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2014年03月29日(土) |
Monthly potluck |
クラシカル音楽同好会のパーティーへ。昨年末に催されて以来、大好評につきマンスリーイベントとなった。食べ物と飲み物は持ち寄りなのだが、特に楽器を演奏する人は演奏前はあまり食べたくないと言うし、そもそもみんな食が細いのか、持ち寄り過ぎなのかいつも大量に余ってしまった。経験から次回は少な目に持ち寄ろうということになったのだが、今夜は何故かガタイのよいヨーロピアンが多くて、すごい勢いで酒が出る。意気投合したイギリス人男性と飲みながら演奏を聴いていたら、突然彼がストレッチをはじめた。聞くとこれから演奏して、しかも歌うというではないか。
「酒が入ったほうがうまくできるの」
観客席で見守っていると、クラシックギターとアコーディオンのコンビで調子よく弾き語りをし、また戻ってきてワインで喉を潤している。結局酒は尽きて、誰かが近くの酒屋に買いに走った。大酒飲みコンビは車のガソリン補給の如く、すごい勢いでアルコールを体内に入れ、エネルギッシュに演奏し、歌い、しゃべり続けた。ジプシーのようなこのコンビは、聞けばふたりとも大学教授というお堅い職についているというではないか。
いつも素人のわたしが聴いても違いが解るくらいの素敵なバイオリンを奏でてくれる日本人の男の子は、相変わらず飲み食いせずじっと演奏を聴いてた。
このイギリス人男性が隣でマーガレットリバーだのコテスロービーチだの言うので、気分はすっかりパースの金曜の夕方のアイリッシュパブにタイムスリップして、飲み過ぎてしまった。試験勉強に面接の準備に、仕事だって一生懸命やってる。気候もいいし、たまには飲みすぎたっていいよねと自分を諭しながら家路についた。
今年に入ってぼちぼちやり始めた転職活動。オンラインで情報を登録しておくと、スカウトメールのようなのも沢山くるが、そういうポジションはたいてい無意味に″キツイだけ″のような空気がむんむんと漂っている。わたしが社会で学びたいのは″忍耐″ではない。と思えば、″タクシードライバー″なんてのも紛れてて吹き出してしまった。危険の伴う仕事だけど、ドライブ好きだからそう悪くないかな(笑)。
今日は初の面接で虎の門までいってきた。女性面接官二人と15分くらい面談して、あっさり終わった。
″就職活動″をするのは新卒の時以来で、社会人経験が全くなかった時は何もかもが恐怖だった。面接に行っても表情が強張っていたのだろうし、こちらが相手を見るという余裕はなく、雇ってくれるものならありがたいと思っていた。一皮剥けたなとしみじみ思うのは、こちらだって相手をじっくりと見る余裕が生まれたことだ。アメリカからきた知人に小さな会社を経営しているのがいる。小さな会社だが生み出す利益は大きい。成功の理由の一つには一緒に働く人選を間違えなかったことなのだろうと思い、採用の決め手を聞いてみた。
「決め手はないけど、同じような職種でこれだけの経験があるとか表面的にそういう強みのある人を雇ってみたことがあるけど、大抵はじめたらそう良い成績を残さなかったな。逆に未経験という人でも呑み込みがよくてよくやりこなすのもいる。だから僕は″経験″じゃなくて″人″を見るの」
わたしは経営者じゃないけど、同僚とか見ててもそうなんだよね。他の会社で似た経験を積んだって、やっぱり所変われば未経験なの。でも自分は経験があるっていう思い込みで適当なことやっちゃったりする。それが逆に新卒の人なんかだと、新しい目線で変なところで突っ込みいれてみたり、意気込みだけですごい威力を発揮したりして。
帰り道、京橋の越前屋に寄って初心者の刺繍道具を一式買った。向かいのカフェに入り、チクチクとさしてみた。難しいけど、おもしろい。同僚から借りた初心者向けの本とにらめっこすること2時間。なんでもないカーディガンの胸元に春が訪れました。
(写真:記念すべき初刺繍作品と誰かさんの手)
2014年03月22日(土) |
Because I am a girl |
PlanというNGO団体が推進する″Because I am a girl"キャンペーンのチャリティーコンサートへ行ってきた。本日の演目はオペラ「フィガロの結婚」。既婚者の伯爵が浮気を試みて妻を悲しませ、最後には深く反省し妻の元に帰るというはなし。妻の寂しさを唄った"Dove sono i bei momenti(楽しい思い出はどこへ)"は、字幕を見なければ理解できなかったが、絶対と信じた愛を失っていく時の胸の疼きが悲鳴のように切ない響きを放って、心を抉られた。愛は冷めるということがいつの時代も同じなら、終わらない愛を信じるということもいつの時代も同じ。どんなに文化が進化しようとも、それでも″信じる″人間の生命力のようなものは変わらない。
コンサートの収益金の半分はPlanに寄付され、不当な扱いを受けている女の子達の教育や安全な水の確保に使われる。ちょっとした予習として7人の有名作家やジャーナリストが現地へ赴き、取材して、実話をもとに書かれたという短編集″Because I am a girl"をざっと読んだ。作家は錚々たるメンバーで、角田光代さんが日本語に訳している。以下Amazonのアウトラインを抜粋する。
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[著者]
ティム・ブッチャー(Tim Butcher)
『デイリー・テレグラフ』紙の元海外特派員で現在はジャーナリストとしてノンフィクション作品やルポを執筆している。
グオ・シャオルー(Xiaolu Guo)
小説家、映画監督。ロカルノ映画祭金豹賞を受賞した『中国娘』やクレテイユ国際女性映画祭で最優秀フィクション賞を受賞した『How is Your Fish Today?』などの作品がある。
ジョアン・ハリス(Joanne Harris)
小説家。ホワイトブレッド賞最終候補作で後に映画化された『ショコラ』をはじめとして『ブラックベリー・ワイン』、『1/4のオレンジ5切れ』(以上、角川書店)などの著作多数。
キャシー・レット(Kathy Lette)
小説家、コラムニスト、脚本家。『渚のレッスン/ハイスクール・グラフィティー』(近代映画社)など著作多数。小説は14ヵ国語に翻訳され、2作は映画化もされている。
デボラ・モガー(Deborah Moggach)
小説家、脚本家。『チューリップ熱』(白水社)をはじめ著作多数。映画『プライドと偏見』では脚本を手がけ、BAFTA賞候補となった。
マリー・フィリップス(Marie Phillips)
人類学とドキュメンタリー制作を学んだのち、テレビ局の調査員、フリーの書籍販売人として働く。『お行儀の悪い神々』(早川書房)著者。
アーヴィン・ウェルシュ(Irvine Welsh)
小説家。映画化された『トレイン・スポッティング』は世界的ヒットを記録した。ほか多数の著作をもつ。
[訳者]
角田光代(Mitsuyo Kakuta)
1967年神奈川県生まれ。1990年に「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。その後『対岸の彼女』(直木賞)、『八日目の蝉』(中央公論文芸賞)など著作多数。近刊に『かなたの子』(泉鏡花文学賞)『曽根崎心中』『空の拳』など。
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ラクダと引き換えに嫁にいくとか、性器切除とか、ひたすら働かされて教育の機会を与えらないとか、もっと酷いと生まれた瞬間に窒息死させられるとか、人身売買されるとか。なぜなら女の子だから。先進国には女の武器を最大限に利用してのし上がるような逞しいのもいるけど、生まれつき貧困と宗教と家族にがんじがらめにされている女の子達はあまりにも無力だ。教育を受けて、好きなことや好きなひとを自分で選び取れるようになってほしいな。
(写真:Planのパンフレットの表紙。なんとも愛らしい)
2014年03月21日(金) |
さぁ、帰ろう、ペダルをこいで |
3連休。酵母の夜鳴きで目が覚める。なんのこっちゃ(笑)。林檎酵母に林檎ジュースを足して放置しておくと、ガレットの材料にも使われてブルターニュでよく飲まれている″魔法の飲み物″が出来ると聞いて仕込んだら、密閉したはずの蓋の隙間から酵母が鳴き始めて、シュワ〜、サワ〜、ヒュ〜、みたいな夜鳴きを続けていた。
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「さぁ、帰ろう、ペダルをこいで」というブルガリア/ドイツ映画を観た。共産主義社会のブルガリアで制裁を受けながらも自由な心を持って生き抜いてきた祖父と、子供の時に両親に連れられてドイツに亡命した孫。西と東で離ればなれに暮らしたふたりが、孫のアレックスが交通事故で両親を失い、自らが記憶喪失になったことをきっかけに再会し、ドイツから故郷のブルガリアへ自転車をこいで記憶を取り戻すための旅をするというお話。
淡々と進む静かな物語の中に、厳しくて、優しくて、切なくて、甘い、あらゆる感情が散りばめられたような映画だった。祖国で追い詰められた両親が小さなアレックスの手を取ってイタリアの難民キャンプに逃げて、来る日も来る日もパスタ、いつになったらキャンプを出られるのか解らず暮らしたシーンは泣けた。町へ出れば目につく素敵なドレスにレストラン。そこには西側の暮らしがある。お金を持たない家族はそれでもただ町を歩き、時折ふざけて笑いあったりする。以前付き合っていたドイツ人の男の子がさらりとした話がフラッシュバックした。
「僕はドイツ人だけど、生まれはポーランドなんだ。3歳の時に移住したからポーランドのことは覚えてないけど。僕が生まれてすぐにお父さんがひとりでドイツに移住して、その一年後お母さんが移住して、僕は祖父母と暮らして、更にその一年後にやっと僕が両親のいるドイツに渡ったんだって」
移住を決めた理由は知らないが、生まれたばかりの子供と1年でも離ればなれに暮らした彼の両親の気持ちを思ったら涙が止まらなくなってしまった。それから、彼がお母さんが送ってくるドイツのチョコレートを分けてくれるたびに、またその話を思い出しては泣いてしまった。映画ではそれでも家族3人が一緒にいられたのが救いだった。
この映画では社会の自由が必ずしも人々の心の自由と比例するわけでないことが伺い知れる。東のアレックスの祖母はお菓子作りが大好きで、砂糖さえあれば幸せ。砂糖を手に入れるためなら長蛇の列にも割り込んでいくような人だ。一方イタリアの難民キャンプの総長は、難民をキャンプに繋ぎ止め、経費をぎりぎりに削って、国が難民支援に負担しているお金を懐に入れている。バックギャモンにのめり込む東の祖父はゲーム台を地下工場で密造して、お金は賭けないことを鉄則に仲間とゲームを楽しんでいる。アメリカに亡命しようとしていたイタリアの難民キャンプの門番は結局そこに留まった。
「ハンバーガー屋にいると突然何かに苛立った男が銃を乱射するような狂った国なんだ」
という理由で。
光あるところには影があり、またその逆も然り。そして人生はバックギャモンのごとく勝ったり負けたりというのが世の中と人生の縮図なんだね。
しかし、ドイツとブルガリアの間の風景の美しいことよ。いつか見たいな、ペダルをこいで。
2014年03月16日(日) |
失敗した天然酵母中種の食べ方 |
失敗した天然酵母の中種。捨てるのはモッタイナイし、なんとか食べてみようと思う人もいるだろう。わたしは食べ物を捨てるのが大嫌い。なんとか食べられないかと試行錯誤の末、″なんとか″食べられる方法を見つけたので書いておこう。どこかで誰かのお役に立てれば幸いだ。
まず条件は失敗の種類。雑菌が入って異臭を放っているような失敗の中種は残念ながら食べられないだろう。匂いは通常(または少しだけ酸味が出てる)だけどもう元気がなくよれきっているという程度のものなら食べることができる。中種を舐めてみて、すごく酸っぱければ、この先も酸っぱいものしか出来ない。
中種をボウルに入れて水を足してよく混ぜる。フライパンに流しいれることができる柔らかさになるまで様子を見ながら水を足す。
甘いパンケーキにしたければ砂糖を好きなだけ足す。
ネギ餅にしたければ、刻んだネギと塩を足す。
フライパンにたっぷり目の油を入れて生地を流しいれ、ふたをして両面焼く。
もっちりとした食感になってしまうので、ネギ餅と思って食べるとあまり違和感はないが、パンケーキと思うとちょっと違う感じになる。まぁ、バターとメープルシロップをぬれば、″なんとか″食べることができる。
2014年03月15日(土) |
苺の香りのカンパーニュ |
やったー!ついに焼けた。納得のいく酵母液ストレートのカンパーニュ。リンゴ酵母ストレートはうまくいかずいまだに成功していないけど、イチゴ酵母は一発で成功。酵母液の元気がよくて、しかも培養してる時のイチゴの匂いはたまらなかった。こんな条件の良い酵母液が出来たら、この香りを活かしてストレートで焼くしかない。生地を発酵させていてもイチゴの香りが、そして焼き上がりも。いちごの香りを最大限に味わいたいから、何も入れない小麦粉だけのシンプルなカンパーニュを。いちご酵母今まで作った中で一番好きだな。
さて、イチゴの季節が終わったら次は何の酵母にしよう。オレンジとか夏みかんなんかもいいかも。
先日テレビで、教員免許を取ったもののアナウンサーという道を選んだ安住アナが母校の明大で模擬授業をやるという企画をやっていた。議題は″走れメロス″。もちろんテレビ用だから練習とかしたんだろうけど、これはすごかった。しっかりと話の筋が組み立てられていて、話すテンポも、早すぎず、遅すぎず、聞きてを疲れさせず、飽きさせない絶妙なものだった。話の切り口だってユニークで面白い。記憶に残らないような話を無理に記憶に刻み付ける(暗記する)なんていうのは楽しいことではない。こんな先生に教わる″走れメロス″は忘れることはないだろう。
人に何かを伝えたければ、聞かせる工夫が必要だ。本当にがっかりするのは日本の政治家の演説。原稿に目を落として棒読みしてるようじゃ、どんなに内容が良くたって聴衆の心には響かない。反対にオバマさんなんて大したこと言ってなくたって、あの通る発声でリズミカルに繰り広げられるパブリックスピーチで聴衆を虜にしてしまう。この人に着いてけばなんとかなるかもっていうリーダーの風格と迫力があるもの。
英語は単語単語で区切らず、繋げて発音することが多く、日本語にはそれがない。言葉のしくみ的になかなかオバマさんのリズムのようにはいかないのだろう。でも安住アナの授業を見て確信した。それでもやれないこともない。若者が政治に無関心だというけど、政治家の喋ることが面白くないんだもの。面白ければいいわけじゃないけど、少なくとも演説は聴衆の耳ではなく、心に届けるものだと心得て欲しい。
2014年03月09日(日) |
本当のマクロビオティック |
ハーブ治療のクリニックの経営する薬膳料理のカフェへ行った。どの食べ物も薬草が入っていてユニークな味がする。前回は一番人気だという焼きカレーを食べたので今回はゴルゴンゾーラチーズのリゾットにしてみた。どちらも黒米を使っていて、野菜がゴロゴロと乗っている。そして野菜本来の味を楽しむというコンセプトで作られているかのようやさしい味付け。家ではなかなかこんなに沢山の種類の野菜を用意できない。そういう料理を食べるのが外食の醍醐味だ。こういう料理はマクロビフードとカテゴライズされるのだろうか。こんな美味しいごはんを食べる為ならなんとか長生きしようという気にさせる。そういう食い意地だけでも人間は生き長らえそうだ。これぞ本当のマクロビ食ではないか。
美味しいものを食べて、恋の話に花を咲かせ、腹ごなしの散歩をする。なんでもないような人生の一コマこそが本当は一番かけがえのない時間なのだ、としみじみ思ってみたりする。
2014年03月06日(木) |
ペンギンにニットを! |
Wanted: knitters to create jumpers for little penguins
Conservation group calls for donations of small knitted jumpers for birds who have been caught in oil spills
Are you a knitter? Do you like penguins? Phillip Island’s Penguin Foundation needs you.
The penguin conservation group is putting a call out for people to donate small knitted jumpers for penguins who have been caught in oil spills, or leaks from fishing boats and the like, to wear while they are rehabilitated.
Lyn Blom, receptionist at the Penguin Foundation, told ABC News the organisation rehabilitated about 20 penguins a year, and any spare jumpers were distributed to other rescue groups.
“If somebody puts oil into the sea … a little penguin swimming along pops up to the surface and finds out he’s come up in a circle of yukky stuff,” Blom said.
“The first thing he wants to do is get to shore because he loses all of his waterproofness.”
She said penguins became very cold and waterlogged when the sea water seeped in towards their skin. A ranger or member of the public could then take them to a rescue organisation such as the foundation.
A jumper prevents a penguin from cleaning oil from its body with its beak, and keeps it warm until conservationists can release it back into the wild. The little penguins, which live mainly around the coast of Victoria, are not as immune to the cold as their southern cousins.
The penguin jumper program began in 2001 after an oil spill left 438 penguins needing treatment.
The Penguin Foundation provides a knitting pattern for people wanting to contribute.
【記事へのリンク】
直線マフラーしか編んだことがないわたしにできるかどうか。。。編み物得意な方は是非!!記事へのリンクに飛ぶとパターンへも飛べます。
2014年03月02日(日) |
りんご酵母のカンパーニュ |
何度も失敗していたりんご酵母だが、やっとやっと口に入るようなのが焼けた。酵母液を作るのには5日ほどかかって、それから元種に3日。これで焼いたパンが失敗する。初めて失敗した時はショックだったが、失敗続きで気持ちも麻痺した。失敗の原因はやっぱり寒さかな。そもそも″天然酵母″というくらいだから、天然の気候の中でやりたいところだが、寒すぎると酵母ちゃんは人間と同じように縮こまってしまうのだね。かといってずっと冷蔵庫から出してると過発酵になっちゃったりして。繊細だぁ。雑穀と全粒粉とライ麦の入ったカンパーニュ。クープは見た目がいまいちだが、切込みにちゃんとバターを入れたのはよかったみたいだ。窯伸びして気持ち良くぱっくりと口をあけてくれた。
味はりんご酵母で作ったからといってりんごの味はしない。ただ本によれば、りんご酵母で作ると小麦粉の味がよく引き立つのだそうだ。
市販のドライイーストを使えば失敗知らずだけど、何日もかけて丁寧に作っていく天然酵母パンはもうその達成感だけで味が違う。