あたしたちは遠回りをしながら、日々を送っている。 感情の行き違いや、言葉の擦れ違い。 多くのことを見逃しながら、ときどきそれを拾い上げて、泣いたりしてる。 とりあえずは元気、だけれど。 あたしはあんまりお利口さんじゃなくて。 華は人の機微に疎いお馬鹿さんで。 したくもない喧嘩を繰り返しながら、毎日を過ごしてる。 ねぇ、華。 あたしたちは、前に進めてるのかな。 それとも足踏みをしてるのかな。 実家からの電話で、母親からの言葉が一つ、胸に残る。 そんなの、あたしが知りたいよ。 でも、逃げるつもりはない。 正面から受け止めてあげようじゃないの。 それぐらいの覚悟は、持っててもいいでしょう。
二人の距離に隙間が出来たら、それを埋めようよ。 埋めるために抱き合おうよ。 それしか、あたしは知らないもの。 あたしは可愛いお人形になる。 抵抗してみせるのは、半分本気、半分挑発。 時々、八割本気で嫌がるのは、いっぱいいっぱいで泣きそうな時。 あなたの手から離されることが嫌で、もっと、もっととねだってみせる。 発情期の猫みたいに、羞恥心もなくして鳴いてみせる。 ああ、あたし、もともと羞恥心なんてないんだっけ。 思い出して安堵する。 あたしはやっぱりあたしのままだ。 あなたが宝物みたいにしてくれる、あたしのままだ。 ねぇ、華。 もっとだよ。もっと深く、もっと強く。 眩暈がするほどに。 たくさん、たくさんの記憶をちょうだい。 眠れぬ夜にも、寂しくないように。
気持ちが擦れ違い、 気遣いが擦れ違う。 あたしは、黙り込むあなたが嫌いで、 あなたは、黙り込むことであたしを泣かさない。 無理矢理に口を開かせば、あたしは泣き出すしかできない。 これはどうすればいいんだろう。 あたしは泣きながら、あなたを抱きしめるの。 あなたは、ごめんを繰り返しながら、あたしよりも悲しそうに泣くの。 ねぇ、心地良いことだけしたいね。 気持ちいいことだけ味わいたいね。 そんな二人でいられたら、どんなにいいだろうね。 でも、傷付け合って、泣いて、抱きしめて。 多少の苦味もあるから、なおのこと。 いつまでこうしていられるかな。 いつまでもこうしていられるかな。
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