月に舞う桜
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2014年12月09日(火) |
知りたいのは、その先 |
先日、NHKの番組で「持ち帰り残業」が取り上げられていた。 持ち帰り残業と言えば、某英会話学校の講師が膨大な持ち帰り残業の末に自殺した件で労災認定が下りた、というニュースが記憶に新しい。 家に持ち帰って仕事しても、通常「勤務時間」とはみなされず、残業代もつかない。そもそも、契約で決められた勤務時間以外はプライベートな時間なわけで、仕事の段取りを考えたり自主的に仕事のための勉強をしたりするのは良いとしても、貴重なプライベートタイムまで仕事の作業に費やすなんて御免だ。 なので、私は「持ち帰り残業はやらない!」と心に決めているのだけれど、それでも、ごくたまに家に持ち帰って資料を作らざるを得ないことがある(心に決めてないじゃん!)。そして、いったん持ち帰ってしまうと、結構な時間を費やされる。同僚の中には持ち帰り残業が常態化している人もいて、体はもとより、精神的な負担も心配だ。
NHKの番組では、持ち帰り残業をなくすため、社員の業務量適正化を図る取り組みを実践している企業を紹介していた。 その企業では、毎朝、その日の仕事予定を上司と同僚にメールする。そして、終業時刻まぎわに、一日の業務進捗状況をメールで報告する。上司は、そのメールを見て、各部下に割り振っている業務量が適正か判断し、必要であれば業務量を調整するらしい。
……というところで企業の取り組みの紹介は終わっていたのだが、私が知りたかったのは、その先だ。つまり、どうやって業務量を調整しているのか? ということ。 一人一人に割り振っている業務量が多過ぎると判明したところで、じゃあ勤務時間内に終わらなかった仕事をいったい誰がやるのか? というのが一番の課題なのではないかと思う。 今の時代、余剰人員なんて抱えられないわけだし、皆いっぱいいっぱいなのが現実なのでは?
チームの業務量や進捗を共有することで、無駄をなくしたり仕事の優先度を変えたりはできるけれど、現実問題として、Aさんが手一杯だから仕事をBさんに回すというのは、難しいケースが多いんじゃなかろうか(手伝いレベルなら可能かもしれないけど)。
というわけで、業務量の調整や持ち帰りも含めて残業の削減が真にうまくいっている企業があるなら、具体的事例を知りたいのだ。進捗を共有した先の話を。誰かにしわ寄せがいくことなく、チーム全員の負担を軽減できた成功例を。
忘年会シーズンがやってきて、ふと思い出したこと。
気の置けない人たちと楽しくお酒を飲むのは好きだ(私自身は、あまり量は飲めないけれど)。 でも、酔っ払いや、酔っ払いが吐くにおいは嫌いだ。特に金曜日の夜なんかは、いつもより帰りが遅くなると電車内に「酔っ払いのにおい」が充満して不快になる。
けれども、好意を持っている相手なら話は別だ。
昔々に好きだった人も、それほど昔じゃない頃に好きだった人も、彼らは皆一様に、酔っても私にとって不快なにおいを発することはなかった。 それどころか、私は、お酒が入った彼らから甘い香りを感じることさえあった。
「あばたもえくぼ」とは少し違う。 おそらく、私の脳が快と感じる彼らのフェロモンにお酒があいまって、より魅惑的な甘い香りを放つのだ。
そして、私の脳が夢から醒めたとき、甘い香りはたちまちただの「酔っ払いの不快なにおい」になってしまう。
人間の五感は不思議だ。
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