My life as a cat
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2021年04月22日(木) エネルギーの矛先

新居の鍵を受け取った。まだこの新居購入のことで片付けねばならない課題は沢山残っているのだが、やっと折り返し地点くらいまでは来たのか。この件には不動産屋、公証人、家のオーナー、銀行など色んな人が絡んでくる上にここはフランス、何もかもが無意味に煩雑で、人々は仕事を8割こなせばよしとしてるようだしで、物事がすっぱりスムースに行くことはない。これがけっこうなストレスとなってわたしに重くのしかかっていた。忙しい仕事をやっと終えて帰宅したリュカがメールボックスを開き、肩をがっくり落として溜息をつくのを見るのも辛い。今日もあれこれあって朝掃除をしながら、解決策を考えながら、どうしてこんな目にあわなきゃいけないのか、また気が沈みかけそうになった時、ふとカウチの上で寝息をたてる小さな生命が目に入る。あぁ、なんて愛しいのだろう。一日はおっぱいとおむつに暮れていく。その合間に駆け足で家事をする。どうしたらより上手に効率よくできるかと考えたりするから、体はもちろん頭も使ってる。目が回るような一日の終わり、床に就くやいなや数秒で深い眠りに落ちていく。ネガティブな思考に費やすエネルギーがあるなら、もっと家族のために働きたい。もう家の契約のことに気を揉むのはやめよう。わたしの人生の貴重な時間は、この小さな生命を養い、甘い時間を共有することに費やしていこう。そう決めた。

午後、新居のドアを開け中に入って周囲をみまわす。クロちゃんは階段を上ったり下りたり走り回ることだろう。ロクちゃんはこの家から学校に通う。わたしは庭で野菜を育て、暖炉で焼き芋焼こう。来週は引っ越し、公証人のオフィスでの契約、今の家の引き払い。何が起こるかわからない。欲しいのは動じない心。この甘い空想だけを握りしめて、来週にそなえよう。



2021年04月18日(日) ネトルティー

アーユルヴェーダやヨガに傾倒する人々からよく"ネトルティーを飲んでいます"とかいうのを聞いてた。ふ〜ん、くらいに聞いてたのだが、血液浄化作用があるので授乳中の方や、花粉症の人にも効果があるという言葉にピクリと反応する。まさにわたしは授乳中だし、リュカはこの春急に喉がいがいがと痒くなってくしゃみが止まらない。よし、試しにこの"ネトルティー"とやらを飲んでみようではないか。調べてみると"Nettle"とは英語、さてフランス語では・・・"Ortie"!!!なぁ〜んだ、そこら中に生えてる雑草ではないか。クリスティーヌの庭で野菜を栽培してた時、彼女が教えてくれた。

「Ortieっていう雑草がそこら中に生えてるから、摘んできて、水に入れて腐らせといて、それを肥料にするといいよ。この雑草、スープにしたりお茶としても飲めて、栄養満点なのよ」

雑草だが、そう苦味もなく食べやすいので、寒さが和らぐようになると、野草のパンゾッティを拵えて春を愛でた。

試しに飲んでみよう、そう決めて、毎日ロクちゃんとの散歩の途中に1日分を摘んでくる。数日飲んだ感想は、味は癖がなくて飲みやすい。利尿作用があるのか、浮腫がよく取れて、体重が減った。母乳の質があがったのかどうかはわからない。リュカの花粉症のような症状は変化なし。もう少し続けてみよう。


最近気に入ってよく作るポテトのサブジ。日本で言う肉じゃがといったところか。既に炭水化物なのにこれがまたご飯によく合うんだな。冷めても美味いのでお祭りのようにわんさか作り置きしておいて、食事にはもちろん小腹が減った時に余ったバゲットの切れ端に乗せて食べてみたりもする。






2021年04月08日(木) アーユルベーダ治療院のデトックスレシピ

散歩の途中、タイツがずり落ちてきて、何度も立ち止まりずりあげるを繰り返す。なんて不快なタイツ、と思ってふと思い出す。そうだ、これマタニティ用だった。そりゃ、今より体重が13kg重かった時、しかも主に腹回りにその体重が集中してた時に履いてたんだから、ずり落ちてくるわな。体重は順調に元に戻ってきて、あと2kgで元通りというところ。妊娠中期くらいから、とにかく体重がすぐに増えてしまって、なんとかしなければと友人が置いていった「アーユルベーダ治療院のデトックスレシピ」を引っ張り出してきて作りはじめた。ざっとレシピを眺めた時は少量の油、少量の塩、ときには塩なしと、病院か、という感じで食指が動かず放置してたのだが、作ってみたら、簡単・美味しい・体重減るでいいことずくめ。出産後もロクちゃんに時間を取られて、あまり凝ったものを作ってられないし、何よりも体重を元に戻したくて、とにかくこの本は常にキッチンに置いてる。大抵はランチはこの本の中から何か選んで作って、夜はパスタでもピッツァでも好きなものを食べるというパターン。しかしひとつ問題が。一緒に食べてるリュカの体重も減ってきてしまってること。リュカには1.5倍くらい大盛りにしてるにも関わらず。結婚して太る男性は多いというが、我が家は逆。リュカは痩せ細ってきてて、昔の知人などに会う度にどうしちゃったのかと聞かれる始末。そのたびに優しい彼は、

「いやぁ、結婚して妻がバランスの良い食事を作ってくれるんで、体重が落ちてきて・・・」

と、答えてくれるのだが。体重減らしたい人と増やしたい人の共同生活はちょっと難しいものだ。

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ペディキュアを受けた。足の爪にポリッシュを塗るやつではなくて、こちらでペディキュアというのは、足の手入れでちゃんとした資格を持った人が施術し、保険の種類にもよるが任意保険で支払われる。乾燥した足裏の皮膚を少しスムースにしてクリームを塗り、爪の甘皮をクリップしてもらう。若かりし頃、巻爪で歩行困難になったことがあるのでその爪もきれいに整えてもらった。施術してくれた女性が、施術中わたしの胸ですやすや眠ってるロクちゃんを見て言う。

「うちの娘は今5ヶ月なのよ」

「今は誰が面倒見てるんですか?」

「ヌヌー」

「泣いたりしませんか?」

「生後3ヶ月目で仕事復帰したから、それから預けてるけど全く問題ないわ。もう固形のもの食べさせてるけど、よく食べるみたい」

一瞬たりともロクちゃんの成長を見逃したくなくて、目を血眼にして開眼してるわたしには、想像できないことだった。経済的にやっていけても、仕事がある限り、すぐに職場復帰する人が多いこの国。仕事はいつでもできるけど、子供が子供で、自分にひっついていてくれる時期なんてほんの一瞬なのに・・・。

妊娠中手が届きにくくて手入れを怠っていた足は、ぴかぴかにキレイになって、スッキリした。もう2kg落として元通りになったら、もう一度施術してもらおうか。

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最近観た映画のこと。

●Leave No Trace(邦題:足跡はかき消して)
親しか知らず、親にずっと着いてきた娘が、父親と少しずつ違う道を知っていく様子、成長して自我が芽生えてきて、自分の意志を貫こうとしたりするようになった娘に狼狽する父親の様子がリアリティがあって面白かった。

●Nomadland(邦題:ノマドランド)
フランシス・マクドーマンドが出演してるというだけで、期待し過ぎたかな。クリスマスのシーズンだけアマゾンの梱包の仕事があったりするのがリアルなアメリカ的。ファーンはノマドライフに不満はないようなことを言ってても、ふとした瞬間に"あんたみたいな人達のせいで家を失った人がどれだけいると思ってるんだ!!"みたいに義理の弟を攻撃してみたりするところに本音がでててちょっと辛かった。もう少しアメリカ社会の闇の本質みたいなものを理解できるんじゃないかって期待して観たけど、ヒッピーみたいに"時間だけはたんまりあります"という雰囲気で、空模様とファーンがひたすら歩いてたりするシーンが多くてがっかり。

●Penguin Bloom(邦題:ペンギンが教えてくれたこと)
家の窓に取り付けられた手すりがちょっと緩んでて、リュカが"この手摺に体重を預けないように"と窓を開く度に注意してくるのをうるさがってたけど、この映画を観てヒヤッとした。子供や動物の力は偉大。そしてその子供を授けてくれた旦那さんが、大きな愛を持って我慢強くずっと寄り添っていてくれたのがよかった。ニューポートのこの家族の家やその周辺の風景はとても美しいのだけど、なんとこの映画のベースとなったブルーム家で撮影されたんだそうだ。オーストラリアの空気と空が恋しくなった。

●MOTHER AND CHILD(邦題:愛する人)
自分に子供ができたせいで、こういう親子の愛とかを描いたものにはどっぷり感情移入してしまう。もうあのアダプションのくだりなんか、あの若い女の子が心変わりするんだろうなって想像できてしまった。だって、そんなに子供に興味のなかったわたしだって、ロクちゃんがお腹からでてきた瞬間から全てが変わってしまったのだから。

●Minari(邦題:ミナリ)
登場人物全てがリアルな感じでけっこう笑った。韓国人の夫婦喧嘩とか、アメリカ奥地での彼らに対する周囲の反応とか、極めつけはあのグランマ。噛んだ栗くれたりとか、おねしょしたら"壊れチンチン"とか呼ばれたり、そりゃ子供も引くわ。こんなグランマでもお嫁さんは尊敬した態度でいるのとかも韓国っぽいな。でも最後にはデイヴィッドがグランマの為に走るシーンは感動だった。


Michelina |MAIL