫁さんです。
嫁さんは僕と結婚するまで某中学校の教師だったのですが、結婚を機会に退職し、以降は主婦となりました。結婚してから今まで、我々夫婦は二人のチビを授かったのですが、二人のチビたちが小学校へ行くようになり、少しは時間的な余裕が生まれてきた嫁さん。
多少なりとも持てるようになった時間の余裕はどうするか?いろいろと嫁さんも考えていたようですが、嫁さんとも話をした結果、少しずつうちの歯科医院を手伝うことになったのです。僕自身、嫁さんがうちの歯科医院を手伝うことに関しては、気分的には若干恥ずかしいところはありましたが、嫁さんさえ嫌でなければ手伝って欲しいと考えていました。何せ弱小零細歯科医院であるうちの歯科医院です。人件費をケチるというわけではないのですが、身内で歯科医院を手伝うことができれば、経営的には助かるところがあります。
ということで、少しずつ歯科医院の仕事をするようになった嫁さんですが、新しいスタッフにはそれなりの試練もあります。

僕自身そうでした。新任歯科医師としていくつかの医療機関で働いてきましたが、どの医療機関でも働き始めた頃はいろいろとあったものです。患者さんはもちろんのこと、スタッフである受付さんや歯科助手、歯科衛生士、看護師から時には奇異な目で見られたり、疑問をなげかけられたりしたことは何度と無くありました。
患者さんからは、僕が担当であることを知らされると、不安な声を出す方がいたり、中にはあからさまに僕の診療を拒絶するような方もいたものです。僕自身、何度と無く悔しい思いをしたものですが、これはどんな新人医師、新人歯科医師も一度は経験することでしょう。
この話は何も医療界だけではないでしょう。どんな業界でも新人に対しては風当たりが強い時があるものです。そこを我慢し、自分なりに知識と経験を積むことで自然と周囲から信頼を得ることができるもの。そのためには一定の時間は歯を食いしばって頑張らないといけないこともあるものなのです。

閑話休題、嫁さんの場合もいきなり上記のようなことがあったようです。
先日、受付である患者さんに問診表を書いてもらうようにお願いしたところ、

「以前に来た時に同じものを書きましたけど、もう一度書くのですか?」
とかなり強い口調で言われたのだとか。その調子が、今風に書けば上から目線で言われるような有様だったとか。嫁さん曰く
「何て高圧的な態度を示す患者なんだろう!」

その患者さんは僕の患者さんでした。僕が診療を続けて何度か来院されたのですが、誰から伝え聞いたのか、受付担当が僕の嫁さんであることに気がついたようです。ある診療が終わってから、その患者さんは僕に言ってきました。

「受付の方は先生の奥様だったのですか?私はてっきり独身のお嬢さんだと思っていましたよ!」

独身のお嬢さん?僕はそれは冗談でしょ?と言いたかったものの、受付に嫁さんがいたことを意識し、敢えて言わずに笑ったままにしていました。

診療終了後、嫁さんが僕に言いました。

「結婚して12年経っているけど、独身のお嬢さんなんて言われるなんて思いもしなかったわ。」
このようなことを言っている嫁さんの表情はまんざらでもない様子。
そこで僕は言いました。
「もしかして“どくしん”というのは“独身”じゃなくて“毒針”の間違いじゃない・・・・。」

嫁さんの薄笑いの表情が心なしか怖いように見えた、歯医者そうさんでした。


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