My life as a cat
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2009年10月26日(月) 別れの形

母が夜な夜なこくりこくり居眠りしながらやっとのことで皮むきをして今年は3回も作ってくれたみんなの大好物の栗の渋皮煮ももうすぐ食べ尽くす。色んな作り方があるようだけど、母のは摩り下ろした大根と一緒にしばらく漬けて渋を取るみたい。これが終わるとまた冬がやってくるんだな。

ある男友達は何年も前に別れたEXガールフレンドに何度かメールを送っていたが、とうとう返事がきた。
"You asshole!!"
彼の人生経験の中のたったひとりの女性に蹴飛ばされ、かなりの落ち込みよう。泣きつかれても、わたしは彼女がこんな発言をするに至った感情がとてもよく解った。別れてからコンタクトを取ろうとする男ほど一緒にいる時に最善をを尽くさない。だから相手に去られてから後悔する。アホだ。マーヴがよく言った。自分は別れた女とは一切コンタクトをとりたいと思わないと。一緒にいる時に最善を尽くして、それでもうまくいかなかったリレーションシップの終わりには悲しみはあっても後悔はない。最善を尽くしてくれた相手を罵ることもしないだろう。彼はそれを怠ったに違いなかった。

筆不精のJからひらりとメールが来た。ひさしぶりだな。パースの暮らしにも慣れて、たった一度食事してあっさり日本に帰ってしまった女の子のことなんてもうすっかり忘れて楽しくやっているのだろうと思っていたのに、ひたすら仕事の日々を送っていたらしい。どこかの遠い町に住む誰かさんの頭の片隅に生きられる、なんて素敵なことでしょう。


2009年10月16日(金) おひとりさま

農園のボスは出張にでてしまったのでひとりでぽつりぽつり収穫がてら草取りをした。いつも隣の農園のおじさん達にイモ好きを宣伝していたせいか、今日も里芋を分けてくれた。オフィスに戻って仕事が終わらず収穫に来られなかった同僚にお裾分けして共に家路に着いた。彼女はオーストラリアに住んだことがある為、他の人には長い説明なしに通じないことがあっさりと理解されたりして、話していると古い友達に再会したような懐かしい気持ちになる。慌しい一週間の終わりにやっと気を緩めて、晴々した気持ちで週末に向かった。

先週末、あなたはこんな陰口を叩かれているのよ、少しは気をつけなさいよ、などと言って、わたしの気分を悪くした(それが真っ当な悪口ならば改めるが、全く陰で言われることが納得のいかないくだらない内容で、しかしそんなことを陰でひそひそ言い合う人々がいるというその陰湿さにほとほとうんざりしたのだ)うんと年上の同僚は、自分は口うるさいおばちゃんのようだとふと我にかえり反省したに違いなかった。わたしは自分からは何も話しかけなかったが、あちらが妙に愛想よくあれこれと機嫌をとるように話してくるのでニッコリ笑って聞き役に徹した。わたしは彼女が人付き合いにおいて失敗しては反省してを繰り返して、それでも少しBetterになりたいという思いが前提にあるのが読み取れる。若い頃はそれなりに恋愛もしていて、普通の結婚もする筈だったのに、何かの不運でタイミングを逃した。そんな不運な彼女に周囲は優しくするどころか、ただただ惨めな女のように扱う人が多かった。強がりみたいに周囲に批判される前に、自分が周囲を批判して一見優位に立ったような感覚に浸る。気付いたら2チャンネルが唯一話せる場所になっていた。彼女との日常会話からこんな背景が伺えた。ひねくれたことばかり言っているけど、所々に寂しさが垣間見える。好きなアーティストを追っかけてどこまでもコンサートに行くなどという話を目を輝かせてしている時の万年少女のような彼女は好きだから、根っからの悪人ではないのに少し気を病んでしまっているのが残念だと思う。

家に帰ると、母が面白そうなドラマが始まるよ、などと嬉々として話す。
「おひとりさま」
だって。んも〜、33歳独身女だからかぁ。観月ありさ、お祝いにひとりでお寿司食べてるよぉ。確かにわたしにもこれくらいの度胸はあるが。母が観ようというからおやつを用意してテレビの前に座ったのに、10分観て、
「おもしろくない。」
とひとこと。チャンネルをまわされた。


2009年10月09日(金) 動物の愛

嫌な出来事ばかりで気の滅入る一週間がやっと終わった。おじさんと農園に行ってルッコラやサニーレタスなどサラダにする野菜を摘んでいたら、隣の農園のおじさんがいつものごとく持って行きなさいとパプリカやしょうがなどわたし達の作っていない野菜を分けてくれた。こんなひとときに心底疲れた心を癒される。

家に帰って疲れと傷でぐちゃぐちゃになってしまった頭の中を整理した。
インディアン・ガイが言った。

「日本の会社員という人種は基本的に目立つ人が嫌いなんだよ。出る杭は打たれるんだ。だから多数の人と同じ格好をして、同じことをしていればみんな安心するんだよ。」

自分は気にも留めない人々が自分を朝から晩まで監視して粗探しに徹している。吐き気のするような気味の悪さだが、こんなことで気を病むのは時間の無駄だ。わたしは自分の暮らしに手一杯。自分の暮らしが退屈だから他人のことばかりが気になる哀れな人々にかまっている暇はない。わたしはわたしでいたい。それを理解してくれる真の友達もちゃんといる。決めた。絶対相手の悪口など言い返さないこと。言ったら同レベル。負けだ。クリスチャンのバイブルスタディのディスカッションを思い出した。社会でどうしても遭遇する嫌な奴、それは神があなたに与えた贈り物。悪い見本を贈ってくれた。だからわたしは学んだ。絶対あぁいう人にはなりますまい。

テレビで見た。動物好きのイギリス人のカップルがある日ロンドンのデパートで子ライオンが売られているのにショックを受け、購入して家に連れて帰った。彼らを家族と思って成長したライオンは非常によくなついたが、やはり近隣住人には危険な猛獣。悩んだ末野生に還すことに決めた。アフリカに連れて行って訓練を受けさせ、半年後野生に放たれた。1年後カップルがイギリスから会いに行った。逞しく自立して暮らしていたライオンは彼らを目にして猛進した。固唾を呑んだその瞬間、ライオンは抱きつくように彼らに飛びついて全身で喜びを表現した。まるで本当の親子だ。家族の顔を、匂いを、忘れてはいなかった。邪念のない動物の愛がいい。わたしも人間界の面倒ごとにしらりと背を向けてそんな愛だけに生きられたらいいのに。


Michelina |MAIL