あなたに綺麗な傷をあげる
生涯、忘れられないように


死に弱い、いきもの。
2008年02月26日(火)

祖父が今日、突然の発作で亡くなって、
明日の夜に、新幹線で実家に帰る。
記憶の隅にある祖父の顔。
高校生の頃までは、よく見かけていた顔。


あたしは、死に、弱い。
強いひとなんて誰もいないだろうけれど。
誰だって弱いだろうけれど。

言葉を換えてみるのならば、あたしは、死の匂いに弱い。



怖くて怖くて、仕方がない。
死に逝くひと。見送るひと。嘆くひと。
泣くまいとして、故人の面影を語り、笑いさざめく空気。
その、匂い。



あたしは、震えるのを堪えるしか、出来ない。
それが荘厳であるから、とか。
それが悲しみであるから、とか。
そう言うものではなく、きっと、未知への恐怖。

自分ではない、何かに変わるのだという、
天災にも似た、その劇的な瞬間。

誰もが、その一瞬を飲み込んで、
ゆっくり、ゆっくりと咀嚼していくのだろうけれど、
あたしは怖くて、飲み込めずにいる。




ただ思うのは、
祖父がやり残したことは無いのだろうかという、問いかけ。
例えば、明日はコレが食べたいとか。
来週にはあれをしよう、とか。
そう言ったものが永遠に失われてしまった、悲しみ。


あたしは明日の夜に帰省する。
何か、あたしの中でも、劇的に変わるものはあるのだろうか。
しめやかな色彩の中で見送る、祖父の姿に、
あたしは何を感じるのだろうか。






少なくとも今、あたしは、いつか訪れる自分の最期に、
震えるほどの恐怖を感じている。



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眠れない、厳冬。
2008年02月18日(月)

冬の寒さに、爪先が凍る。
ひとりでは体温すら下がり続ける、夜。



バレンタイン前の喧嘩の後日。
つまりはバレンタインの翌日だったわけだけれど。

華とフープのピアスを買いに出かけた。
一目惚れしたバッグとか買ってしまったけど、本命はピアス。
シルバーショップを何軒も巡って、最後に見つけた。

一つはあたしの趣味、割とシンプルな彫りが入ったもの。
もう一つは華の趣味、ドラゴンの形に掘られたもの。

もちろん華が買ってくれました。
正直、それだけで充分すぎるんだけど、
華が会計をしている時に見つけてしまった、ペンダントに釘付けになっちゃって。
細い足をした蜘蛛の形。親指の第一関節程度の大きさ。

華の肩に住んでいる蜘蛛と、似てた。

あたしは思わず華を呼び寄せて、それを伝える。
立体的な蜘蛛の形をしたトップなんて珍しいから、
華は少し考えてから、
(きっとあたしの様子を盗み見してたんじゃないかと思うけど)
それを手に取った。
やっぱり、肩にいる蜘蛛と似てる。



結局、チェーンの形が気に食わないので、
それを直してもらうということで、お買い上げ。
あたしといると散財するよね、華サン。
というか、散財させちゃうよね……。



出来るだけ付けておくように心掛けて、
あたしはそのペンダントをもらった。



あたしの左胸の蝶を食うように、今も揺れている。










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努力します。




タイミングが悪すぎる。
2008年02月13日(水)

昨夜のこと。


華が泊まりに来れると連絡が来た時。
あたしは既にバレンタインの用意をしてた。
チョコレートは、華が好きだと言っていた小粒の詰め合わせ。
あとは冗談みたいなもの、数種類。
付属のプレゼントは、ベルトチェーン。

雪が降り出す寸前、22時少しで店を出て。
運悪く、吹雪に当たった。
メットのシールドには雪が積もって、前が見えない。
身体中が痛くなるほどの寒さ。
どうしようもなく落ち込みながらも、家路につく。

でも、今日は華がいてくれるから、まだマシとか思いながら、さ。



それなのに、玄関の鍵を取り出す手すら動かなくて、
辛うじてチャイムを鳴らして、開けてもらった後。

……放置ですか。

グローブだけ受け取って、そのまま華はUターン。
部屋を区切るカーテンすら閉められてしまって、
あたしは玄関先で雪を払いながら、感覚のない手で合羽を脱ぐ。
それを干して、メットもブーツも脱いで、カーテンを開けると。



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これでキレない方がおかしいでしょう?
華には知ったコトじゃないけど、リュックの中はお土産でいっぱいだったのよ?
雪を被ったまま帰ってきたんだしさ?


ぶちギレて、一通り文句を言って、
ようやく覚醒した華が正座して謝ってて。

まあ、怒りは残ってるけど、仕方ないことなので、流しました。




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抑えられたので、良しとしましょう。

埋め合わせに、御機嫌を取ってもらわなきゃ。




カラダの内側から。
2008年02月09日(土)

侵食される、感覚。
奥深くで息を止められているような、
そんな圧迫感と、
逃げられないのだと思い知らされるほどに、
生まれる、束縛の強さに眩暈すらして。

あたしは、幸福のあまり、意識を失いそうに、なる。





圧倒的なもので支配されることを、心地良く感じる。
拘束された心が、歓びに泣く。

あたしは、ここにいてもいいんだと。
求められているのだと。

馬鹿げた想い。

冷静になればなるほど、そんな自分を見下してしまう。

それでも、これが、あたしのやり方。
他には、知らない。





分からない、何が正しいのか、なんて。
正しいことをしなきゃいけないだなんて、
誰も決めてないはずなのに。きっと。

あたしは、これでいいんだって、開き直るしかできなくて。





あたしはあなたを愛しいと思う。
それだけが真実であればいい。






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こんなあたしは、
幸福な病を抱えているのかも知れない。




揺さぶられる、もの。
2008年02月06日(水)

学生の頃に読んだ漫画の、続編を買ってきた。
懐かしさと同時に、一つの感情も思い出す。



ああ、人を好きになりたいなァ。
苦しいぐらいに焦がれたいなァ。



そんなことを思っていた、昔のあたし。



そして、華を思い出す。
大事なあの子を思い出す。

どうして、愛してるよ、と言いたい時に、あの子はいないんだろ。
だから、滅多に口に出せない。
言いたいのに。
言葉が込み上げてきて、音になるのに、
受け止めて欲しい相手は、いない。
会えない。
そばに、いられない。

愛してるよ。
愛してるよ。

届かない、音で。











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からだの不思議。
2008年02月03日(日)


残業して帰ってきて。
眠いような眠くないような微妙な頃合い。
最近は不眠症気味で、あまり寝れてない。
今夜は寝られるかもしれない。



今朝、お休みの華が来てくれて、
出勤前に少しだけ会えた。
節分だからって恵方巻きを買ってきてくれて、
それが意外とわさびがきつくて、泣きそうになりながら食べて。


でもそれよりも本当に飢えていたのは、
どうやらあたし自身だったみたい。

華の手が触れる。
数日振りな気がする。
この前のお休みだって、この手はあったのに。

華の腕を強く掴む時。
あたしはいつだって、泣き出しそうな自分を思い知る。
華の左肩、蜘蛛の彫り。
掻きむしりそうになって、思い出して止めて、
そんなことを繰り返しながら、声を絞り出す。

あたしのからだに、触れる、手。
あたしのなかを掻き回す、その手。

あたしが大好きな、華の手。





でも本当に飢えてたみたいで、
あたしのなかは水か滴るみたいになってた。


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そんなことは実際にあるのかな。
話なら聞くけど、実際になったことはないし。

でも、今朝は何だか、いつもと違って。



やばかった。



シーツを替えないと……。



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