歯医者さんの一服
歯医者さんの一服日記

2008年06月30日(月) タクシーチケットの何が悪い?

今日の日記を読むと、”お前の考えは甘い!”という批判を受けるかもしれません。そうした批判は甘んじて受けたいと思います。

今から10年以上前、僕は某病院の歯科研修医として某市に勤務しておりました。当時、某病院では他の医科の研修医もたくさんおり、これら研修医には寮が用意されていたのですが、歯科研修医は寮がありませんでした。どうして寮に入れないのか?病院の事務局に尋ねたところ、

「君は研修医ではなく歯科研修医だから寮に入る資格がない」
とのことでした。
某病院の歯科とはいっても、歯科口腔外科を中心とした治療を行っておりました。口腔癌や嚢胞、感染症、骨折などの患者さんなどは入院が必要であり、僕が所属していた歯科では病棟に常に10床以上が確保されていました。わずか10床ではありますが、気を抜けることはほとんどなく、これら患者さんの手術や術後の管理などいろいろと仕事がありました。診療の合間にはいくつもの輪読会、抄読会、症例報告の場があり、歯科研修医は研修とは言っても朝早くから深夜にいたるまでずっと病院で過ごさなければなりませんでした。病院の近くにある寮があれば非常に有難かったのですが、当時の歯科研修医は病院の研修医専用寮に入る資格がなかったのです。

病院からの回答は非常に悔しく、むなしい思いをしたものですが、僕は自宅から通いました。本来なら、病院の近くに下宿すべきだったのでしょうが、当時の歯科研修医は非常な薄給で下宿するような場所を借りる家賃も捻出することができません。僕は自立したかったのですが、やむをえず家から通う方法を取っていたのです。

家から某病院までは1時間半ほどかかりましたが、深夜になるとバスや電車の本数は極端に減ります。まともに電車、バスを利用すれば帰宅するのに3時間以上、場合によっては帰宅できなかったのです。僕は何度も病院に泊まったこともありましが、いくら若かったとはいえ病院に1カ月何日間も泊まると体力がもちませんでした。
いくら遠くても自宅の自室の布団ほど熟睡できる場所はありません。どんな仕事でも言えることですが、患者さんの体を治療する医療では体力がなければ仕事になりません。特に、僕は睡眠がある程度取れなければやっていけない方だったので、どうしても自宅の自室で寝ることにこだわっていました。

夜遅くまで仕事をせざるをえない状況。その頃にはバスや電車が無い。こうした時に非常に助かったのがタクシーチケットでした。当時の某病院では夜の10時を過ぎればタクシーチケットが交付されていたのです。僕もそのことは知っていましたが、最初は遠慮していました。たかが歯科研修医の分際で公金を利用してタクシーを利用することがはばかれていたのですが、毎日朝早くから夜遅くまで、休みも満足に取れない状況で、帰宅ということになると、どうしてもタクシーを利用せざるをえませんでした。

このタクシーチケット、非常に助かりました。タクシーに乗り、自宅まで行き先を告げた後、自然と瞼が塞がります。気がついたら自宅近くだったことが度々でしたが、安心して自宅まで帰宅できるタクシー利用に僕は何度感謝をしたかわかりません。

昨今、官公庁でのタクシーチケット利用に批判が多いようですが、僕は大半のタクシーチケット利用者は正当な理由があって利用していると思えてなりません。限られた給料の中、近くに家を借りることができず、仕事も朝早くから深夜まで多くある。体力面を考えると、家で休みたい。そのような人たちにとって深夜家まで帰る手段としてのタクシーチケットは非常に有難いはず。国民の血税からきているタクシーチケットではありますが、非常に汗をかいている人たちのためには止むを得ない出費ではないかと思うのです。

問題はこうしたタクシーチケットを正当な理由無く使用している少数の不心得者です。自分の欲望のために公金を横領するようにタクシーチケットを利用する。しかも、その額が尋常な額ではないために、本来タクシーチケットを利用しなければいけない人にまで迷惑がかかっているのが現状ではないかと思うのです。

タクシーチケット問題が出て以来、官公庁では何人もの人が官公庁に泊まって仕事をしているのだとか。タクシーチケット利用批判があるために、正当な理由があって利用していた人までもがタクシーチケットを利用できず、自分の体力だけを消耗してしまう現状。このような現状を僕は憂います。
国民のために朝早くから深夜遅くまで必死で働いている人たちの正当な権利としてのタクシーチケット。このタクシーチケットの権利を奪うことはないと考えます。



2008年06月27日(金) 男はバーゲンセールの品物?

「最近、結婚式に呼ばれることから縁遠くなったわ。」

昨夜、嫁さんの口から出てきた言葉です。既に四十路を過ぎている嫁さんではありますが、自分の親しい同世代の女性友人と呼べる人は皆嫁いでしまったのだとか。一時期、友人の結婚ラッシュでしょっちゅう結婚式に出かけていった時期があったそうですが、ほとんどの女性友人が結婚をしてしまったのだそうです。親戚を見渡しても同世代の女性の親戚は皆結婚をしてしまい、結婚を間近に控えている人もいないのが現状です。

僕自身、これは非常に幸せなことではないかと感じました。なぜなら、世の中には結婚したくてもなかなか結婚することができないでいる人がいるからです。本人に問題があれば別でしょうが、美女であり、教養もあり、経済力もある女性が独身のままであることがケースが珍しくありません。僕自身思い浮かべても、自分の周囲で思い出しても少なくない妙齢の女性が独身のままです。僕は嫁さんに尋ねてみました。

「顔がきれいで仕事もでき、教養もある女性が結婚できずに独身のままでいるのはどうしてだろう?」

嫁さんは速攻で答えました。

「そりゃ、いい男がいないからよ。当たり前でしょ。女はね、いい男には敏感なのよ。」

嫁さんの単刀直入な回答に思わず心の内でうなってしまった歯医者そうさん。晩婚に関しては時折その理由がマスコミを賑わすことがあります。いろいろな分析が行われていますが、嫁さんの答えはそうした分析を蹴散らした、事の本質を突くような答えで、非常に爽快な答えでもあったのです。
それにしても、世の中の男というのは女性に見切られてしまっているのか?そんなに世の男はかわいそうな存在になりさがっているのか?男というのは頼りがいのある存在であるはずだし、そう信じて疑わない僕としては、嫁さんの証言はかなりショッキングゥ〜(エドはるみ風)でした。

僕は思わず言ってしまいました。

「よかったわね、あなたはいい男と巡り合えてね・・・」

僕の問いかけに、嫁さんは薄笑いを浮かべながら言い放ちました。

「そうね、この辺で手を打っとこうと思ったからね、ハッハッハ・・・。」

俺はバーゲンセールの品物か!
と言いたくても言えなかった、一弱い男の歯医者そうさんでした。



2008年06月26日(木) アドバイザーは小学校一年生

何事でも言えることだと思いますが、自分の行為、言動について第三者に意見を求めることはとても大切なことだと思います。自分がよかれと思って行為、言動が時には過剰であったり、細かいニュアンスが伝わっていなかったり、迷惑がられていたりなどなど、自分が想定したこととは異なる反応を周囲が示すことがあるからです。いくら自分自身で客観的になろうと思っていても、どうしても盲目的になっているところはあるもの。
もちろん、誰彼構わず意見を求めるわけではありません。自分が信用している、信頼している人であり、遠慮なく忌憚の無い意見を言ってくれる、褒めるところは褒めるけれども、修整すべきところは何が問題か的確に指摘してくれる人。そんな人が誰かいないか僕は常に求めています。

さて、今日、僕は地元小学校で1年生と2年生を対象とした特別授業を行います。今年で3回目の特別授業。自分でもそれなりのイメージを掴んでいるつもりですが、毎年同じ内容では芸が無いと思い、今年も試行錯誤しながら準備を進めてきました。講義は先日この日記でも取り上げていたプレゼンテーションソフトを使ったものになるのですが、これを試写してみることにしました。試写の際、僕が意見を求めたのは下のチビ。今年小学校1年生の下のチビは今回の特別授業のシミュレーションを行うには格好のアドバイザーです。僕は宿題の終わったチビに頼み、見てもらったのです。

興味深そうな表情をしながら特別講義シミュレーションを見ていた、下のチビ。僕の説明に時には笑い、はしゃぎながら反応してくれています。これはなかなか幸先の良い感じです。ところが、シミュレーション後半になると、少し退屈そうな表情を示すようになりました。
シミュレーション終了後、僕はチビに尋ねてみました。チビ曰く、

「面白かったけど、ちょっと長かったかな。」

特別授業の時間は25分程度の設定でした。その時間に合わせて作ったつもりだったのですが、チビの感想を聞くと、どうも長く感じたところがあるようです。これは何が問題だったのか?
特別授業のストーリーが少し中だるみする部分があったり、同じ内容の写真が続き見た目の変化が乏しいところに下のチビの集中力が続かない理由があったように解釈しました。如何に小学校1年生、2年生に授業の長さを感じさせずに授業を受けさせるべきか?無い知恵を絞りながら修正を加え、本日を迎えております。

さて、下のチビのアドバイスによる特別講義が吉とでるか、凶と出るか?

頑張って特別授業をしてきます。



2008年06月25日(水) そんなに治療回数がかかるのですか?

先日、入れ歯を作って欲しいという患者さんが来院しました。何でも今まで使用していた総入れ歯を誤って捨ててしまったそうで、食事をするのも一苦労、見た目も悪く、話にくいとのこと。
実際に口の中を見てみると、歯が一本の無い無歯顎の状態であることは一目瞭然でした。これは少しでも早く入れ歯を作らないと患者さんが困るだろうなあと思ったわけです。僕は早速入れ歯を作ることを提案し、治療計画について話をしました。話を聞いた患者さんは驚いた表情をされました。

「先生、次にこちらへ伺った時には入れ歯はできないのですか?」

患者さんは勘違いされているのではないか?そう思った僕は、入れ歯作りがいくつかの過程がある。各過程を確実にこなして作らないと良い入れ歯を作ることはできない。少なくとも今日来院して次に来院するまでに入れ歯を完成させることは困難であることを説明しました。この患者さんは納得しないような表情をしておりました。

「入れ歯は直ぐにできるものばかりだと思っておりました。」

歯科医院に来院する患者さんの口の中の症状は様々です。軽症の方もいれば重症の場合もあります。例えば、むし歯の治療では、一本だけのむし歯があり、比較的浅い場合、1度の来院だけで治療は完了する場合もあります。しかしながら、むし歯が複数本あり、しかも、むし歯が深く歯髄(神経のことです)にまで達しているようなものであったり、痛みが出てしまっているような場合などは1度の来院だけで治療は完了しません。何度も歯科医院に足を運んでもらい、治療をしないといけません。

僕のこれまでの経験では、1回の来院で治療が終わるようなケースは限られているように思います。患者さん自身はたいしたことがないと思っているようなケースでも、専門家である歯医者からすれば大きな問題であり、早期治療をしないといけないような場合もあるのです。時には病院の歯科口腔外科などへ紹介し、手術をしないと治らないケースさえあるのです。

治療に何回の来院を要するか?これは患者さんにとって大きな問題だろうと思います。何かと忙しい日常生活の中から時間をやりくりし、来院するわけですから少しでも早く治療が終わって欲しいことを願う気持ちはわからないではありません。しかしながら、口の中の症状に関する患者さん自身の認識と専門家としての歯医者が診断する結果とは異なる場合が多いのが現状です。軽症で1度の来院だけで治療が完了する場合もあるかもしれませんが、実際の口の中は患者さんが想像するよりも症状が進んでいる場合が多いように思います。

歯の治療は複数回かかると思ってもらった方がいいかもしれません。複数回かかりながらも悪い場所を徹底的に治療し、自己管理できるようにしてもらった方が、長い目で見て歯の健康維持につながる。そのように割り切ってもらった方がいいように思います。



2008年06月24日(火) 赤外線通信ディバイド

先週末、僕は出身大学主催の会合に参加してきました。数多くの先輩、後輩と出会ってきたのですが、皆さん同じ歯医者ということで、食事をしながら話に花を咲かせてきました。何人かの後輩とは初対面だったのでいろいろと話をしているうちに、お互いの連絡先を伝え合おうということになりました。一昔前なら自宅や診療所の電話番号を教えあうのですが、今の時代ならではというべきでしょうか、お互いの携帯電話番号、携帯メールを教えあったのです。僕自身、何人かの後輩と連絡先を交換し合ったのですが、ある後輩が僕に提案してきたのです。

「赤外線通信でやりましょう!」

皆さんもご存知だと思いますが、最近の携帯電話は、携帯電話番号、メールアドレス、写真などを赤外線通信でやり取りすることができます。僕自身、積極的に赤外線通信を利用したことはないのですが、後輩からの提案に何となく残っていた記憶を頼りに赤外線通信を利用しようとしたのですが、これが一苦労。普段慣れない赤外線通信はどこの機能を利用すればよいのかわからず試行錯誤していると、後輩が助け舟を出してくれました。

「メニューから○○を開けばできませんか?」

果たして結果はその通りとなりました。後輩の指摘した部分を操作すると、僕が赤外線通信の受信ができるようになっていたのです。そこで後輩が赤外線通信の送信ボタンを押すと、数秒して僕の画面に後輩の電話番号、携帯アドレスが転送されました。

改めて赤外線通信の便利さを実感した歯医者そうさん。これまで携帯電話番号や携帯メールアドレスは相手から教えてもらってから自分でデータを打ち込んで登録していたものですが、今ではそんな面倒なことはしないで済む。今更ながら携帯電話機能の高度化に驚かざるをえませんでした。後輩が言うには、今では携帯電話番号や携帯メールの交換は赤外線通信が当たり前なのだとか。僕も時代の流れに取り残されないために、赤外線通信の方法を後で復習しなければと思ったのです。

その後、懇意にしていた先輩K先生と話をしていたのですが、この赤外線通信の話をすると

「赤外線通信?それって一体何なの?」

僕が説明をすると、

「僕は赤外線通信にはついていけないよ。そうさんの説明はわかるのだけど、実感として何のことだかイメージが湧かないなあ。お手上げだよ。」

パソコンや携帯電話などのデジタル機器を使いこなせる人とそうでない人との格差のことをデジタルディバイドと呼ぶことがありますが、さしずめ、K先生にとっては赤外線通信ディバイドが生じているのかもしれません。

帰宅後、僕は赤外線通信の送受信の仕方を何とかマスターしました。僕は何とかギリギリ赤外線通信ディバイドにはならなくて済みそうです。



2008年06月23日(月) 違和感がある派手すぎるプレゼンテーション

最近、診療はさほど忙しくないのに外部での講演や講義などの準備に手一杯の歯医者そうさんです。本来なら本業である診療がもっと忙しく、少しでも多くの患者さんに来院して欲しいのですが・・・。

それはともかく、最近は歯の健康や予防について話をする機会がちょくちょくあるのですが、その際必ず用いるのがパソコンです。企業ではプレゼンと称して様々なプロジェクトなどの説明にパソコンとプレゼンテーションソフトを使用することが多いようですが、我々歯医者業界も同様です。
以前であればスライド作りは手間、暇がかかり大変な作業でした。今ではパソコンとプレゼンテーションソフト、プロジェクターがあれば誰でも簡単にプレゼンテーションを行うことができます。我々歯科業界でもノートパソコンを持ち込んでプロジェクターに接続して、症例報告や講習会、学生向け講義や市民向け講演会などに頻繁に使用しています。

このプレゼンテーションですが、最近ではプレゼンテーションソフトの多機能化から様々な趣向を凝らしたものが作られるようになりました。アニメーションや音声、映像などを取り入れ、何か短編映画を見ているかのような演出のものが数多くあります。僕自身、その演出ぶりに思わず感嘆の声をあげてしまうようなプレゼンテーションにしばしば出会います。
その一方、僕は趣向を凝らしたプレゼンテーションに対して違和感を覚えることも多々あります。なぜなら、あまりにも趣向を凝らしすぎたため、何が言いたいのか、何をアピールしたいのか?問題の本質が見えてこないものがあるからです。いろいろと派手な演出のプレゼンテーションを見終わってから結論を見てみると、大した内容ではなかったり、新しい知見がなかったり、何を訴えたかったのか理解に苦しむ場合があるのです。
それよりも、紙一枚に簡単な模式図が書いてあり、それをもとに口頭で説明を受けた方がはるかに理解しやすく、印象に残る場合があるのです。

僕の独断かもしれませんが、プレゼンテーションの演出が派手なものは内容がたいしたことがないものが多いように思えてなりません。あまりにもプレゼンテーションソフトの機能が多様化してしまったため、発表者はついつい演出にこだわり、本来の目的である内容の吟味を充分にせず発表してしまうようなことに陥っている場合があるように思うのです。
かつての学会発表で用いたスライドは非常にシンプルなものでした。濃紺、または黒い背景に白文字や白線で書かれた文字やグラフを見て、真剣に内容を吟味し、発表終了後の意見交換や討議には発表の本質に迫った議論が多かったように思うのです。

ケースバイケースで、適度な演出はいいでしょう。例えば、僕自身、小学校低学年に講義をする際には、電子紙芝居が如く、適度に演出をしています。彼ら、彼女らはまだ幼いわけですから、大人と同じような講義というわけにもいかず、飽きさせずにわかりやすく、論点を伝えるためには適度の演出は仕方がない、むしろ必要不可欠ではないかとは思います。

色とりどりのスライドに関して、見た目は非常に鮮やかで格好が良く、第一印象に訴える意味では効果的だとは思います。しかしながら、見た目だけを考えてプレゼンテーションを作ってしまうと本当に大切な物が見えなくなってしまう。最近のプレゼンテーションを見ていると、どうもプレゼンテーションの本質が失われているものが多いように感じる、歯医者そうさんでした。



2008年06月20日(金) 究極の前向き志向日記とは?

この8月で僕は週末以外日記を書き続けて6年を迎えますが、日記とはいうものの、書いている内容はいろいろです。基本的には僕が歯医者であることから、歯や口の中の健康に関すること、歯の治療や歯医者について書くことが多いのですが、それ以外にも周囲で起こったことや世間で起こっている出来事やニュースの感想や思い、自分の妄想などを書き綴っています。このあたりの心境は、吉田兼好が徒然草の冒頭で言っているように

“つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。”
でしょうか。

日記を書き続けていると、吉田兼好が徒然草の序文で書いた意味が徐々に心の底から理解できるように思います。

さて。世の中にある日記やブログと言われるものは多種多様ですが、基本的には現在よりも過去に起こったことに対することを書き綴ったものではないかと思うのです。ところが、世の中には奇特な人がいるとでも言うのでしょうか、日記には過去のことを全く書かず、未来のことを一方的に書く主義の人がいるのです。

先日、僕の知人と話をしていると、知人のお父さんが日記を書き続けているという話になりました。多くの人が日記を書いても三日坊主であるのに、その知人のお父さんは書き続けて20数年になるとのこと。僕自身、駄文を書いているだけに20数年書き続けている知人のお父さんの凄さを実感するのですが、お父さんの日記の内容なのです。
知人曰く

「親父はね、今日や明日に起こるであろうことをずっと書き綴っているよ」

とのこと。

何だか以前流行した○○黙示録のような感じがしますが、知人が言うには実に些細な身の回りのことの未来を書き綴っているのだとか。

・今日、家内が郵便局で切手を買う
・息子が玄関前で派手に転倒してします
・孫がお手製にプレゼントを持ってくれる

などなど。

これらのどれ一つとして当たったことがないのが笑えるところですが、それでも書き続けているのだとか。知人がお父さんに理由を尋ねると

「既に終わったことを書いていてどこが面白い?」

僕は知人のお父さんが究極の前向き志向な人だと感じました。過去のことを反省したり、振り向いたりすることをせず、これから自分の周囲で起こるであろうことを積極的に書き続ける。それを20数年間書き続けている姿勢は、まぎれもなく究極の前向き志向、未来志向としかいいようがありません。

周囲からは変人だと烙印を押されるかもしれませんが、常に先のことを見続け、書き綴る知人のお父さんの姿勢に、同じ日記書きとして憧れのまなざしを注ぎたくなった、歯医者そうさんでした。



2008年06月19日(木) ある歯医者を襲った突然の悪夢

今朝、眼を覚ますと時計の針は5時を過ぎたところでした。

“いつもの起床時間まではまだまだだなあ”
と思いながら何気なく舌で上の前歯の裏側を触った僕は、ある違和感を覚えました。

!アレっ!こんなところに穴が開いている!!

昨日まで何もなかったはずの上の前歯です。昨夜も鏡を見ながら念入りに歯を磨いていたつもりでした。何も問題がなかったはずなのです。歯医者である僕が自分の歯を確認して何もなかったはずなのに、起きてみたら穴が開いている!

このような場合、原因の多くはむし歯であることが多いのですが、自分が気がつかないうちにむし歯に侵されていたことが信じられませんでした。驚いた僕は、自宅の隣にある診療所まで足を運び、歯科用ミラーを使って前歯を確認してみました。すると、歯科用ミラーには大きな黒色のむし歯が見えたのです。

どうして?たった一日でむし歯になるなんてことがあるのか?

歯医者でありながら何という失態でしょう。いくら歯医者でも自分の歯に異常が生じた場合、自分で治療をすることは困難を伴います。少なくとも僕は自分の歯の治療は自分ではできません。

これは親父に診てもらうしかない。

そう思った僕は、応急的にむし歯の部分に仮封用のセメントを練り、詰めたのです。その際、何気なく噛むと、突然“ボリッ”という音が。

一体何だろう?

そう思った瞬間、僕は口の中に硬い物があることに気がつきました。口の中から出てきたものは下の奥歯でした。下の奥歯の頭の部分である歯冠だったのです。歯科用ミラーで確認してみると右下の奥歯が欠け、根っこがむき出しになっているのが見えました。根っこの周囲は黒くなっていました。明らかにむし歯が原因で欠けているのがわかりました。この歯も昨晩の歯磨き時には何も異常が見られなかった歯だったのです。

まさか?

そんなことを感じた瞬間、突然、痛みが生じてきました。無理もありません。歯冠が欠けて歯の神経が露出していましたから、痛みが出るのは当然でした。

これはたまらん!

次々と起こる口の中の異常に僕は明らかに動揺していました。そして、思わず寝室で寝ていた親父を叩き起こしました。

「歯が痛くてたまらん、何とかしてくれないか!」

眠そうな表情もしながらも、僕の尋常ではない姿に驚いた親父は直ちに診療室へ向かい、僕を診療台へ座らせました。
久しぶりに横になる診療台。普段は患者さんを上から覗き込みながら診療する立場である僕ですが、今は僕が患者となり親父の診療を受ける立場。歯の治療を受ける患者さんの不安感とはこんなものだったのか?と感じながら、親父の診察を受けていると、親父は突然僕に宣告しました。

「こんなに悪くなるまでどうして放置していたんだ!」

僕は親父の言っている意味がわかりませんでした。2本の歯が悪いだけだろうと思っていた僕に親父は

「口の中の全ての歯がむし歯になり、今にも欠けそうだぞ!」

僕は親父の持っていた歯科用ミラーで自分の口の中を確認しました。そのミラーにはつい先ほどまで大丈夫だと思っていた歯に全て黒い穴が開き、今にも欠けようとしていた光景が写っていたのです。

こんなはずでは!昨夜まで全く問題が無く、ついさっきは2本の歯だけ問題が生じていたはずだったのに、どうして短時間でこんなにひどくなっているんだ!

僕は自分の身に起きたことが全く理解できませんでした。動揺している僕を尻目に親父は

「今から全部の歯を抜歯して、総義歯にしなければ!」

親父の発した言葉に僕はパニック状態となってしまいました。どうして一眠りしただけで健康な歯を全部抜歯して総義歯になるんだ?俺は何か悪いことをしたのか?今まで患者さんの歯を抜歯し続けた天罰なのか?止めてくれ!誰か助けてくれ〜・・・・・・!


気がつくと、僕は寝室の天井を見ていました。

一体これはどうしたことだ?

自分の舌で上の前歯を触ってみました。何も異常はありません。起き上がった僕は洗面所の鏡で奥歯を確かめてみましたが、何も変わったことはありません。

時計の針は5時半を回ったところでした。
もう少し寝よう。自分の歯が何の異常も無かったことを確認した僕はもう一眠りするために寝床に戻ったのでした。




2008年06月18日(水) 講義は自己満足主義

今日は週の真ん中の水曜日。うちの診療所は休診日なのですが、僕は休みでありません。某専門学校での講義日です。某専門学校の非常勤講師になって今年で3年になりますが、普段の診療とは異なる講義は、人に教えることの大切さ、難しさを常々感じます。非常勤講師の話を頂いた時は、うれしかったものです。歯医者になって10数年が経過し、それなりの知識、技術、経験をもってきたつもりです。年齢も40歳を過ぎ、後輩に何らかのことを伝えていかないといけないと感じるようになってきた時に頂いた非常勤講師の話。
経済的には診療をやっている方がいいのが正直なところですが、次世代の人たちへの教育は、お金では代えられない貴重な財産です。次の時代を担う人たちに何かを伝えられることは僕にとって大きな喜びであり、挑戦でもありました。

正直言って、講義を始めた2年前は講義を楽しむ余裕というのは全くありませんでした。教科書に書かれていることを理解し、学生に如何にわかりやすく伝えていくか、そのことを考えるだけで息苦しくなり、必死だったものです。端から見ていれば一生懸命講義をしているように見えるかもしれませんが、僕にとって講義を振り返る気持ちの余裕さえありませんでした。

今年の一連の講義も大変さは変わりありません。僕の担当する講義は毎年かなりの部分で内容の変更が伴う科目。去年書かれていた内容と今年の内容とが異なることも多々あります。その都度、変わっている内容を確認しつつ、自分なりに復習していく必要があるわけです。

今回の講義が始まる前、講義の準備に取り掛かろうとした時、僕はふと思ったことがありました。講義そのものは某専門学校の学生に対して教えていくことには違いないのですが、単に学生に伝えるだけではなく、自分なりに講義の内容、準備過程を楽しまないと損ではないかと思ったのです。

歯医者だけをしているなら自分が担当している科目についてはそれほど知識を持たなかったはず。講義をするという機会を与えられたことにより、無理やりながらも調べていくうちに、担当科目の奥深さに気がついたでも言うべきでしょうか。調べていけばいくほどこれまで気がつかなかったこと、自分が知らなかったことが明らかとなっていくのがわかっていくのです。僕自身の知識の無さ、勉強不足は痛感するのですが、それでも、自分にとって未知の分野に対し関心が湧き、知っていくうちに自分の知的好奇心が満たされる。これは非常に面白いことではないのか?そんなことを思うようになったのです。

“好きこそものの上手なれ”ということわざがあります。何事でも自分が熱中できることであれば次第にモノになっていくという意味合いのことわざであることは皆さんもご存知のことだと思います。僕自身、自分の稼業である歯医者に関してはそのことを思うのですが、何度も講義を担当していると、講義に関しても思うようになりました。自分が楽しまなければ講義はできないと。

今の僕にとって講義とは一種の自己満足になってきつつあります。自己満足の講義が学生にどのように伝わっているかわかりませんが、少なくとも僕がつまらないと思いながら講義をするよりは、楽しんで講義をしている方が講義を聴く側に何か違ったものが伝わらないだろうか?

自分の講義に100点満点を与えることができないのは言うまでもないことですし、教師を生業としているプロの方からすればお叱りを受けるかもしれません。もっと適切な教え方があるのかもしれませんが、僕はいろいろと試行錯誤しながらも自分で楽しく思っていることが少しでも講義で伝わり、若い学生たちの知識となり、経験となっていくことができればなあと感じる、今日この頃です。



2008年06月17日(火) 僕が結婚指輪をはめない理由

先日、ある新聞記事を見ていると結婚指輪をはめているかどうかに関するアンケートの結果が載っていました。1000人余りの男女にアンケートを取った結果はといいますと、いつも結婚指輪をはめている派は全体の45%、はめていない派は55%となっていました。結婚指輪をはめている理由として挙げられていたのは、
・既婚者であるということを相手に判らせたいこと
・夫婦のつながりを感じていたい
・結婚指輪に名前が彫ってあることで身元確認になる
・していないと紛失してしまうから
などがあったとか。

結婚指輪をしない理由としては
・仕事に支障をきたす
・年齢的に似合わない
・指に違和感がある
・結婚相手に冷めた感情をもったから
などがあったようです。

僕自身、結婚式と直後の新婚旅行以降、結婚指輪を薬指にはめたことがありません。結婚指輪はケースに入れたまま自室の机の引き出しの中に保管しています。
理由はいくつかありますが、最大の理由は僕が歯医者だからです。

皆さんご存知だと思いますが、歯医者は患者さんの口の中に手を入れて治療することが仕事です。最近は使い捨てグローブを手に装着して治療を行っていますが、一人の患者さんの治療が終わる度、グローブを処分し、手洗いしてから新しいグローブを装着して次の患者さんの治療に備えます。

患者さんの口の中に手を入れるわけですから、指輪をはめた指を患者さんの口の中に入れることは、患者さんにとって違和感を生じたり、苦痛を伴ったりします。治療によって患者さんに不必要な迷惑をかける可能性があるのです。
また、毎回患者さんの治療が終わるたびに手洗いをするのですが、指に指輪をはめていると指輪に傷がついたり、荒れたりします。やすくはない値段の指輪が仕事で傷むようなことがあっては、結婚相手に示しがつきません。
歯医者が患者さんの治療を行う時には、指輪をはめながら治療をすることはできないことなのです。
それならば、患者さんの治療中は指輪をはずし、それ以外の時は指輪をはめたらどうか?ということになります。僕の周囲の歯科衛生士や歯科助手といった女性スタッフはそのようにしていますが、僕は敢えてそれをしません。理由は簡単です。僕がだらしない性格だからです。
具体的には、はずした指輪を大切に保管する自信がないからです。常にはずした指輪をきちんとした保管箱や保管場所に置いておくことができればいいのですが、僕はちょっとした身の回りの物でもついつい紛失してしまう癖があります。無意識のうちにどこかへ置き、しばらくしてからどこに置いたか気づき、必死になって探すなんてことがしょっちゅうです。この悪い癖を直さないといけないとは思うのですが、なかなか意識しても直らないのがたちの悪いところです。
こんな自分の悪習慣を自覚しているものですから、結婚の証としての結婚指輪を日常生活で使用する自信がありません。結婚指輪を紛失してしまうようなことがあれば大変です。それならが、きちんと保管しておいていつでも取り出せるようにしておいた方がずっとまし。そんな思いから結婚して以来12年間、僕は結婚指輪をはめていません。

結婚指輪をはめている友人からは

「未だに女の子にもてたいために結婚指輪をはめないのか?」
と冗談を言われますが、僕の場合、自分の仕事上の制約と、自分のだらしない性格、面倒くさがりから結婚指輪をはめていないのです。
ちなみに、結婚指輪をはめないことに関して、嫁さんは

「私たち冷えているからねえ・・・・。」

オイ、オイ、オイ!



2008年06月16日(月) 改めて感じた女性の花好き

昨日は父の日。家庭における僕はお父さんで父の日では主役であるはずですが、そうではありませんでした。昨日は親父が主役で、僕は家族とともに某所へ親父を連れて行き、食事をご馳走しました。親父には事前に何か欲しいものはあるかどうか尋ねてみましたが、特段欲しいものはなかったので、結果的に食事を招待するということで落ち着いたわけです。

父の日の前、5月の第二日曜日には母の日がありました。母の日のプレゼントの定番としてカーネーションをはじめとした花があります。母親の日頃の感謝の気持ちを伝えるプレゼントとして花を贈る習慣がありますが、ほとんどの母親は花のプレゼントに喜ぶことでしょう。今年を含め、我が家も例外ではありません。お袋や嫁さんに花をプレゼントして嫌な顔をされた経験は全くありません。

ところで、僕が所属する地元歯科医師会で市民向けに歯に関する健康講座を定期的に開いているのですが、参加者に必ず渡しているお土産が花です。当初、お土産として何がいいか試行錯誤していたのですが、たまたま某先生の思いつきから花をプレゼントしたところ、女性参加者からの評判が極めて良かったのです。これに気をよくした担当者は地元の花屋さんと相談しながら、市民向け講座が開催される時期に合わせた花をお土産として用意することになり今に至っています。
市民向け講座は高齢者の参加が大半を占めているのですが、参加者の半分は女性です。何歳になっても女性は花が好きなのだなあと思わざるをえません。

先日もこの市民向け講座が開かれたのですが、この時、お土産の花が余ってしまいました。当日は予想していた参加者以上に花が届けられたため、いくつも余ってしまったのです。当日、裏方として働いてくれたスタッフで手分けして持って帰ってもらったのですが、それでもいくつもの花が余ってしまいました。余った花を処分してしまうわけにもいかず、花屋さんに引き取ってもらったのですが、帰宅後、嫁さんにこの話をすると

「余っていた花は全部持って帰って欲しかった」
と言い出す始末。

「そんなにたくさんの花を持って帰っても置く場所に困るのではないか?」
と尋ねたところ

「何とでもなるわよ。花はたくさんあったほうが華やぐじゃない!」

僕自身、女性が花好きなことは知っているつもりでした。これまでの女性との限られた経験から感じていたことではあったのですが、それにしても花に対して貪欲とも言える嫁さんの花好き。家の中が多くの花で囲まれていると、かえって息苦しくならないかと思うのですが、決してそのように感じないのは、男性とは異なった感覚的な生理的な好みの違いかもしれません。



2008年06月13日(金) 歯科検診でダイエット?

昨日、午前と午後の診療の昼休み、僕は市内の某中学校へ歯科検診に行ってきました。

通常、幼稚園、小学校、中学校、高校には学校歯科医がいます。毎年6月30日までに行わなければいけない定期健康診断。この定期健康診断の一環として行う歯科検診は学校歯科医が行うことになっていますが、人数が少数の学校であれば問題ないのですが、大人数の学校となると全生徒を一度に歯科検診を行うことは不可能です。学校歯科医が何日間か分けて検診を行うか、応援の歯科医の協力を得て、学校歯科医を含めた複数の歯科医師の協力のもと、一日で全生徒の歯科検診を行うことになります。僕が住んでいる地元市では、市内の幼稚園、小学校、中学校、高校へは地元歯科医師会が手配をし、学校歯科医に協力歯科医を応援に行くようなシステムとなっています。僕も自分が学校歯科医を行っている小学校だけでなく、他の市内の学校の歯科検診にも出かけることになっており、昨日の午後がその日に当たっておりました。

当地では昨日は気温もさほど高くなく、適度な風も吹いていたために非常に過ごしやすい日ではあったのですが、歯科検診はそうではありませんでした。その訳はいくつかありました。
一つは検診会場が体育館だったことです。検診は数人の検診医が一度に複数のクラスの検診を担当することになっていたのですが、複数のクラスとはいえかなりの人数の生徒を一同に集める場所は体育館しかありませんでした。この体育館、立地条件の問題でしょうか非常に風通しの悪い場所にあり、窓を開けていたとはいえ座っているだけで汗が出てしまいそうな状態でした。
しかも、検診対象者は中学生です。非常に元気で活発な中学生です。元気ハツラツ、体から大量のエネルギーを発散していることは容易に想像がつくことだと思います。そんな彼ら、彼女らが体育館とはいえ集まってくるのです。元気な中学生が大勢集まった時の集団のエネルギーは相当のもの。見ているだけで暑くなってきそうな状態でした。
そんな彼ら、彼女らを検診する際には、必ず近くに寄って検診をします。何せ口の中を調べるわけです。近くにライトがあるとはいえ、通常の診療所のチェアライトとは異なり、かなり暗い状態で検診を行います。暗い口の中を見るわけですから、どうしても検診医は中学生に近づいて検診を行わないといけません。ただでさえ元気一杯の中学生に近づいての検診。まるで初夏でありながら湯たんぽを抱えながら検診をしているような感がしました。

上記のような条件で検診をしていたものですから、検診開始数分程度で全身は熱く、汗ばんできました。検診の際にはグローブを着用しているのですが、グローブの中は早々に汗だくとなり、グローブからは汗が滴り落ちてくる始末。検診の合間に何度かグローブを脱ぎ、手を洗い、交換しないといけない羽目になってしまいました。
検診は二時間半ほどで無事終了したのですが、終了時には全身汗ばみ、グローブをつけていた手のひらは汗のためふやけておりました。まるで何かの運動、エクササイズをした後のような感覚。検診終了後、用意されていた500cc入りのペットボトル入りお茶を一気に飲み干してしまうくらい咽喉がカラカラになっておりました。

「う〜ん、これだったら運動をしなくても検診をするだけでダイエットすることになるなあ。毎日検診しようかしら?」

一緒に検診をしていたメタボ体型の同僚の歯科医は思わず笑いながら、額にかいた大量の汗をタオルで拭っておりました。



2008年06月12日(木) 「社会の窓が開いてますよ」と言えるか?

先日、某所である会合が開かれ参加してきたのですが、会合の合間、僕はある大先輩の歯科医の先生と話をしていました。最近の物価高と医療費のことなどを話していたのですが、僕は何気なく視線をはずし、何気なくこの歯科医の先生の足元を見ようとした時、僕は思わず目が点になりました。その訳とは、この先生の社会の窓が全開になっていたからです。

この大先輩の歯科医との話の直後、母校の大学の後輩から伝え聞いた話ですが、某先生が教壇に立った時、思わず教室の学生がざわついたそうです。その訳とは、この先生の社会の窓が開いていたのだとか。

思わず社会の窓話の連続に思わず苦笑いしてしまった、歯医者そうさん。
友人同士であれば気軽に“社会の窓が開いていますよ”と言えるところですが、対象になっている人が先輩の先生や異性であった場合、なかなか声をかけずらいところがあります。何せ社会の窓ですから、指摘された方も非常に恥ずかしい思いをすることになります。自分のだらしなさを指摘され、穴があったら入りたい気持になるのは必定でしょう。さりげなく、何か伝えられる方法があればいいのですが、なかなか妙案が浮かばず、結果として社会の窓は全開になったまま放置され、自身で気がつくのを待つしか手が無いのが多いのではないでしょうか?

昨日、あるラジオ番組を聴いていると、今時だなあと感じることがありました。あるリスナーからの投書だったのですが、その男性リスナー、電車に乗って座席に座っていると、突然自分の目の前に妙齢の女性が迫ってきたそうです。この女性、自分好みの美人だったそうで、この男性、思わず“逆ナンパか?”と感じたそうなのです。そう思った瞬間、この女性は持っていた携帯電話の画面をおもむろにこの男性に見せたのだそうです。画面には思わず赤面したくなることが書いてあったのだとか。

“社会の窓が開いていますよ”

この男性リスナーが直ぐに自分の股間を確認し、社会の窓を閉じたのは言うまでもなかったのだとか。
携帯電話はいろいろな機能、使い方があるものですが、この女性の発想と行動のユニークさには思わず感心せざるをえませんでした。この方法なら、自分も周囲の目が気にならず
全く見ず知らずの男性の社会の窓を開いていることを指摘することができますし、指摘された方も恥ずかしい思いはするものの、周囲に恥をかくことは最小限に抑えられます。
この女性に思わず座布団をあげたくなった、歯医者そうさんでした。



2008年06月11日(水) マスコミによく出る先生の業界評判

先週末、近所の病院に勤務している弟が我が家に遊びに来ました。実家の元自分の部屋に置いている大量の荷物を整理していたのですが、合間に今の医療業界について話をしました。その中で僕は以前から疑問に感じていた弟にぶつけてみました。

「最近、内科医の○○先生や△△先生というのは名医だということでテレビや新聞をはじめとしたマスコミに露出する機会が多いけど、業界の中での評判はどうなの?」

僕の質問に対し弟曰く
「○○病院の○○先生と△△病院の△△先生のことだね。この二人は業界の中ではあまり評判がよくないよ。」
「かなり経験を積んでいる両先生だし、日本の住んでいる人ばかりでなく海外の要人もこの先生の手術を受けたり、反対に外国へ出かけていったりして手術をしているという話だけど。」
「この二人の先生はいずれもかなりの年齢なんだよね。同じ業界の口悪い先生からは、二人のことは『内科界の二大老害』って陰口を叩かれているよ。」
「ベテランということで現場では重宝されているというわけではないの?」
「それはむしろ逆だね。いつまで経っても優秀な若手循環器内科医が上の立場に立てないということでもあるんだよ。以前はそうでもなかったのだろうけど、上の方のそれなりのポジションに着くと、そのポジションから離れたくなり、しがみつきたい気持ちが強くなるのかもしれないなあ。両先生の年齢からすれば後進に道を譲らなければならない年齢なんだけど、それをしていないのは問題だよ。両先生よりも優秀な先生はたくさんいるからね。『老害』と呼ばれる所以だね。

「両先生が行う手術の方法というのは業界では一昔前の術式なんだよ。一昔前の術式が悪いということではないんだけど、いろんな研究結果、臨床経験から業界では技術の革新は日進月歩。これら新しい知識、技術を使ってより良い治療を目指そうとする先生たちが数多くいる。術式がいろいろ出てくるということはいろいろとリスクもあるけども、治療の選択肢が増えるという点では医療側も患者さん側も歓迎すべきことなんだと思う。ところが、両先生はかたくなにこうした動きに対して反発しているのよ。一昔前の術式に固執して一向に最新の治療を正当に評価しない。これは如何なものかと思う。

「最近、マスコミに取り上げられることが多くなり、世間でも両先生の名前はかなり浸透してきているし、二人とも生涯現役を貫くようなことをしているみたいだけど、業界の中ではマスコミで言われる美談とは異なる、古い体質の先生という評価が大勢を占めているよ。まあ、患者さんにとってはどんな先生でも、業界の事情がどうであれ、患者さんの健康を守ってくれる先生であればいいとは思う。だけど、業界の今後の発展を考えなくてはいけない場合、両先生は業界にとって正しい道を示しているか?と問われると、僕は疑問符をなげかけざるをえないよ。」



2008年06月10日(火) 有名人口元チェック ヒラリー・クリントン

今年、アメリカでは4年に1度の大統領選挙の年に当たります。アメリカは民主党と共和党の二大政党があり、大統領は常にこの二大政党の代表から選ばれているのはご存知のことでしょう。それぞれの党で全米の各州ごとに予備選挙が行われ、自らの党からの大統領候補者を選びます。正式にはそれぞれの党が開く党大会で大統領候補が選出されるわけですが、実際は、予備選挙で 代議員数の過半数を獲得した時点で実質的な大統領候補となります。

今回のアメリカ大統領選挙では、共和党はマケイン氏が早々に大統領候補となりましたが、民主党では最後の最後まで候補者選びが続きました。結果は、黒人初のアメリカ大統領を目指すバラク・オバマ氏がヒラリー・クリントン上院議員を僅差で破り、民主党大統領候補として選ばれる見通しとなりました。民主党大統領予備選挙開始前、ヒラリー・クリントン上院議員は夫であるビル・クリントン元大統領の知名度と上院議員としての政治活動、そして、資金力から民主党大統領候補の大本命であると目されていました。ところが、最終的に彼女はバラク・オバマ氏の変革を訴える勢いに押され、敗北宣言を出さざるをえなくなりました。

僕はヒラリー・クリントン上院議員の敗北宣言の演説をチラッとテレビで見ましたが、選挙戦中、自信満々で笑みを浮かべながら戦っていた姿とは対照的に、どことなく疲れた、無念の顔つきが見え隠れする彼女の姿が印象的に残りました。

そんな彼女を象徴するものが彼女の口元にありました。それは彼女の上の前歯の状態です。もともと彼女の上の前歯は3本がメタルボンド冠と呼ばれる被せ歯がセットされていたのですが、被せ歯に接する歯茎が退縮し、被せ歯の下にある自身の歯の一部が露出して見えていたのです。
誰しも被せ歯をセットする際、被せ歯は歯茎と調和するようにセットされているものですが、時間が経過するとともに、歯茎の状態にも影響をうけますが、徐々に歯茎が下がり、被せ歯と歯茎の隙間が見えてくるものです。
ヒラリー・クリントン上院議員の場合、民主党予備選挙が始まった当初は、彼女の上の前歯の状態は被せ歯をしているとはわかるものの、歯茎が下がったようには見えなかったのですが、今回の敗北宣言では明らかに歯茎がさがり、彼女の被せ歯の自身の歯の一部が見えていたのです。

わずか半年余り、何が原因で彼女の歯茎が下がったのかわかりませんが、大統領予備選挙のため広大なアメリカ各地を飛び回りながら選挙活動をし、一喜一憂する精神状態が彼女の上の前歯の歯茎に影響を及ぼしたのかもしれません。日本の選挙とは異なり、長期間にわたる選挙戦を戦わないといけないアメリカ大統領選挙。世界一のアメリカ合衆国の最高責任者に選ばれるためには非常に厳しい選挙戦を勝ち抜かないといけないわけですが、ヒラリー・クリントン上院議員の口元の変化を見ると、その選挙戦の激しさと体の消耗具合を垣間見たような気がしてなりませんでした。



2008年06月09日(月) 自費治療がうれしい理由

先日、ある患者さんの自費治療の補綴物がセットになりました。補綴物というのは、被せ歯やブリッジ、入れ歯といったものの総称のことです。何をセットしたかどうかを書くことは控えますが、僕自身、非常に満足のいく出来の補綴物であり、何よりも患者さん自身が満面の笑顔で補綴物の状態を褒めて下さったのです。

自費治療というのは保険治療とは違い、歯科医院ごとに自由に治療費を設定することができる治療のことを言います。保険治療のように定められた治療手技に定められた治療費が設定されているわけではなく、診療を行う歯科医の裁量で自由に治療費が決められるのです。
自由に決められるといってもそれなりの根拠はあります。治療にかかる様々な経費、光熱費や材料費、スタッフの人件費、補綴物を作る歯科技工士への技工料などが含まれます。また、歯科医院が地域の物価に左右されることもあります。中でも最も大きいのは歯科医師の技術料ではないでしょうか?歯科医師がこれまで培ってきた技術、知識、経験を技術料として設定するのです。同じ補綴物でも各歯科医院の自費治療で値段設定が異なるのは、この技術料が大きなウェートを占めているといってもいいでしょう。

僕の補綴物の自費治療の治療費は、これもここでは書くことは控えますが、それほど値段が高いものであるとは思いません。多くの歯科医師が設定する自費料金の平均かそれ以下ではないかと思いますが、少なくとも同じ治療の保険治療費よりは高いのは確かです。

この自費治療を勧めるのはどういった時か?いくつかの場合がありますが、保険治療と比べ明らかなメリットがあることが大きいですね。若干治療費はかかるけれども、自費治療をすることによって患者さんが得られる満足度が保険治療と比べ格段に大きいと考えられる場合です。
昨今の物価上昇のおり、懐具合に余裕のある人は限られているのは現状だと思います。僕自身、患者さんが得られる満足度と経済的負担を考慮しながら、自費治療を勧めるのが普通です。決して患者さんに無理強いはしませんし、逆に患者さんが自費治療を希望しても、自費治療によるメリットが得られないと予想される場合には、僕はむしろ保険治療を勧めます。

正直言って、僕の自費治療は他の歯科医院よりも少ないです。いつも世話になっている税理士さん曰く、

「先生の自費治療収入は他の歯科医院に比べてかなり少ないですなあ。」

これが良いことなのか悪いことなのか自分では判断できませんが、数少ない自費治療であるが故、たまの自費治療で得られた結果には歯医者として非常にうれしいものがあります。何事も金勘定で決めることは良いことだとは思いませんが、患者さんにかなりの経済的負担をお願いしながら得られた結果、患者さんの満足を得られた場合、歯医者冥利に尽きるところがあるのも事実です。

さて、今回頂いた自費治療の収入の行方ですが、様々な経費に消えていくことになりそうです。特に今月はうちの歯科医院にとってスタッフのボーナス月。ボーナスはスタッフにとって待ち遠しい月ではありますが、零細弱小歯科医院を経営する者としてはいつも頭の痛い月であります。いつも青息吐息の歯科医院経営を行っている者として、今回のボーナスをどのようにやりくりして費用を捻出しようかと考えていたのですが、自費治療の収入により何とかめどがたちそうです。



2008年06月06日(金) 学校歯科検診で見る格差社会の兆し

ご存知の方もいるとは思いますが、6月4日から6月10日までの1週間は歯の衛生週間です。かつて6月4日は語呂合わせから“むし歯の日”とか“むし歯予防デー”など言われていましたが、今では6月4日から1週間を歯の衛生週間と名づけて、歯や口の健康に対する啓蒙、啓発活動が全国各地で行われています。僕の地元歯科医師会でも今週末には市民向けの健康講座を開催したり、来週初めには歯の無料健康診断、相談が行われます。

ところで、全国各地の学校では定期健康診断が行われています。これは学校保健法という法律により、学校の生徒と教師の定期健康診断を毎年6月30日までに行わないといけない決まりがあるからです。内科、眼科、耳鼻科といった検診と同様歯科検診も行われます。先週、僕も母校でもある地元小学校で恒例の歯科検診がありました。
検診を終えた正直な感想ですが、年々むし歯の数が更に減っていると感じました。歯科検診ではむし歯のことを“C”と言って判定しますが、今回の検診では“C”と口から発する機会が少なかったように思うのです。

このことは大規模調査のデータからも裏づけがあります。六年に一度、厚生労働省が全国で行う歯科疾患実態調査という調査がありますが、12歳におけるむし歯経験歯数は、昭和62年では4.9本だったのに対し、平成17年では1.7本となっています。この20年間で12歳児のむし歯はほぼ3分の1になっているのです。

どうしてこれだけむし歯の数が減少してきたか?これはいくつかの理由があるでしょうが、歯や口の中の健康維持に関心を持つ親御さんが増え、自分たちの子供達のむし歯予防を実践していることが大きな要因であることは間違いありません。かつて子供たちのむし歯はあって当たり前という認識が強かったものですが、今ではむし歯を予防ができて当たり前という意識が世の中にかなり浸透してきているように思います。

その一方、むし歯が放置されている子供は、数は限られているものの、非常に目立ちます。なぜなら、これら子供は全く治療をせず、そのまま放置されているむし歯の数が尋常ではないからです。極端な話、生えてきた永久歯以外のほとんどの乳歯がむし歯であることも珍しくありません。これは、間違いなく保護者に責任があります。

どうして子供のむし歯を放置しているのか?経済的な理由が考えられるかもしれませんが、義務教育において全国各地の公立学校では何らかの形で治療を補助する制度があります。むし歯の治療も治療の補助対象となる病気の一つで、保護者は全く自己負担することなく、場合によってはわずかな額を負担することもあるかもしれませんが、自治体かの医療補助が受けられるはずです。
そんな医療補助があるにも関わらず、子供のむし歯の治療を放置するのは、やはり保護者や家庭に何らかの事情があると判断せざるをえないのです。

これまでは学校の定期健康診断というのは、多くの生徒たちを対象とした集団指導の意味合いが濃かったのですが、今の定期健康診断では、保護者や家庭の事情を考慮した、個別指導を行う必要が生じてきたように思えてなりません。物事は時代とともに変化、変貌するものですが、学校の定期健康診断も時代の流れとともに変わりつつあると言えるでしょう。



2008年06月05日(木) 診察券の再発行について

昨日、所用で車を運転しながらあるラジオ番組を聴いていると、医療機関の診察券についての話題が出ていました。内科や外科、皮膚科、耳鼻咽喉科、そして、歯科医院の診察券がたまり、管理ができず無くしてしまうことが多いという話でした。

この話、わからないわけでもありません。かくいう僕もいくつもの病院、診療所の診察券を持っているからです。

僕の場合、持っている診察券の多くは過去に働いていた病院の診察券が大半です。病院に勤務する際、一種の職員としての証明として診察券が手渡されたことが多かったのです。診察券を通勤タイムカード代わりに使用して病院に勤務していたのです。この診察券を実際の診療で使うことはありませんでしたが、それでもいざと言う時のための安心感はあったものです。
今となってはこれら診察券の病院は今の自宅からははるか離れた場所にあるため、実際に使うことはまずないでしょうが、自室の机の片隅に保管しています。
問題は家の近くにある診療所の診察券の場合です。基本的に僕は必要と思われる診療所の診察券は財布の中に入れる主義なのですが、最近、僕の財布の中にはやたらカードが増えてきて管理に困っています。というのも、クレジットカードがやたら増えてきているからです。

近くの家電量販店、ガソリンスタンド、スーパーマーケット、ショッピングモール、携帯電話販売店などなど、様々な場所でクレジットカードを作る誘いを受けます。クレジットカード払いであればポイントがついて、お得だとか、割引がある、ポイントがたまるとマイルと交換できるという宣伝文句にのせられ、ついついクレジットカードが増えていくばかり。そのため、僕の財布の中にはいつしかクレジットカードが増え、財布の中に入りきれなくなりました。そこで、普段最低限使用するクレジットカードだけを常備している財布に入れているのですが、おかげで診療所の診察券を入れるスペースが限られているのです。

僕は、普段使用しないクレジットカードや診察券は自室の机のある場所に保管することにしています。そのため、あまり紛失することはないのですが、それでも、時には必要とする診察券が目の前から無くなっていることもあり、自分の管理不足を痛感することもあるのです。

うちの診療所の場合、診察券は紙製のものです。基本的に一回の初診から治療終了までを一枚として発行していますが、大きい診療所や病院の場合、診察券に磁気カード式を採用していることが多いです。このような場合、診察券を紛失すると再発行のために一定の料金を取られることがあります。これに対し不満を持っている人もいるかもしれませんが、診察券には様々な個人データが入っています。コンピューターによって患者情報が管理されているような医療機関の場合、一人の患者情報管理にはそれ相当のコストがかかっています。そんな医療情報の源となる診察券を紛失されると、病院としてはかなりの負担を強いられるのです。そこで、紛失した場合、患者さんには応分の負担をお願いせざるを得ないというのが実情なのです。
うちのような弱小歯科医院の場合、診察券は簡単に、無料で再発行できますが、磁気カードタイプの診察券の場合、再発行は無料でない場合が多いことを知っておいてほしいと思います。



2008年06月04日(水) 台所に立ったことが無い男

「結婚して今年で13年目になるけど、そうさんが台所で料理をしている姿を見たことがない。」

嫁さんに言われた言葉です。この言葉、正確ではありません。実は僕は結婚してから台所で料理をしたことがあります。それは上のチビの出産の時、嫁さんが不在で家に僕一人だけがいた時です。何を料理したかどうかは敢えて書きませんが、その時以外、確かに僕は台所で料理をしたことがありません。それどころ、これまで生まれてから台所に立って料理をしたことはほとんどありません。包丁を握ったことも片手で数えるほどしかないでしょう。チビたちからも

「パパが料理を作ることは絶望的だね」
と言われる始末・・・。

どうしてなのだろう?自分で自問自答してみました。幼少の頃、僕はお袋の祖父母と一緒に暮らしていました。親父とお袋は歯科医院を開業して間もない頃でしたので、家事全般は祖母が切り盛りしていました。大正生まれの祖母は昔気質なところがある人でした。家事については男がやるものではない、男は仕事に専念するべきもの、家を守るのは女の仕事と固く信じ、自らも実行していた人でした。そんな祖母ですから、台所に関しても自分の城であるという思いが強く、つねに祖母が台所に立って料理をしていたのです。
そんな祖母は僕に

「料理はおばあちゃんやお母さんが作るから、あんたは料理ができるまで待っておきなさい」
と何度か言われていた記憶があります。
このことが頭の中に刷り込まれてしまったわけではないでしょうが、僕は台所で料理を作ることは祖母やお袋の家事をする邪魔であるように感じたまま、年だけ食っていったように思うのです。

昨今、男性でも料理が上手な方がたくさんいます。何よりも有名料理人や有名シェフと呼ばれる人たちの大半は男性です。男性が料理を作ってはいけないルールは何もありません。
普段は仕事がありますから台所に立つ時間はあまりありません。けれども、休みの時ぐらいは台所に立ってもいいのではないかとは思います。料理そのものには興味がありますが、実際のところ、料理を作るために台所に立つとなると・・・。
ソレ相当の気合が必要そうです。



2008年06月03日(火) 美人の歯の治療は緊張しないのか?

「有名な政治家や社長、美人女優の歯の治療をして緊張しませんか?」

先日、ある知人から尋ねられた質問です。歯医者をしていると、たまに周囲からこの手の質問を受けることがあります。それに対し、僕はいつも同じ答えを言います。

「例え有名人が患者さんであったとしても、歯の治療は緊張しませんよ。」

僕自身、非常にミーハーな人間です。自分の目の前に有名人が出現すれば非常に緊張してしまう性質です。もし、自分の前に好みの美人がいようものなら、それこそ宙に浮いてしまうが如く、地に足がつかなく、浮ついた感じになることは目に見えています。

けれども、歯の治療となると状況は異なります。なぜなら、僕にとって歯の治療とはどんな人でも変わりのない、差別できないものであるからです。
歯科医院に来院する患者さんは歯や口の中に何らかの症状、悩みを持って来院されます。最近では、症状はないけども、歯の健康維持のための定期検診、メインテナンスに来院する患者さんもいますが、歯や口の中のことが気になっているという点ではどの患者さんにも共通です。そんな患者さんに対し、自分の出来る限りの知識、技術をもって答えるのは歯医者の仕事であり義務です。僕は、自分の治療そのものや治療結果に対しては緊張しますし、気になりますが、目の前の患者さんに対しては誰であろうと気になりません。どんな有名人であっても、友人、知人であっても、親族であっても患者は患者。口を開けてくれれば、患者さん個人のことは全く気になりません。

と格好良く書いていますが、実際のところ、治療中は患者さん個人のことまで気がまわらないのが正直なところです。患者さんの悩みや症状を少しでも緩和したい、治したい。そのために治療には専念するのですが、治療に集中していると患者さんの口の中のことには気がまわっているものの、患者さん自身のことは忘れてしまっているのです。結果として、患者さんが有名であったとしても何も気にせず治療をすることができるわけですね、ハイ。



2008年06月02日(月) 高速水着 マウスガード ドーピング

先日、某スポーツニュース番組で日本のプロ野球の試合経過をしていました。何気なく見ていると、僕はある選手の口元に自然に目が行きました。それは、その選手がマウスガードを装着していたからです。




以前にもマウスガードについてはここにも書きましたが、ボクシング、キックボクシング、K−1、アメリカンフットボールをはじめ、ラクロスやインラインスケートなどのスポーツではマウスガードの装着が義務付けられています。競技中、顔面や頭部への接触する機会が多いスポーツでは、口の中にマウスガードを常時装着することにより歯や口の中の粘膜損傷を防いだり、脳震盪の予防、軽減することができます。
しかしながら、全てのスポーツでマウスガードを着用しているかというと、そうではありません。マウスガードの装着義務化は一部の競技に限られていたり、一部の競技者が自主的に装着しているのが現状です。

ところで、歯の噛み合わせと運動パフォーマンスの関係については、現在いろいろと研究が進んでいます。よく、アメリカ大リーグの選手が試合中にガムを噛み続けているのはプレーのパフォーマンスが上がるのだと言われていたり、マウスガードの装着によりゴルフ選手の飛距離が増したり、陸上選手のジャンプ力が向上したりするという話を伝え聞きます。

そこで、問題になってくるのがドーピングです。
ドーピングについて多くの方が一度は耳にしたことがあるでしょう。日本オリンピック委員会によれば、ドーピングとは“競技能力を増幅させる可能性がある手段(薬物あるいは方法)を不正に使用すること”とのこと。

今のところ、ドーピングは薬物の使用について規制が注目されており、最近ではプロ野球読売ジャイアンツの外国人選手がドーピング問題で出場停止処分を受け、即刻球団から解雇されるということになりました。
このドーピングですが、ドーピングは何も薬物の使用だけを前提しているわけではありません。“競技能力を増幅させる可能性がある手段(薬物あるいは方法)を不正に使用すること”なのです。何らかの不正な方法により著しくアスリートの競技結果に不公平が生じた場合も、ドーピングの対象となりうるです。
ということは、マウスガードの使用においても、もしマウスガードの使用によりアスリートの運動能力が上がることが科学的に認められれば、全ての選手がマウスガードを着用しないと不公平を生じることになります。
現在のところ、マウスガードはあくまでも競技中に発生する可能性がある歯や粘膜、頭部への怪我防止のために着用することが目的とされています。歯の噛み合わせと運動能力との関係は相関関係があるようなことが言われていますが、実際のところは完全に証明されたわけではありません。ただ、今後アスリートの運動能力に対する研究が進めば、マウスガードの使用にも制限がつくか、もしくは、全選手着用の義務が生じるかもしれません。

そういった意味では、現在言われている某社の高速水着もドーピングに引っかかる可能性があるとも言えます。一部の会社の水着を着用した選手が世界記録を連発し、そうでない会社の水着を着用した選手のタイムが伸びないということになると、選手間に不公平が生じます。本来、水泳はスイマーの運動能力を競う競技であるはずなのに、それが水着の種類によって左右される状況になる。これはドーピングの観点から言えば、ドーピングに抵触するのではないかと思います。


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