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2021年02月21日(日) |
10 ways to have a better conversation |
Ted.talkでのCeleste Headleeさんのスピーチ。
"10 ways to have a better conversation"
1. Be present in that moment・・・その時、その場所にいるということ。電話をいじっていたりするのはやっぱり失礼だし、相手の目を見ながら聞かなければ本意がつかみにくいものね。
2. Don't pontificate・・・一方的に話さない。この辺りにはそういう人本当に多いのだよなぁ。フランス語が出来ないから喋らないと思われてる部分は多々あるけど、まずもって相手が一方的にマシンガンのごとく喋ってて口を挟めないのだ。人に質問しても、こちらが回答を考えている間に"あっ、そんなこと聞かれたくないわよね"とか勝手に自分で回答を決めてしまう人とか。こういう人との会話は苦手。
3. Use open ended questions・・・会話が広がるような質問をする。Yes,Noで答えられるものではなくて、"それでどう感じたのか?"などと質問して相手に考えさせて面白い話をさせるということ。
4. Go with the flow・・・自然の流れに任せる。多人数で会話をしてる時なんかに起きやすい。聞きたかったことを聞く前にもう会話が他に移行してしまってたり。
5. If you don't know say that you don't know・・・知ったかぶりしない。
6. Don't equate your experience with others・・・あなたの体験と他者の体験を混同しない。
7. Try not to repeat yourself・・・何度も同じ話ことを繰り返し言わない。
8. Stay out of weeds・・・`聞き手にとって年号や名前など詳細はさして重要ではない
9. Listen・・・とにかくよく聞く。"口が開いている時は何も学んではいない"とはブダの言葉。
10. Be brief・・・簡潔に。話にストーリーがあるのと無駄に長いのは違うから気をつけよう。
先日あるリュカの知人家族にランチに招かれた時のこと。奥さんはとにかくよく喋る人で、この日もテーブルの上は奥さんのマシンガントークが炸裂していた。それを受けるのはとにかく無口なひと回り以上年下の旦那さんではなく、この奥さんほどではないが、かなりお喋り好きなリュカ。黙って聞きながら食べていたら、ふと矛先を向けられた。
「フランス語のほうはどう?上達した?やっぱり会話になかなか入ってこれない?」
「会話に入れないのはフランス語云々ではなくて、母国語だってフランス人がよくやる一方的マシンガントークには入れませんよ」
リュカが言う。
「日本の映画とか観てると、一人がぽつりと何かひとこと言って、次の人がまたぽつりとひとこと言って・・・ってそういうスタイルだもんね。こんな風にひとりが長く喋り続けることはないんだ」
「あなたそれについてどう思うの?」
「う〜ん、会話スタイルの違いですよね。フランス人はお喋りのスキルは日本人よりもずっと高いなって思うけど、逆にもう少し聞く姿勢を養ったほうがいいかなって思う人が多いのは否めないかな」
と答えた。この日わたしが喋ったのはこれくらいだったと思う。
後日、奥さんがわたしのことをリュカにこう言ったそうだ。
「彼女は口数は少ないけど、自分の意見はかなりしっかり持ってる人ね。話してるととっても面白いわ」
自分の主張もすごいけど、他人の意見はそれとして敵意を持たずに聞けるのもフランス人のいいところと思うところも多々ある。それにしてもこの家族、ちょっと面白くて、旦那さんと娘さん(ふたりとも無口)は食事が終わるとさっさとカウチへ移って寛ぎながら本を読んだりし始めるのだ。食卓に残されるのは奥さんとゲスト。別の友人も招かれた時、ぴったり同じパターンだったと言ってたからいつものことらしい。食卓では奥さんとリュカの声だけが響いていた。
2021年02月17日(水) |
Lovin’ you |
ロクちゃんの事情とわたしの事情をうまくアレンジできて、静かに朝食を摂れる日は嬉しい。夕飯後から、4、5回程授乳してるせいで、酷くお腹を空かせてやっとありつく朝食の美味しいことよ。今日は自家製のフルーツグラノーラ。リュカが作って常備してるスペルト小麦(petit épeautre)のミルクを注いでいただく。
ロクちゃんはうんちもおしっこもかなりトイレ(といってもただの大きなボウル)でこなせるようになった。わたしはピッピッとかカッカッと掛け声を出すのがだるくなったので、合図の音楽を一つ決めて流すことにした。選んだのはミニー・リパートンの"Lovin' you"。曲の長さも3分ちょっとでちょうどいい。してもしなくても、曲が終わるまでは待つことにしてる。目を見ながら一緒に歌ってあげる。歌詞はわたしの気持ちそのもの。
Lovin' you is easy 'cause you're beautiful
Makin' love with you is all I wanna do
Lovin' you is more than just a dream come true
And everything that I do is out of lovin' you
La-la-la-la-la
La-la-la-la-la
La-la-la-la-la-la-la-la-la-la
Dodn-dodn-do-do, a-a-a-a-a-oh
No one else can make me feel
The colors that you bring
Stay with me while we grow old
And we will live each day in springtime
'Cause lovin' you has made my life so beautiful
And every day of my life is filled with lovin' you
Lovin' you, I see your soul come shinin' through
And every time that we-, oh, I'm more in love with you
La-la-la-la-la
La-la-la-la-la
La-la-la-la-la-la-la-la-la-la
Dodn-dodn-do-do, a-a-a-a-a-oh.......
そういえば先日"Loving"という映画を観た。異人種間の結婚が違法だった時代、愛のために戦った夫婦の実話ベースのお話。異人種間の結婚をして、混血児を授かったわたし達夫婦にとって、ぐっさり刺さってくる話だった。アメリカ映画の典型のような大袈裟なめくるめくドラマティックな演出はなく、熱い血が音もたてずとくとく流れるのをじりじりと見せられてるような静かな展開だったのが余計胸に響いた。ミルドレッドは黒人とカテゴライズされてたけど、どちらかといえば"カフェ・オ・レ"で、もう彼女自身が既に混血な雰囲気。白人至上主義とかいうけど、どこまで白人って言うのかな。ロクちゃんを産んだ産院で、助産師さんの一人が、しきりに褒めてくれた。
「この子本当に可愛らしい顔してるわ。混血児は頭も良く育つわよ」
より遠くまで飛んだ種は強いということ。わたしが住んでる町ではその昔家族・親戚間で子供を作ってしまう人など結構いて、やっぱりかなりの確率で奇形児だったりちょっとおかしい子になってしまったんだそうだ。
それにしてもタイトルの"Loving"は主人公夫婦の名字だという。なんて素敵な名字。わたし達は夫婦別姓だけど、こんな名字だったら変えてもいいな。
出来たぁ!!!!!
トイレで悲鳴をあげる。その声に友達と電話で話してたリュカが飛んでくる。そこには下半身裸で泣き喚いているロクちゃんと飛び上がって喜んでるわたし。
「もしかして・・・本当に?!?!?!」
これにはリュカも驚いた。巷で流行ってる(?)"おむつなし育児"とやらに挑戦しているのだ。先日おむつを取って、支えながらトイレにお尻を当ててみた。"ピッピッ"、"カッカッ"などと合図の声をかけてあげると覚えやすいというのでそのように唱えて。お尻が裸で寒いのか、その体勢が嫌なのかひたすら泣き喚くロクちゃん。3分くらいやっていたがなんとなく無理そうな気がして諦めた。
「それやり続けたら、ロクちゃんが初めて発する単語は"パパ"とか"ママ"じゃなくて、"ピッピ"か"カッカッ"になるだろうな」
とリュカ。わたしの母も、お義母さんも、みんな口を揃えて、早すぎると言った。
一度目は惨敗。もう一度あれこれ記事を読み、対策を練る。寝起きや授乳後のタイミングでするのがいいというんで、今夜二度目のトライ。また泣き喚くも、1分程して突然ぴゅーん!っと放尿したのだった。支え方が悪かったせいで尿はロクちゃんの脚と便座にかかってしまったのだが。出来た!出来た!お義母さんに報告すると、
「偶然じゃない?」
と言われる。ところが今日二度ほど寝起きを狙ったところ、二度ともちゃんと出来た。これはもう偶然なんかじゃないだろう。出先などでトイレに連れていけない時もあるだろうから、逆にトイレでなければできないとなると可哀そうなので、完全おむつなしは目指さないが、半分くらいトイレでこなせるといいな。
赤ちゃんの成長は目まぐるしい。たった50日前、ロクちゃんが産まれた日のことを思わない日はない。人生で最高の日だった。最高に幸せで不思議な日だった。体はぼろぼろで、胸がじんじんと熱かった。どんどん目鼻立ちがはっきりしてきて、可愛いねと言われるけど、わたしは産まれたての顔がパンパンに浮腫んでて、汚れてて、掘りたてのじゃがいもみたいな佇まいで、わたしの人差し指を手いっぱいに握りしめて泣いてたロクちゃんがもう恋しい。明日はもう今日のロクちゃんには会えないんだと毎日寝る前に思って、眠るのが惜しくなる。毎日その繰り返し。時は無情に過ぎ去っていく。
ロクちゃんに、と頂いたぬいぐるみ。なんでも電子レンジで温められるんだそうだ。滅多に使わなくて洗面所の隅に追いやられて埃をかぶってた電子レンジを出してきて、温めてみる。人肌に温かくなってラヴェンダーの香りがしてくる。
「アミちゃんとねんねしててね」
横たわってるロクちゃんの体の脇にそっと置いてあげる。2時間くらいして触ってみたらまだ温かかった。へぇ、面白いのがあるものだな。姪っ子ちゃんにも買ってプレゼントしようかな。でも日本は何でもアンテナ張ってるから、こんなのこちらから送らなくてもどこでも売ってるのかもな、そう思って見てみたら意外に流行ってない。姪っ子ちゃん本人に聞いたら欲しい!というんで、ロクちゃんと同じのを買って送ることにした。彼女は3歳にして本当にはっきりしてて大人びてる。何を聞いても迷って体をもじもじくねってたりすることはなく、明確な答えがかえって来る。
「好きな食べ物はなんですか?」
「野菜!」
「マフラー編んであげようか。何色がいい?」
「ピンク!」
といった調子。両親が遊びに行くと、帰り際、
「今日は来てくれてありがとうね。右見て、左見て、もう一回右見て、気をつけて帰るんだよ」
なんて言うんだとか(笑)。日本を去った時は、横たわって泣いてるだけのべべちゃんだったのにな、こんなに成長しちゃって。会いたいな。
5歳下の妹は、ずっと小さな女の子のようだった。何歳になっても両親がそのように扱い続け、本人もその役割に甘んじてた。18歳で家を出たわたしは、たまに実家に帰ると、ぎょっとするようなことが多々あって、たちまち居心地が悪くなった。わたしと妹の関係性も何年経っても変わらなかった。何があっても頼れない。わたしが何とかするしかない。一緒にどこかへ行っても何をしてもそう思ってきた。妹はわたしに世間の色んなことを聞いてきたが、わたしが彼女から何かを教わることは期待できなかった。両親も年老いてきてるのに、いつか彼らが死んだらこの人はどうするんだろう?家族のことを思う時、いつもそんな心配がどこかにあった。一度そんなことを会社の同僚に話したところ、彼がこんなことを言った。
「そういう人はね、遅咲きなんだよ。気長に待ってたらいつか咲くから」
彼は正しかった、と今思う。妊娠してから妹とよく話すようになった。わたしは、妊娠、出産、赤ちゃん、子育てとかこういうことには全くもって無知だった。ところが妹は、たった一人出産しただけでも、助産師にでもなったらいいのに、というくらい知識が豊富だった。さすが、自分が子供の時から"子供が欲しい"なんて言ってた人は違う、と思った。わからないことがあると母と妹に相談する。ネットでは色んな情報があり過ぎて、何を信じたらいいのかわからないとき、身近な家族の意見が一番信頼できる。ずっと小さな女の子だった妹は、いつのまにか逞しい母親の顔になっていて、すっかりわたしの中の記憶を塗り替えた。
(写真:緑色のベイビーコクーンは友人が編んでくれたもの。沢山の贈り物を頂いて、祝福されて生まれてきたロクちゃんはなんて恵まれているんだろう)