なんで。 なんでだろう。 どうして。 どうしたんだろう。 皮膚の内側がざわつく。 肉の内側がうごめく。 朝になったらきっと消えてしまうから。 今は通り過ぎるのを待とう。
あたしの。 でも、華はいない。 お休みだけど、月一ミーティングで出勤。 外は雨。 ……こんなもんかぁ。 夕方には帰ってくるので、晩ご飯だけは一緒に行く予定。 それまであたしは、ひとり、部屋の片付けとか。 天気が良ければ、ひとりで出かけるんだけどなぁ。 27歳。 オンナの盛りと言うべきか。 下り坂を歩いていると言うべきか。 でも、あたし、あんまり変わらない。 たぶん、昔よりもいろいろなことを流せるようにはなっただろうし、 嫌いなことも減ってきた。 それでも、結局あたしって変わらない。 華に意地悪をしたりとか、そんなことばっかり。 誕生日を喜べない年齢になったなぁ、という実感だけ。 好みとかありそう、って今更言われて、 「そんなんどれも同じだよ!」と怒ったのは昨夜。 うまくないなぁ。
3月下旬の咲き始めから、ほぼ毎日眺めてこれた桜は、 そろそろ葉っぱが混ざり始めてるところ。 通勤途中の、川沿い、桜並木。 観光地は人が溢れているので行かないけれど、 一面の桜があったら、集まってしまうのは日本人。 儚いものを愛でる心は、誰でも変わらないものだから。 ああ、散りたい。 と、そんな感傷を裏腹に、現実は淀みなく時を進めていって。 もうすぐ誕生日がきてしまう。 去年もかなり嫌だった。今年もまた嬉しくない。 きっと、いつまでも進歩のない自分を実感してしまうからだ。 あぁ、あたし、なにしてんだろ。 なにがしたいんだろ。 そんなことを繰り返し考える。 あなたの髪を撫でながら、考え続けている。 年下の子に、あたしの価値観を誉められて、 嬉しさと、どこか否定するものがあって。 そんな時に、重ねた年を数え直して、むやみに溜息。 心だけが正しくても。 背筋だけが美しくても。 この足が動いて、この手が伸びなければ、 あたしの価値は生まれない。 知らずに口ずさむ、桜の歌。 とりあえず、一個年をとったら、もう少し優しい大人になろう。 華、こんなあたしでも、あなたは許してくれるのかな。 逃げ出しそうなのを必死で堪えている、 浅はかで臆病なあたしの価値観を、 あなたも美しいと言ってくれるのかな。
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