愛とは何か、そんなものは辞書でも引いてしまえば
いくらか答えは載っている。
しかし、そんなものでは表せないからこそ、愛は存在する。
この写真を見て欲しい。
これは、うちのおばあちゃんが
毎日お水を上げて、大切に育てている花壇だ。
その花壇が先週、何者かに荒らされていた。
鉢植えは転がり土が散乱、苗は折れ曲がっていた。
その悲惨な現場を見たとき、小学生あたりの人為的なイタズラかと睨んでいた。
でも、実は違った。
野良猫の仕業だった。
犯人は最近、家の周りをうろちょろしている猫だったのだ。
その猫はおばあちゃんの鉢植えを、たいそう気に入ったのか
思いっきり鉢植えと鉢植えの間で体をなすりつけジャレていた。
その反動で鉢植えを、なぎ倒しているのを
この目で目撃したので、犯人は間違いなくコイツだ。
その状況をおばあちゃんに報告した。
すると、「う〜ん、何か対処しないとねぇ〜。」 と、つぶやいていた。
次の日、どこから拾ってきたのか
花壇にちょっぴりかわいい人形を置いてあった。
僕は驚いた。
こんなもので、猫の荒し行為が収まるような
猫よけ効果があるとは到底思えなかったからだ。
でも、「水入りペットボトル」 や 「猫よけ対策グッズ」 を置くより
「かわいい人形」 を置く方が、愛のある人間のように感じる。
「これは大切な鉢植えだからね、荒らしちゃだめだよ」 と
猫にお願いしているようなもの。
効果はさほどないにせよ。いやまったくないにせよ。
効果はないのは初めからわかっていて、それでも情を持って接していけば
きっと伝わると信じて止まない、うちのおばあちゃん。
その愛情は、きっと猫にでも届くと思うよ。
そんな、おばあちゃんの優しさに心打たれた僕は
そこに愛を感じずにはいられなかった。
愛とは何か、きっと 「広い優しさ」 なんだなぁ〜と
大きな意味をおばあちゃんから教わった気がした。
『追記』
そう、僕は知らなかったのだ。
おばあちゃんの優しさが、単なる見掛け倒しだったことに。
僕は勝手に勘違いして、おばあちゃんを優しさの塊だと信じていた。
そう、僕は知らなかったのだ。
あの人形の中身には猫の嫌いな匂いがするカプセルが入っていたことに・・・。
優しさなんてこれっぽっちもない、うちのおばあちゃん。
そう、僕は知らなかったのだ。
あのかわいい人形が、実はとんでもないバケモノだったことに。
このクソババァーーー。
俺の愛を返せぇーーー。
【when:いつ】
あれは僕がまだ高校2年生の時だった。
あの日のことはいまも忘れない。
【Where:どこで】
ちょうど、サッカー部の部活が終わり家に帰ろうとしていた。
その時、救急車がサイレンを鳴らしながら
猛スピードで僕の横を追い越していった。
【Who:だれが】
僕は、はっと気づいて
全身から血の気が引いていくのがわかった。
【What:なにを】
こっちの方角は僕の家のほうだ。
僕はあわてて走った。何か悪い予感がしたからだ。
予感が当たらないで欲しいと心底願った。
しかし、無情にも救急車が僕の家の前で止まっていた。
【Why:なぜ】
なぜ、家の前で救急車が止まっているんだ。
家族が倒れた以外考えられない。
じゃぁ〜なんで、誰も僕に連絡をくれないんだ。
【How:どのように】
僕は、救急隊の呼びかけを振り切って家に駆け込んだ。
そこには、僕のよく知る人物が横たわり
おびただしい血の量が池と化していた。
【April Fool's Day:エイプリルフール】
えぇ〜〜、全部まるっと嘘です。
なんせ、今日はエイプリルフール。