My life as a cat DiaryINDEX|past|will
30才になりました。この日に結婚もしてなくて、子供もいなくて、オーストラリアで、そして大したキャリアもなく、確固たる目標もなく、浮雲に自分の姿を重ね合わせて過ごしているなど想像もしていなかったけれど、この世界のどこかで餓死、戦死、病死してしまう人々を思っては、30年も五体満足で生きてこられたことに感謝してしまう。ケーキを買ってきてくれたシェア・メイトにも。そして、依然外国人としてここに生きる頼りない日々の中で"僕といれば君はセーフ so don't worry. I take care of you"なんて可愛らしいことを言ってくれるボーイ・フレンドがいることにも。ただただ感謝でいっぱい。
先日知り合ったばかりのドミニクに連れられて、シティにある彼の友達のフィリップの家へ。ここに何年も住んでいながら、オージーといえばパーティでちらほらと会話をする程度にしか知り合う機会のなかったわたしには初のオージー体験といってもいいかもしれない。ボトル・ショップで赤ワインとウイスキーにコークを買い込み、フット・ボール観戦。こんな「体だけで勝負」みたいなインテリジェンスからほど遠い雰囲気のスポーツの面白みが全く解らず。しっかりアルコールもまわって、彼らが応援していたシドニーも負けてしまったところで半袖シャツ一枚で外に飛び出し、タクシーをキャッチしてスビアコへ。そのまま勢いよくダンス・フロアに飛び込み踊りまくり。踊り疲れたところで通りの向かいのケバブ屋で腹ごしらえして、またタクシーを拾ってフィリップの家に戻り朝までぐっすり。イメージから一歩たりともはずれてないオージー・ライフを体験してしまったのでした。しかし付き合ってみるとそう悪くない。わんぱくな子供のようにいっぱい遊んでいっぱい眠る。小難しい理屈など要らない。ドミニクが「日本風俗についてのDVDで、いい年した男が女子高生好きなんてのをみたんだよ。なんで?僕は未成年よりも絶対年の近い大人の女のほうがいいもん。全く理解出来ない。」と言ってフィリップはその話題の意味すらなかなか理解出来なかったように、彼らはこんな生活ぶりからしっかり精神の健康を保てているのかもしれない。
シティに新しくオープンしたアメリカからきたというブック・ストアに行ってみた。日本でも数年前から点々とオープンしはじめたあのカフェと一体化していて腰をおろしてゆっくり本を物色できるやつ。でも、いまだかつてやったことはない。だって私有の本には絶対ポテトチップスの油とかコーヒーのシミとか何かしらかついてるから。
またまたリサのナイト・クラブ通いの付き合い。街の中心に住んでいるとついつい誰にでも付き合ってしまうけど、やっぱり騒々しい場所には体が馴染まない。一杯飲んで帰るつもりが、思いがけず後から後から友が友を連れて合流してきてかつてないインターナショナルな夜となった。韓国、スペイン、スイス、フランス、イタリア、日本、、、。それでも、昨日も夜遅かったし今日はこの辺で、と切り上げる準備態勢に入っているところに友達のデュークがぐてぐてに酔ったイングリッシュ・ガイを連れて現れた。日本とイギリスは小さな土地に人間がひしめきあって忙しく暮らしている島国という風土柄、人格が似ているなんていうのを聞いたことがあるけど、彼の酩酊ぶりといったら、日本のオヤジを思い出させるようなだらしなくひどいもの。確かに生真面目な性格が故にストレスを貯めこんでしまうようなところは似てるのかも。「俺の注いだ酒が飲めないというのか」くらいの勢いで引き止められ、これが可愛げの無い人ならそれでもさっさと置いて行ったが、ちょっとお茶目で憎めないところもあって、すっかり帰るタイミングを失ってしまった。
一度はトライしたビザのこともうまくまわらず、ダレンはここを去ることになった。最初から心得ていたはずなのに、本人の口からはっきりと聞いてしまうと急に心細くなってしまう。彼にとっては旅の中の一期一会に過ぎなくて、得体の知れない極東の女と恐る恐る文化の違いの壁をよじ登ってみたいい思い出として、すぐに風化してしまうようなものなのかもしれない。わたしにとってはどこへ歩いていいのかわからないような日常の中で、ただただ休む場所を与えてくれた人のようだった。あと何度もらえるかわからない大好きだった"Good night"のキスを大切に記憶に刻み込みました。
夕方に突然ふらりと家にやってきたジェイミーと庭でコーヒーを飲んでいた。普段は"Talkative"なわたしも彼といるともっぱら聞き役。しかし、彼の論理は極論にして正論なのでそれも一興。
昨夜は決算を終え、ビールを手にした会社員達が路上まで溢れていた。ダレンも友達の旦那さんも働き者達はみんなみんなご機嫌な酔っ払い。ナエちゃんと地道に空いてるパブを探し歩いて、隅で小さくなってチビチビやっていたわたしの小さな気がかりは、この夜の食事をわたしと摂りたがったジェイミーのこと。いい年してリレーションシップに対してひたすら率直で、計算も駆け引きのひとつも出来なくて、誘われても、通りがかりについつい触ってしまった野良犬になつかれてしまったような小さな罪悪感が沸いてしまう。繊細で気の優しい人だから、早くいい人を見つけて欲しい。
Michelina
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